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「ワイン色」とはどんな色?一般的な定義や醸造方法による色の違い、厳選ワインも紹介

「ワイン色」とはどんな色?
「ワイン色」とはどんな色?

一般的な定義や醸造方法による色の違い、厳選ワインも紹介

一般的な定義や醸造方法による色の違い、厳選ワインも紹介

THE CELLAR JOURNAL --- writer : Haruko Yamamoto

「ワイン色」という言葉から、どんな色を想像しますか?人によって頭に浮かぶ色は違うかもしれませんね。
本記事では、一般的な「ワイン色」の定義や、醸造方法の違いなどによるワイン色の特徴を解説していきます。また、記事後半では、美しい色合いが特徴の厳選ワインも紹介するので、ぜひ、皆さんのワイン選びの参考にして下さい。
「ワイン色」という言葉から、どんな色を想像しますか?人によって頭に浮かぶ色は違うかもしれませんね。
本記事では、一般的な「ワイン色」の定義や、醸造方法の違いなどによるワイン色の特徴を解説していきます。また、記事後半では、美しい色合いが特徴の厳選ワインも紹介するので、ぜひ、皆さんのワイン選びの参考にして下さい。

「ワイン色」とはどんな色?一般的な定義や醸造方法による色の違い、厳選ワインも紹介

一般的な定義や醸造方法による色の違い、厳選ワインも紹介
2024.12.27

1. 一般的な「ワイン色」の定義

一般的に、ワイン色とは、「ワインレッド」、「バーガンディ」、「ボルドー」という3色を指します。ファッションや美容関連の記事などで言葉や色味を目にしたこともあるかと思います。
それぞれの色は、日本産業規格『JIS Z 8102:2001 物体色の色名』付表1に示す慣用色名(以下、「JIS慣用色名」)で定義されており、色の由来や明度などが異なります。

ワインレッド
バーガンディ
ボルドー
 参照:原色大辞典

ワインレッド

ワインレッドは、JIS慣用色名で「こい紫みの赤」と定義されています。明るい赤色と比べて、濃い色調で、まるで赤ワインのような紫の色味を感じさせる点が特徴です。

バーガンディ

バーガンディは、JIS慣用色名で「ごく暗い紫みの赤」と定義されています。バーガンディとは、ワインの銘醸地であるフランス、ブルゴーニュ地方の英語名。そのため、色調はブルゴーニュの赤ワインの代表的なブドウ品種「ピノ・ノワール」の色味をイメージしていると言われており、黒ブドウの色素が色濃く残る、濃い紫の混ざった赤みが特徴的で、前述のワインレッドよりも明度が低い色調を指します。

ボルドー

ボルドーは、JIS慣用色名で「ごく暗い赤」と定義されています。ボルドーは、ブルゴーニュと並ぶ、フランスが誇るワインの銘醸地。
ブルゴーニュよりも温暖な場所にあり、主に用いられるカベルネ・ソーヴィニヨンやメルロなどの黒ブドウ品種はピノ・ノワールよりも色調が濃く、深みのある濃い赤色にワインが仕上がることから、ボルドーカラーと言われています。

参 考
一般的な「ワイン色」の定義は上記の通りですが、実際にワインの色を表現する際は、色調や色の濃さに注目します。というのも、ワインは熟成期間や産地の気候、品種、醸造手法などの違いで、色調や濃淡が変化するからです。例えば、赤ワインの場合、若いうちは紫色のニュアンスが強いですが、熟成を経るとオレンジや褐色のニュアンスが強くなりますし、白ワインの場合、若いうちは緑色のニュアンスが強く、熟成を経るとアンバーや琥珀のニュアンスが強くなります。また、一般的に冷涼な地域の方が色調は淡く、温暖なら濃くなる傾向がありますし、熟成と共に色素は弱まり、徐々に色は薄くなっていきます。テイスティングする際は、こういった点に注目してみると面白いかと思います。

2. 醸造方法や産地で異なる7色のワインカラー

ワインの色は、醸造過程や、産地、使用するブドウ品種などによって違いが生まれます。ここでは代表的なワイン色を紹介していきます。

赤ワイン

赤ワインは、黒ブドウを使い、果皮や種子とともに発酵させることで、赤い色に仕上がります。特に、果皮に含まれる色素(アントシアニン)は水溶性で、液温が高い方が抽出速度は速くなります。

黒ブドウを除梗・破砕した後、果汁と一緒に果皮や種子を漬け込み(醸し:マセラシオン)発酵させていきますが、破砕した状態で果汁温を上げたり、発酵熱をかけながらマセラシオンしたりすることで、色素の抽出を促します。
尚、種子などに含まれるタンニンは、アルコールが高い環境下でより抽出されるので、醸し発酵の過程で赤ワイン独特の渋みが生まれることになります。

醸造方法や産地で異なる7色のワインカラー

白ワイン

一方の白ワインは、白ブドウを用い、除梗・圧搾の後すぐに圧搾し、種や果皮を取り除いて果汁のみで発酵させていきます。果皮から果汁に色素が抽出されないので、ブドウ果汁に近い色調に仕上がり、タンニンも抽出されないので渋みもほとんど感じられることはありません。

白ワインの中には、「スキンコンタクト」という手法を用い、数時間~24時間程度、果汁に果皮を浸した後に圧搾するものもあります。
果皮に含まれる香りを抽出したり、ワインの質感を向上させたりすることを目的に行われるのですが、色素も抽出されるので、色合いも濃くなります。
尚、果汁に果皮を浸したまま発酵まで進むと下段で紹介するオレンジワインになります。

白ワインについては、詳しくは以下も併せ参考にして下さい。
└「白ワインの種類とは?基礎知識や選ぶ時のポイントなどをわかりやすく解説」

ロゼワイン(ピンクワイン)

ロゼワインの製法はいくつかあり、製法により色味の濃さが異なります。ここでは、代表的なものを紹介します。

まずはセニエ法です。赤ワインのような造り方で、黒ブドウを除梗・破砕した後、果汁と一緒に果皮や種子を漬け込みます。希望する色になったら果汁を取り出して、白ワインのように発酵させて仕上げていきます。発酵の途中まで果皮と果汁が接しているので、濃いピンク色に仕上がります。

次は直接圧搾法です。白ワインのような作り方で、黒ブドウを破砕・圧搾し、果汁のみを発酵させます。破砕・圧搾時に果皮の色が果汁に移りますが、果汁のみを発酵させるので、色素の抽出は少なく、淡いピンク色に仕上がります。

上記以外にも混醸法やブレンド法といった製法があります。詳しくは以下も併せて参考にして下さい。
└「ロゼワインは白・赤とどう違う?製造方法や美味しい飲み方、おすすめ10選も紹介」

醸造方法や産地で異なる7色のワインカラー

オレンジワイン

オレンジワインは、白ブドウを使って赤ワインの製法で造られます。白ブドウの種子や果皮を果汁と一緒に醸し・発酵させるので、ほんのりオレンジ色に色付きます。また、種子や果皮と一緒に発酵することで、白ワインにはないタンニンも抽出されるので、若干の渋みを感じます。

オレンジワインについては、詳しくは以下も併せて参考にして下さい。
└「オレンジワインの特徴とは?人気の理由や美味しい飲み方、おすすめ5選も紹介」


これまでは、色別に代表的なワインの総称を説明してきました。
以下では、特定の地域で造られるワインの特徴から付けられた名称に色が含まれるものを紹介していきます。

緑ワイン

ポルトガル語で文字通り「緑のワイン」を意味する、「ヴィーニョ・ヴェルデ」。ポルトガル北西部に位置するミーニョ地方で造られるワインのうち、一定の基準をクリアしたものに付与される呼称です。昔は赤ワインが主流でしたが、現在は白ワインが80%以上を占め、複数品種のブレンドで造られることが多いです。

なぜ「緑」なのでしょう?大西洋の影響で雨量が多いこの地域は「緑」が豊かだからという説もありますし、若々しさやフレッシュさの象徴としての「緑」という説もあります。
というのも、ヴィーニョ・ヴェルデはそのフレッシュさを大事にし、低温で発酵した後、熟成を加えず、すぐさま瓶詰めされます。フレッシュな味わいを堪能することを念頭においた、早飲みスタイルのワインなのです。
発酵時に発生する炭酸ガスが抜けきらないうちに瓶詰めしたり、瓶詰めのタイミングで炭酸ガスを注入したりすることで微発泡のワインに仕上げるものもあり、プチっとした泡と共に爽やかな味わいを楽しめます。

黄ワイン

「緑」の次は「黄」。フランス語で「黄色いワイン」を意味する「ヴァン・ジョーヌ」というワインは、フランスのジュラ地方で造られています。

完熟を待って収穫したサヴァニャンという地域固有の白ブドウを発酵後、長期間(産膜酵母下の5年間を含めた最低6年)樽熟成させます。樽の上部に空白を残した状態で熟成させることで、時間と共に「ワインの花」と呼ばれる産膜酵母が形成されるのですが、この産膜酵母のおかげで適度な酸化が可能になるのです。

長期の酸化熟成により、色調は濃い黄色。ナッツのようなこっくりした香りと、熟した果実や蜂蜜といった甘いアロマを伴うヴォリューム感のある贅沢な辛口ワインです。同じジュラ地方の名産コンテチーズとのペアリングは絶品なので、ぜひお試しを!

醸造方法や産地で異なる7色のワインカラー

黒ワイン

最後は「黒」。ボルドー地方を流れるガロンヌ川に流れ込む支流の一つ、ロット川の流域に広がる、フランス南西地方に位置するカオールで造られる赤ワインが、「黒ワイン」として親しまれています。
赤ワインの主要品種であるマルベックは小粒で果皮が厚いため、非常に濃い色調のワインとなり、赤よりも黒っぽいワインに仕上がることが名前の由来です。

見た目のインパクトは強く、厚い果皮由来の豊富なタンニンから力強い渋みもあるのですが、酸味とのバランスが素晴らしく、フルボディながら口当たりはなめらかな仕上がりです。若いうちは、ブルーベリーやプルーンといった果実の香りとともに、スミレのようなお花やスパイス、鉄っぽいニュアンスも感じられます。
近年は、力強さの中にもエレガントさを感じるスタイルのワインも造られるようになっています。

3. 美しい色味が特徴的なおすすめワイン3選

ここからは、特に色合いが美しいワインを厳選して3本紹介していきます。

カテナ マルベック 2019(ハーフ)

カテナ マルベック 2019(ハーフ)

こちらは、フランスのカオールで「黒ワイン」と評されるワインの主要品種マルベックのみで造られた、アルゼンチンの赤ワインです。
深いスミレ色が印象的で、濃厚な風味に溢れているので、牛肉を使った料理との相性が抜群。今すぐ飲んでも美味しいですが、10年~15年ほどの熟成にも期待が持てるワインです。

E.ギガル タヴェル ロゼ 2021

E.ギガル タヴェル ロゼ 2021

フランス3大ロゼの一つである、ローヌ地方のタヴェル・ロゼ。セニエ法を用いて作られており、色調は華やかな濃いチェリーピンク。グルナッシュやサンソーの他、複数のブドウ品種のブレンドで、飲み応えのあるパワフルさに溢れた味わいは、赤ワインの代わりにもなるほど!
肉料理や煮込み料理にもよく合います。

メゾン・アン・ベル・リー オロール 2022

メゾン・アン・ベル・リー オロール 2022

こちらは直接圧搾法で造られたブルゴーニュ地方のロゼです。「AURORE(夜明け)」の名前の通り、淡く美しいローズピンクが目を引きます。
ブドウ品種はガメイで、ジューシーな果汁の甘酸っぱさと酸味のバランスが◎。体に自然としみわたるようなフレッシュな飲み口が印象的なロゼです。

4. まとめ

いかがでしたか?
本記事では、ワインの色についてあらゆる角度から考え、一般的に「ワイン色」と呼ばれる色の定義や、さまざまな色のワインを醸造手法も交えながら説明しました。美しい色合いが魅力のおすすめワインも厳選して3本紹介しているので、ぜひ、皆様のワイン選びの参考にして下さい。
さまざまな色のワインをもっと試してみたいという方は、ぜひTHE CELLAR online storeや近隣の店舗にいらして下さい。経験豊富なスタッフが、皆さまのワイン選びをサポートいたします。

※当サイトの内容、テキスト、画像等の無断転載・無断使用を固く禁じます。また、まとめサイト等への引用を厳禁いたします。
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山本 暖子

WSET認定 Level4 Diploma / JSA認定 ワインエキスパート

学生時代の留学や総合商社勤務時の海外駐在などを通じ、世界各国のワインやその文化に魅了される。
現在は瀬戸内海に浮かぶ大三島で農的暮らしを営みながら、カーヴ・ド・リラックスのECサイト運営やコラム執筆など、ワインに関する情報発信に力を注いでいる。

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