酒精強化ワインとは?
酒精強化ワインとは?

特徴や種類、それぞれの飲み方やおすすめ商品を解説!

特徴や種類、それぞれの飲み方やおすすめ商品を解説!

THE CELLAR JOURNAL --- writer : Daichi Yoshikawa

酒精強化ワインは醸造中にアルコールを添加したアルコール度数の高いワインの総称です。
高いアルコール度数と独自の製法から生まれるその味わいは、甘口から辛口まで幅広く、多くのワイン愛好家に愛されています。本記事では、酒精強化ワインの特徴や種類、飲み方、さらにはおすすめ商品までを詳しく解説します。
酒精強化ワインは醸造中にアルコールを添加したアルコール度数の高いワインの総称です。
高いアルコール度数と独自の製法から生まれるその味わいは、甘口から辛口まで幅広く、多くのワイン愛好家に愛されています。本記事では、酒精強化ワインの特徴や種類、飲み方、さらにはおすすめ商品までを詳しく解説します。

酒精強化ワインとは?特徴や種類、それぞれの飲み方やおすすめ商品を解説!

特徴や種類、それぞれの飲み方やおすすめ商品を解説!
2024.12.23

1. 酒精強化ワインとは?

酒精強化ワインとは、醸造中にブランデーなどの強いアルコールを添加してアルコール度数を高めたワインのことを指します。別名「フォーティファイドワイン」とも呼ばれます。スペインのシェリー、ポルトガルのポートワイン、マデイラワイン、イタリアのマルサラワインは4大酒精強化ワインとして知られています。

甘口か辛口かはアルコール添加のタイミングが決め手で、発酵中にアルコールを加えると甘口、発酵後に加えると辛口のワインになります。また、酒精強化ワインの多くは独特の製法を取り入れ、熱処理や酸化熟成を行うことで保存性を高めながらも個性的な味わいを生み出しています。

2. 酒精強化ワインの特徴

酒精強化ワインの特徴

酒精強化ワインの特徴について解説していきます。

アルコール度数が15度以上

通常のワインのアルコール度数が10%~14%であるのに対して、酒精強化ワインは酒精添加によってアルコール度数が15%以上と高くなり、より力強い味わいと個性を生み出します。

長期保存が可能で、開栓後も長く楽しめる

酒精強化ワインは、高いアルコール度数によって通常のワインよりも長期の保存が可能になります。また、甘口の酒精強化ワインは糖度や酸度が高いため、酸化しにくい特徴があります。
そのため、シェリーやポートのような酒精強化ワインは数十年の熟成が可能で、開栓後でも1ヶ月程度は風味を損なわず楽しめます。特に、マデイラワインのような加熱熟成を行うタイプは、開栓後もほとんど味わいが変化しないのが魅力です。

3. 酒精強化ワインの種類

酒精強化ワインの種類

酒精強化ワインの主な種類は以下の通りです。飲み方や合わせたい料理などについても順に解説していきます。

  • スペイン シェリー
  • ポルトガル ポートワイン
  • ポルトガル マデイラワイン
  • イタリア マルサラワイン
  • フランス V.D.L.(ヴァン・ド・リキュール)
  • フランス V.D.N.(ヴァン・ドゥー・ナチュレル)

スペイン シェリー

シェリーはスペイン南部アンダルシア州のヘレス地方で造られる酒精強化ワインです。
使用する主なブドウはパロミノで、その他にペドロ・ヒメネスやモスカテルも使われます。
シェリーは発酵後にアルコールを添加し、辛口から極甘口まで幅広いスタイルがあります。

近年注目されている辛口タイプには、フロール(産膜酵母)を利用した熟成で造られるフィノやマンサニーリャがあります。また、酸化熟成を施したアモンティリャードやオロロソも人気です。

シェリーの飲み方や合う料理

辛口シェリーは、生ハムやナッツ、塩気のあるタパスと相性抜群です。甘口のシェリーは、アイスクリームやフォアグラと合わせるのもおすすめです。
また、カクテルベースとしても利用されることが多く、炭酸飲料とミントを加えた「レブヒート」は暑い季節にぴったりです。

ポルトガル ポートワイン

ポートワインは、ポルトガル北部ドウロ地方で造られる甘口の赤ワインです。黒ブドウを主原料とし、発酵途中にスピリッツを加えてアルコール度数を19~22%に高めます。

レッド・ポート、ホワイト・ポート、ロゼ・ポートの3種類に大別され、なかでもレッド・ポートは主に「ルビーポート」と「トゥニーポート」の2つのスタイルがあります。

ルビーポートは若々しい果実味が特徴で、短期間の熟成を経て出荷されます。一方、トゥニーポートは長期の酸化熟成により、ナッツやキャラメルの風味が生まれます。

ポートワインの飲み方や合う料理

ポートワインは、ブルーチーズやチョコレートとのペアリングが定番です。トゥニーポートは、葉巻との相性も良いとされています。
また、長期保存が可能なので、少しずつ時間をかけて楽しめるのが魅力です。

ポルトガル マデイラワイン

マデイラワインは、ポルトガル南西部のマデイラ諸島で造られる酒精強化ワインの一種です。

マデイラワインの熟成には、エストファと呼ばれる温水加熱と、カンテイロと呼ばれる自然加熱の2つの方法が用いられ、原料となるブドウ品種によって味わいが異なり、甘口から辛口までさまざまなスタイルのワインがあります。

品種 味わい
セルシアル(Sercial) 辛口
ヴェルデリョ(Verdelho) 中辛口
ボアル(Boal/Bual) 中甘口
マルヴァジア(Malvasia) 甘口

マデイラワインの飲み方や合う料理

辛口のセルシアルやヴェルデーリョは食前酒に、甘口のボアルやマルヴァジアは食後酒に適しています。

初心者は、気軽にソーダ割がおすすめです。チーズなナッツをおつまみに、ロックスタイルで飲むのも良いでしょう。
開栓後1ヶ月程度は持つので、ゆっくりと楽しめるのが嬉しいポイントです。

イタリア マルサラワイン

マルサラワインは、イタリアのシチリア島で造られる世界4大酒精強化ワインの一つです。
オーク樽で熟成させることで、香ばしい木樽の香りとカラメルの風味を持ち、豊かなアロマを感じるワインになります。

使用する原料の割合や熟成期間によって、黄金色のオーロ、琥珀色のアンブラ、ルビー色のルビーノなど、さまざまな色合いのワインが生まれます。
熟成年数や糖度によって分類され、辛口のセッコから甘口のドルチェまで幅広いスタイルが楽しめます。

マルサラワインの飲み方や合う料理

辛口は食前酒、甘口はデザートワインとして楽しむのが一般的です。甘口のマルサラは、バニラアイスやケーキ、焼き菓子と合わせるとマルサラの豊かな風味がより引き立ちます。

フランス V.D.L.(ヴァン・ド・リキュール)

V.D.L.(ヴァン・ド・リキュール)は、フランスで造られる甘口の酒精強化ワインです。
未発酵のブドウ果汁にブランデーなどのアルコールを添加することで、発酵を止めて甘さを残します。

一般的に甘口となり、アルコール度数は16~22%と比較的低く、赤、白、ロゼのタイプが存在します。
生産地によって原料になるブドウの種類は異なりますが、主な生産地はジュラ地方、アルマニャック地方、コニャック地方に集中しています。

ヴァン・ド・リキュールの飲み方や合う料理

食前酒としても楽しめmがが、食事の後にゆっくりと味わうことで、真価を発揮するワインです。冷蔵庫でよく冷やしてから、ブルーチーズやカマンベールチーズと合わせると、豊かな甘みと芳醇な香りが際立ちます。

フランス V.D.N.(ヴァン・ドゥー・ナチュレル)

V.D.N.(ヴァン・ドゥー・ナチュレル)はフランスで造られる酒精強化ワインの一種です。
ブドウ果汁の発酵途中にアルコールを添加することで酵母の働きを止め、糖分を残した甘口のスタイルに仕上げられます。
一般的にアルコール度数は16〜22%と高めですが、甘やかな風味と濃密な味わいが特徴です。

主な生産地は南フランスのラングドック・ルーション地方で、原料ブドウとしてグルナッシュやミュスカなどが使用されます。
中でも、ミュスカ・ド・リュネル、ミュスカ・ド・ミルヴァル、ミュスカ・ド・フロンティニャン、ミュスカ・ド・サン・ジャン・ド・ミネルヴォワといった4つのV.D.N.は、A.O.C.(原産地統制呼称)を取得しており、ミュスカ・ア・プティ・グラン・ブラン種を100%使用している点が特徴です。
この特定品種がもたらす花やフルーツの芳香が、ワインに独特の個性を与えています。

ヴァン・ドゥー・ナチュレルの飲み方や合う料理

V.D.N.は食後酒やデザートワインとして楽しまれることが多く、特に南フランスのルーション地方で造られる「バニュルス」は、チョコレートとの相性が抜群です。
濃厚な甘みと滑らかなテクスチャーが、ビターなチョコレートの味わいを引き立てます。

また、ブルーチーズとも絶妙なマッチングを見せます。ブルーチーズの塩味とV.D.N.の甘みが絶妙なバランスを生み出し、ワインの複雑なアロマをより楽しむことができます。冷やして飲むと、フレッシュさが際立ち、果実味がより感じられるのでおすすめです。

4. おすすめの酒精強化ワイン4選

おすすめの酒精強化ワインを順番に紹介していきます。

ヴィニョス・バーベイト マデイラ・ブアル・レゼルバ 5年 NV

ヴィニョス・バーベイト マデイラ・ブアル・レゼルバ 5年 NV

ポルトガル・マデイラ州で造られたマデイラ。ドライフルーツやフローラルな香りが特徴の甘口タイプです。丸みを帯びたミディアムボディに、かすかにスモークされた味わいが感じられ、食後にゆっくり味わいたい一本です。

キンタ・ド・インファンタード ホワイト・ポート NV

キンタ・ド・インファンタード ホワイト・ポート NV

熟したリンゴやフレッシュな洋梨を思わせるアロマが広がり、濃密さと爽やかさの絶妙なバランスが魅力のホワイトポートワイン。ブドウ本来の味わいが楽しめるポートワインを探している方におすすめです。

デルガド・スレタ マンサニーリャ ラ・ゴヤ NV

デルガド・スレタ マンサニーリャ ラ・ゴヤ NV

デルガド・スレタを代表するマンサリーニャの傑作。パロミノ100%、ソレラで5~6年熟成させたシェリーです。炒ったアーモンドや柑橘系の皮、カモミールの香りが特徴で、軽やかで柔らかな辛口に仕上がっています。長い余韻も楽しめる上品な一本。

ベリーズ・オウン・セレクション アモンティリャード

ベリーズ・オウン・セレクション アモンティリャード

スペイン・アンダルシア州で造られたアモンティリャード・シェリー。アモンティリャードは、フィノを酸化熟成をさせたフィノとオロロソの中間的なスタイルのシェリーで、フィノとオロロソの両方の魅力を凝縮したような味わいが特徴です。

長期にわたる意図的な酸化熟成によって、ナッツのような複雑な風味や熟成感が深まり、フロール由来の独特な味わいが際立ちます。酸化熟成による個性的な酒精強化ワインを飲みたい方におすすめです。

5. まとめ

酒精強化ワインは多様なスタイルと保存性の高さで、ワイン初心者から愛好家まで幅広い層に支持されています。食事の前後に楽しむだけでなく、料理にも活用できる万能なワインです。

ぜひ、この記事を参考にお気に入りの酒精強化ワインを見つけてみてください。酒精強化ワインを飲み比べてみたい方はTHE CELLAR online storeを参考にしてみてください。

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吉川 大智

JSA認定 ソムリエ

バーテンダー、ワインバーのマネージャーを経てワインのPRライターに。過去には40カ国200都市の酒場とワイナリーを訪問した経験あり。

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