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Château Bélair-Monange

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シャトー・ベレール・モナンジュ
シャトー・ベレール・モナンジュ

シャトー・ベレール・モナンジュ - サン・テミリオン随一のエレガンス

2025.01.06
シャトー・ベレール・モナンジュの概要

サン・テミリオン随一のエレガンス

2024.06.26 --- writer Kasahara

web サイト
https://www.belairmonange.com/

1. シャトー・ベレール・モナンジュの概要

サン・テミリオン地区の標高88メートルの石灰岩の台地にある、サン・テミリオン地区格付け第1特別級シャトー。シャトー・マグドレーヌ、シャトー・ベレール、クロ・ラ・マドレーヌを1つに統合して出来た新しいワイナリー。

シャトー・ベレール・モナンジュ
シャトー・ベレール・モナンジュ

2008年にシャトー・ベレールをジャン・ピエール・ムエックスが買収した際に、シャトーの名称をシャトー・ベレール・モナンジュに変更した。当時ボルドーやポムロールの至る所には124の異なる「ベレール」というシャトーが存在した事がこの名称変更の理由だ。
現在シャトー・ベレール・モナンジュで生産するワインは以下の3つがある。
・シャトー・ベレール・モナンジュ
・アノンス・ド・ベレール・モナンジュ
・オー・ロック・ブランカン

2. ワイナリーの歴史

1952年にジャン・ピエール・ムエックスがサン・テミリオン格付け第1特別級で12ヘクタールある歴史的なシャトーだったシャトー・マグドレーヌを買収。その後2008年同じく隣接していたシャトー・ベレールを買収。同年にシャトー・ベレール・モナンジュと改名した。この名前はムエックス家にとって歴史的な意味合いがある。家族で初めて女の子(アデレール・ムエックス)が生まれた事に由来してジャン・ピエール(ムエックス)が名付けた。モナンジュは「私の天使」という意味だ。
その後2011年まではそれぞれのシャトーの名称でワインがリリースされたが、2012年にINAOによる格付け改定が行われた際に、シャトー・マグドレーヌとシャトー・ベレール・モナンジュを1つのシャトー名に統合する事が承認された。
更に2017年9月にシャトー・クロ・マドレーヌがジャン・ピエール・ムエックスにより買収される。2021年までシャトー・クロ・マドレーヌとしてワインがリリースされたが、2022年の格付け改定の際に、シャトー・ベレール・モナンジュに同じく統合される事となった。
2015年にワイナリーの建築計画がスタートし、クリスチャンとエドワード・ムエックスが付き合いのあったスイス人建築家ジャック・ヘルツォークとピエール・ド・ムーロンの2人に依頼。「石灰岩質土壌への賛辞を表現したい」というオーダーのもと、サン・テミリオンの特徴的な石灰岩を表現した真っ白の外壁が特徴の美しいワイナリーが完成したのは8年後の2023年でした。周辺のサン・テミリオンのシャトーとは明らかに異なり瀟洒なデザインは遠目から見てもかなり目立つ。

3. 畑の特徴

畑は現在全部で23.5ヘクタール。畑は標高88メートルの高さに広がる「プラトー」区画、南側に広がる「テラス」、そして一番下側にある斜面の「スロープ」の3つに大まかに分けられている。 まずは歴史的にワイン栽培の一等地であったこの台地「プラトー」は、薄い粘土層に覆われた石灰岩に由来し、非常に特殊な微気候がワインにエレガンスと複雑さを与える。
区画の傾斜に合わせて植えられた「テラス」は、生育期を通じて理想的な日照を享受し、深みのあるリッチなワインを造るのに特に適している。土壌は、石灰岩の上に青い粘土が重なったもので、この組み合わせがワインに独特の力強さ、余韻の長さを与える。
南向きの斜面「スロープ」(コートと呼ばれる)は、テラスの延長線上にあり、同じように恵まれた日当たりと抜群の水はけを誇る。土壌は、深い粘土質の上にシルト質粘土が混ざったもので、豊かでまろやか、たっぷりとしたワインを生み出すそうだ。

▲ 「テラス」の区画にあたる畑、一部カベルネ・フランが植えられている。
▲ 「プラトー」の区画の畑
▲ ワイナリーの目の前に広がる「プラトー」の畑
▲ 改植したばかりのブドウの木が芽吹いていた(2日前迄は芽が出ていなかったそう)

4. 醸造の特徴

コンクリートタンクとステンレスタンクは畑の収穫エリア(プロット)に合わせてサイズを選べるようになっている。コンクリートタンクはアルコール発酵中の温度がゆっくりと上がり下がりする為、ワインが結果としてアロマティックな仕上がりになる。マセレーション、アルコール発酵、そして発酵後のマセレーション全てにおいて、ワインの「エレガンスさ」という点を確認しながら行われるようだ。
エドワード、そしてクリスチャン・ムエックス、また醸造チームの全員が、セラー内で一日に何度もテイスティングを繰り返して決断を行う。青っぽいタンニンが抽出される前に1回目のマセレーションを止めて、期間は2週間半ほど。
ポンプオーバーは週1回程度。プレスはゆっくりと優しく行っている。2回目のマセレーションはステンレスタンクに戻して実施。

とにかく抽出をし過ぎずにワインをエレガントに保つ事が重要になる、新樽の比率も高くて50%~55%程度。昔は自前で樽を作っていたが、2020年に止めたとの事。現在は主に3つのクーパー(樽屋)と取引をしており、それはタランソー、セガンモロー、ドゥミトス。最終的には6つのブランドの樽を併用してワインに複雑味を持たせる。
樽は全て仏産で、様々な産地のものを使用。仏産以外の樽も試験的に試してきたが、一番合うのは仏産という事で今のようになった。樽で熟成中の間は3カ月ごとに滓引き。セラーマスターの判断によっては樽ごとにファイニングも行うが、あくまで状態を見て判断する。熟成期間についてもテロワールが重要で、いつもキーワードは「エレガントさ」。それにより熟成期間も12カ月~15ヵ月と変わる。

5. 2018年のベレール・モナンジュのテイスティング

2018年は春先に雨量が多く、主にメルロを中心にベト病が発生。ただ収穫期前の7月~9月にかけて暑く、晴天が続いた事により品質の良いブドウを収穫する事が出来たそうだ。色味を見てみると、既に外側の縁は少しオレンジがかっており、香りは非常にチャーミングな果実の香りがあり、口に含むと非常にシルキーなタンニンが広がる。今回の訪問時にも伺った「フィネス」や「エレガントさ」をとにかくムエックス家は大事にしている、という話の通り、上品な果実味が楽しめるグッドヴィンテージだ。

Special thanks to TEAM Riedel France

参考情報:
生産者 - シャトー・ベレール・モナンジュ:Château Bélair-Monange

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