ヴォーヌ・ロマネとは?
ヴォーヌ・ロマネとは?

基礎知識や畑の特徴、合う料理、おすすめワインを紹介

基礎知識や畑の特徴、合う料理、おすすめワインを紹介

THE CELLAR JOURNAL --- writer : Taku Iguro

”ヴォーヌ・ロマネ”とは、世界一高級な赤ワインの醸造地『ロマネ・コンティ』を持つ村の名前であり、アぺラシオン(原産地呼称)でもあります。フランスのブルゴーニュ地方の中でも、北部のコート・ド・ニュイに位置するこの村は、「神に祝福された村」とも呼ばれています。
本記事では、ヴォーヌ・ロマネの基礎知識や相性の良い料理、おすすめのワインなどを解説します。
”ヴォーヌ・ロマネ”とは、世界一高級な赤ワインの醸造地『ロマネ・コンティ』を持つ村の名前であり、アぺラシオン(原産地呼称)でもあります。フランスのブルゴーニュ地方の中でも、北部のコート・ド・ニュイに位置するこの村は、「神に祝福された村」とも呼ばれています。
本記事では、ヴォーヌ・ロマネの基礎知識や相性の良い料理、おすすめのワインなどを解説します。

ヴォーヌ・ロマネとは?基礎知識や畑の特徴、合う料理、おすすめワインを紹介

基礎知識や畑の特徴、合う料理、おすすめワインを紹介
2024.11.13

1. ヴォーヌ・ロマネの基礎知識

ヴォーヌ・ロマネは「神に祝福された村」

ブルゴーニュ地方北部、コート・ド・ニュイ地区の中心に位置するヴォーヌ・ロマネは、人口400人ほどの小さな村の名前であり、アペラシオン(AOC/フランスの法律に基づいた原産地の呼称で品質保証のようなもの)でもあります。

中世より人の心を捉え、ブルゴーニュワインの頂点に君臨し続けている”ヴォーヌ・ロマネ”は、『8つのグラン・クリュ』と『14のプルミエ・クリュ』によって、世界中のワイン愛好家から熱い注目を集めているのです。
その偉大さから「神に祝福された村」「神に讃えられた村」などとも呼ばれています。

ヴォーヌ・ロマネの歴史

ヴォーヌ・ロマネの歴史は、9世紀にクリュニー派の修道院がその土地を所有したことに始まります。
隣接するフラジェ・エシェゾーは、12世紀にシトー派の修道僧によって開墾されました。

17世紀以降、ロマネ・コンティの名声が高まるにつれて、ヴォーヌ・ロマネのワインは世界的に知られるようになっていきます。18世紀の修道院長、クルペテーは「ヴォーヌのワインは全てが特別だ」と断言し、その言葉は今もなお、この地域のワインの評判を裏付けています。

ヴォーヌ・ロマネの恵まれた立地と土壌

ヴォーヌ・ロマネはコート・ド・ニュイの中心に位置し、寒暖差が少なく、日照量も十分あります。
気温も安定しており、ピノ・ノワールの栽培に最適とされる環境です。
粘土質と石灰質の土壌が絶妙な比率で構成されていて、エレガントで力強いワインを生み出します。

ヴォーヌ・ロマネの香りや味わい

ヴォーヌ・ロマネは赤ワインのみ、ブドウ品種はピノ・ノワールを用います。

熟したチェリーやラズベリーを思わせる、瑞々しくジューシーな果実味と、スミレの花のエレガントな香り、柔らかなタンニンが調和します。
若いうちからそのポテンシャルの高さを伺わせる、気品あふれる味わいを持ち、熟成を重ねるにつれ、トリュフやなめし革のような複雑な香りが生まれます。
絹のような滑らかな口当たりと豊かな果実味が特徴的。官能的な味わいへの変化も楽しめるワインです。

2. 世界一の高級ワイン「ロマネ・コンティ」

世界一の高級ワイン「ロマネ・コンティ」

ワインをよく知らない人でも、『ロマネ・コンティ』という名は聞いたことがあると思います。

ヴォーヌ・ロマネ村を代表する畑である『ロマネ・コンティ』。
この畑を所有しているのは、世界中のワイン愛好家から崇拝される生産者である『ドメーヌ・ドゥ・ラ・ロマネ・コンティ(DRC)』。
東南東斜面に広がる1.8ヘクタールの畑は日当たりが良く、ピノ・ノワールにとって理想的な生育環境です。

年間の生産量はわずか6,000本程度。
需要と供給のバランスが大きく崩れ、価格が非常に高額になっています。750mlのボトル1本で、300万円を超える価格がつけられることも珍しくありません。
特に、品質の良い古い年のワインは、500万円近くという高額で取引されることも…。

3. ヴォーヌ・ロマネの8つのグラン・クリュ

ヴォーヌ・ロマネの8つのグラン・クリュ

ヴォーヌ・ロマネ村と、その隣にあるフラジェ・エシェゾー村には、ロマネ・コンティをはじめとするブルゴーニュワイン愛好家垂涎のグラン・クリュ(特級畑)が集中しています。

モノポール(細分化されておらず、一人の造り手が畑を単独所有している)が多いのも特徴です。

エシェゾー ECHEZEAUX

ブルゴーニュのグラン・クリュの中で2番目の広さを誇るのが『エシェゾー』。
数多くのドメーヌ(小規模生産者)が個性豊かなワインを造っています。

粘土質土壌が柔らかい味わいを生み出します。
ヴォーヌ・ロマネのグラン・クリュの中で一番早く開くのが特徴です。

グラン・エシェゾー GRANDS ECHEZEAUX

『グラン・エシェゾー』は直訳すると『偉大なエシェゾー』という意味になりますが、元々エシェゾーより区画が大きかったことからこの名前がつきました。

隣り合うミュジニーと似た薄い表土から気品がある味わいが特徴です。
黒カシスやブラックベリーなどの黒系果実のアロマが豊かに広がり、粘土質石灰質土壌由来の力強いタンニンと調和した、リッチで複雑な味わいを持ちます。

ロマネ・コンティ ROMANEE CONTI

赤ワインの王様とも呼ばれるのが『ロマネ・コンティ』です。

熟成した赤い果実やスパイス、土壌由来のミネラル感が絶妙に調和した、芳醇で複雑な味わい。
他のヴォーヌ・ロマネの畑にはない複雑な風味(漢方や中国茶など)が、若いうちから感じられます。

位置として”ど真ん中”にあるのでフィレ肉でいうシャトー・ブリヤンのような存在です。

リシュブール RICHEBOURG

『リシュブール』は標高が高く、斜度が急な土地。
ここで生まれるワインは華やかかつソリッドな味わいが特徴です。

石灰岩と粘土鉱物の複合土壌が、複雑で多層的なアロマを与え、華やかで深みのある味わいを生み出します。

ラ・ロマネ LA ROMANEE

『ラ・ロマネ』はフランス最小のAOCで、リジェ・ベレールのモノポール(単独所有畑)です。

ミネラル感豊かな、引き締まった味わいが特徴で、近年ロマネ・コンティに迫る勢いで金額が上昇しています。

ロマネ・サン・ヴィヴァン ROMANEE SAINT VIVANT

『ロマネ・サン・ヴィヴァン』は標高が低く土壌が肥沃なため、果実味豊かなワインに仕上がります。
昔はロマネ・コンティと同じ畑として修道士に管理されていました。

フローラルなアロマと、緻密なタンニン構造が特徴の、洗練されたスタイルのワインです。

ラ・グランド・リュ LA GRANDE RUE

『ラ・グランド・リュ』はロマネ・コンティとラ・ターシュに隣接する、ニコル・ラマルシュのモノポール(単独所有畑)です。

ヴォーヌ・ロマネのグラン・クリュの中で一番親しみやすい畑で、1992年にグラン・クリュに昇格しました。

ラ・ターシュ LA TACHE

『ラ・ターシュ』も、DRC(ドメーヌ・ド・ラ・ロマネコンティ)のモノポール(単独所有畑)です。

温暖な気候により、力強く生命力あふれるワインが生まれます。
斜面上部、中部、下部をミックスすることができるため、年によってはロマネ・コンティを超える品質と言われることもあります。

4. ヴォーヌ・ロマネの代表的なプルミエ・クリュ

ヴォーヌ・ロマネ村のグラン・クリュの上方や南端には、それぞれ異なる土壌や気候条件によって生み出される個性豊かなプルミエ・クリュが広がっています。

先述のとおり14のプルミエクリュがありますが、以下では代表的なプルミエ・クリュを5つ紹介します。

レ・ルージュ LES ROUGES

エシェゾーの斜面上部に位置する『レ・ルージュ』。
複雑さとエレガンスを兼ね備えたワインを生み出します。

レ・ボー・モン LES BEAUX MONTS

ヴォーヌ・ロマネとフラジェ・エシェゾーに跨る「美しい山」という意味を持ちます。
華やかで滑らかな味わいです。

レ・スショ LES SUCHOTS

粘土質を基調とし、石灰質と泥灰質が混在する、ヴォーヌ・ロマネを代表する広大なプルミエ・クリュ。
妖艶な芳香が魅力です。

オー・ブリュレ AUX BRULEES

リシュブールの北側に位置するプルミエ・クリュ。
熟したブドウから豊かな味わいのワインが造られます。

レ・ショーム LES CHAUMES

ラ・ターシュ南方に位置するプルミエ・クリュ。
しなやかさと力強さを兼ね備えたワインです。

5. ヴォーヌ・ロマネ(グラン・クリュ)のおすすめワイン5選

ヴォーヌ・ロマネのおすすめワインを格付けごとに紹介します。
まずはグラン・クリュのおすすめワインを5つ紹介します。

ニュダン エシェゾー 2021

ニュダン エシェゾー 2021

ニュダンの畑で育まれた、50年以上の時を経た古樹から生まれたエシェゾー。
深紅のルビーを思わせる色合いの中に、熟したラズベリーやダークチェリーの芳醇な香りが凝縮されています。
スパイシーなニュアンスがアクセントとなり、長い余韻が口の中に広がります。

フェヴレ エシェゾー アン・オルヴォ 2021

フェヴレ エシェゾー アン・オルヴォ 2021

深いルビー色のワインで、スミレやバラといった華やかなアロマが立ち上り、黒果実の凝縮した香りが複雑に絡み合います。
シルキーなタンニンとミネラル感のバランスが絶妙で、余韻も長いワインです。

ジャン・マルク・ミヨ グラン・エシェゾー 2020

ジャン・マルク・ミヨ グラン・エシェゾー 2020

オーク樽由来のバニラやココアのニュアンスに、レッドベリーやプラムの熟成した香りが重なり合い、複雑で奥深いアロマを形成しています。
凝縮感のある果実味とミネラル感が一体となり、力強くエレガント。
シルキーなタンニンと酸のバランスが絶妙で、余韻は長く、複雑な味わいです。

ドメーヌ・グロ・フレール・エ・スール リシュブール 2022

ドメーヌ・グロ・フレール・エ・スール リシュブール 2022

年間3000本限定生産の希少なグラン・クリュ。
凝縮した果実味と柔らかさがこのワインの魅力です。
ヴォーヌ・ロマネのテロワールを最大限に引き出した、力強く個性的なワインです。

ルシアン・ル・モワンヌ グラン・エシェゾー 2021

ルシアン・ル・モワンヌ グラン・エシェゾー 2021

グラン・エシェゾーは、ヴォーヌ・ロマネの北部に位置する、エシェゾーとクロ・ド・ヴージョに囲まれたグラン・クリュ。
複雑で深みのあるアロマと凝縮感のある果実味が見事に調和した、高級感のある華やかなワインです。

6. ヴォーヌ・ロマネ(プルミエ・クリュ)のおすすめワイン3選

続いてプルミエ・クリュのおすすめワインを3つ紹介します。

ミシェル・グロ ヴォーヌ・ロマネ オー・ブリュレ 2021

ミシェル・グロ ヴォーヌ・ロマネ オー・ブリュレ 2021

豊富なミネラルが感じられるエレガントなワイン。
タンニンはまろやかで、飲み頃が早く訪れます。
洗練されたスタイルのオー・ブリュレです。

シュヴィニー・ルソー ヴォーヌ・ロマネ レ・プティ・モン 2021

シュヴィニー・ルソー ヴォーヌ・ロマネ レ・プティ・モン 2021

特級リシュブールと1級クロパラントゥに隣接するプルミエ・クリュです。
ルビー色の宝石を思わせる鮮やかな色合い。
赤系ベリーの芳醇な香りと、コンフィや香辛料などの複雑なアロマが織りなすハーモニー。
口中に広がる果実の甘美な風味と、シルキーな舌触りが、五感を魅了します。

ジジャン・マルク・ミヨ ヴォーヌ・ロマネ レ・スショ 2020

ジジャン・マルク・ミヨ ヴォーヌ・ロマネ レ・スショ 2020

口当たりはきめ細かく、シルキーなテクスチャーのワイン。
力強い果実味と酸味のバランスが良く、フレッシュさも感じられます。

7.まとめ

ヴォーヌ・ロマネは、世界一の高級ワインであるロマネ・コンティが生産される産地です。
8つのグラン・クリュと14のプルミエ・クリュを持ち、世界中のワイン愛好家から「神に祝福された村」「神に讃えられた村」と讃えられています。

ヴォーヌ・ロマネのワインを飲み比べてみたい方はぜひオンラインストアをご覧ください。

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井黒 卓

ロオジエ ビバレッジ・ディレクター兼シェフソムリエ

2020年 第9回全日本最優秀ソムリエコンクール優勝
総合ワインコンサル TACTICAL WINE CONSULTANT代表
一般社団法人 日本ソムリエ協会 理事

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