
1. シャトー・オーゾンヌの概要
サン・テミリオン地区格付けの最高位である第1特別級に、シャトー・シュヴァル・ブランと長く君臨し続けてきた、ボルドー右岸を代表するトップシャトー。畑は7ヘクタールで年間生産量も僅かに約20,000本程度と、メドック地区の1級シャトーと比較すると10分の1以下の生産量しかない。
その歴史も長く、その名称は4世紀ローマ時代に現在シャトーのある場所にブドウ園を所有していた、詩人デキムス・マグヌス・アウソニウスに由来するとされている。
ボルドー地区でも、長く家族経営を続けている数少ないシャトーで、現在のオーナーであるヴォーティエ家は17世紀から所有している。



2022年のサン・テミリオン格付け改定の際に、第1特別級への申請を行わず、シャトー・シュヴァル・ブランとともに、格付けシャトーのリストから名前が消える事となった。
現在は父アラン・ヴォーティエ氏から少しずつ世代交代が進んでおり、娘のポリーヌ・ヴォーティエが父とともに共同経営者となり、エドゥアール・ヴォーティエ氏とコンスタンス・ヴォーティエがからサポートを受けながらシャトーの運営にあたっている。
現在シャトー・オーゾンヌが生産するワインは以下の2つがある
・シャトー・オーゾンヌ
・シャペル・ド・オーゾンヌ(1995年からリリース)
2. ワイナリーの歴史
シャトー・オーゾンヌはその長い歴史の中で、家族経営が続いてきた。まず13世紀から16世紀にかけてのレスクール家が所有。その後17世紀末にシャトネ=カントナ家とデュボワ=シャロン=ヴォーティエ家が後を継ぐ事となった。
現在の共同経営者の1人であるアラン・ヴォーティエ氏は、17世紀から続くヴォーティエ家の直系の子孫で、1976年からシャトー・オーゾンヌでのワイン造りに携わっている。
1990年代に当時シャトー・オーゾンヌの共同所有者であったデュボワ・シャロン夫人から所有権を買い取った。
1999年には著名ワイン・コンサルタントであるミシェル・ローラン氏と契約。この関係は暫く続く事となるが、2013年から契約更新を行わなかった。
現在は共同経営者の1人であるアラン・ヴォーティエ氏の娘のポリーヌ女史が、2006年よりシャトーのワイン造りに携わっている。
ヴォーティエ家は現在シャトー・オーゾンヌを含めて6つのシャトーをサン・テミリオン地区に所有しており、その所有面積は全部で90ヘクタール程にのぼる。


3. 畑の特徴
7ヘクタールの畑には、カベルネ・フラン、メルロが植えられており、平均樹齢は約50年、古い樹齢のものは100年を超えている。栽培方法については有機農法とビオディナミ農法の両方からヒントを得た方法が実施されている。
ブドウを栽培する上で生育環境も考慮しており、果樹、芳香植物もブドウの木と共生している他、他、昆虫、鳥、コウモリなど、さまざまな野生生物も保護されている。
勾配がある急斜面の丘陵地のテロワールは、土壌にアステリア石灰岩を覆う石灰岩を含む粘土質。これがシャトー・オーゾンヌのワインにミネラル質の特徴を与えている。




4. 醸造の特徴
低温マセラシオンの後、伝統的な5400リットルの温度管理の出来るオーク・タンクで発酵が行われる。マロラクティック発酵は1995年ヴィンテージからフレンチ・オーク樽で行われるようになった。シャトー・オーゾンヌはフレンチ・オークの新樽100%で、ヴィンテージの特徴と豊かさに応じて20ヶ月程熟成させる。


5. 2023年シャトー・オーゾンヌのテイスティング
2023年ヴィンテージは全体的に湿度と気温の高い日が多かったようだ。収穫前の7月は雨が少なかった為、病害も少なく、収穫期までにブドウの状態は素晴らしい状態に。
メルロとカベルネ・フランのどちらも完璧に熟して収穫する事が出来た、との事。
ワインのテイスティングをすると、香りはやはり暖かい年らしい、黒い果実味が一気に広がり、その後にスパイスやモカなどが続く。味わいは力強さにミネラル感やフレッシュさもあり、非常に余韻が長い。力強さを味わいに持ちながら均整の取れたこのワインがどのような熟成をするのかが今から楽しみになる味わいだ。


参考情報:
生産者 - シャトー・オーゾンヌ:Château Ausone
輸入元 - ヴィニョーブル・ヴォーティエ:Vignobles Vauthier / Saint-Emilion
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