このワインとの出会いは3年前の12月。シャンパーニュの試飲が目当てで訪れた某ワインショップのセラーの片隅にあったこのワインの2017年ヴィンテージのラベルに呼ばれている様な気がして、魅入られる様にレジに持って行きました。すると、たまたまそこにシャンパーニュの説明に来ていた某インポーターの営業S君（このワインのインポーターの方ではない）が、すごい勢いでこのワイナリーの畑を見に行った時の事を語り始めたのです。そして真剣に「絶対これ買った方がいいです。」と。勿論買って帰り、飲んでその涼やかさと色気を両立した味わいに衝撃を受けました。オーストラリアでも特に冷涼なGIヘンティの中でも最も冷涼なハミルトン小地区で、1997年からバイオダイナミック農法、無灌漑、野生酵母で一部全房発酵、無清澄、無濾過と自然なアプローチですが、味わいはあくまでピュア。ラズベリーやサワーチェリーと中心とした鮮やかな赤い小粒の果実感と、複雑味を与える全房由来のスパイシーさ、そして全体を支える美しい酸味としなやかな質感は、NWのピノ・ノワール好きも、ヨーロピアンパレートの方も、両方満足させられる強さと繊細さを持っていると思います。今でも十分に美味しいですが、全房が綺麗に溶け込む2026年頃まで待つことが出来れば、もう1ランク上の色気を感じられると思います。

私の原点はアメリカワインであり、今はピノ・ノワールに心動かされる人であります。
このセットを販売することが決まったときにアメリカのピノ・ノワールを入れることは決めていました。とはいっても好きなもの多数でチョイスに困りました。高くて(本数も少ない)入れられないけど「リース」や「リトライ」「ドメーヌ・ド・ラ・コート」など難しすぎるワインが結構好きですが、多くの皆さんに薦めるワインではないので、そういったところから今回のワインをチョイスしました。
オー・ボン・クリマは名実ともにアメリカを代表するピノ・ノワールですね。
まずはこの王道の素晴らしさを感じて欲しいです。
最近のアメリカピノは、ブルゴーニュよりも透明感があるものも増えました。abcも例外に漏れず透明感ばっちりです。
ただアメリカのワインは質感こそ透明感がありますが、クラフトコーラのような黒系スパイスが味わいの中心にしっかりきます。そこはブルゴーニュにはあまりないポイントです。
そのポイントを中華のスパイスに合わせるのが至高。
辛くないものがよいですが、甜麺醤や八角、そして醤油みりん砂糖の黄金比を掛け合わせ、にんにくや生姜をアクセントにするとアメリカピノに抜群にハマります。
しばらくアメリカワインを飲んでないという方もいるのではないでしょうか？
最近改めてその良さを感じている本名からオー・ボン・クリマノックスをご紹介いたしました。

チリの赤ワインと聞くと“チリカベ”の印象が強い方が多いのではないでしょうか。実は今“チリピノ”のクオリティがすっごく高くておいしいのです！今回私がセレクトした『アメリア』は、チリの中でも特徴的な地域である“リマリ”のケブラダセカ・ヴィンヤードから収穫されたピノ・ノワールから造られています。リマリはチリ北部に位置していて、ここで生産されるぶどうは太平洋の影響を強く受けています。カマンチャカという霧がかかり朝方まではとても涼しく、昼間になると一気に霧が晴れてとても日差しが差し込みます。この日格差がとてもいいピノ・ノワールが育つ理由です。味わいはとても複雑で、赤いベリー系の味わいの中に、紅茶の葉、そしてミネラル感もあり…上品で素晴らしいピノ・ノワールです。ピノ専門店に勤務しているのと、チリワインエキスパートとしてチリピノをたくさん飲んでいる私でも、毎回新鮮に『このピノ、おいしい！！』と感じる逸品です！