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シュナンプランとは?代表的な産地、ワインの香りや味わい、相性の良い料理を解説

シュナンプランとは?
シュナンプランとは?

代表的な産地、ワインの香りや味わい、相性の良い料理を解説

代表的な産地、ワインの香りや味わい、相性の良い料理を解説

THE CELLAR JOURNAL --- writer : Wataru Iwata

シュナンブランとは白ブドウ品種の一種です。
酸度が高く、辛口から甘口、そしてスパークリングワインなど様々なタイプのワインがこのブドウ品種から造られています。香りや味わい、代表的な産地を知っておくと、この品種が持つ魅力、そして奥深さをより楽しめることは間違いありません。

本記事ではそんな数多くの愛好家を魅了するシュナンブランについて解説させていただきます。
シュナンブランとは白ブドウ品種の一種です。
酸度が高く、辛口から甘口、そしてスパークリングワインなど様々なタイプのワインがこのブドウ品種から造られています。香りや味わい、代表的な産地を知っておくと、この品種が持つ魅力、そして奥深さをより楽しめることは間違いありません。

本記事ではそんな数多くの愛好家を魅了するシュナンブランについて解説させていただきます。

シュナンプランとは?代表的な産地、ワインの香りや味わい、相性の良い料理を解説

代表的な産地、ワインの香りや味わい、相性の良い料理を解説
2024.12.27

1. シュナンブランとは

シュナンブランはフランス北西部、ロワール地方原産の白ブドウ品種です。

芽吹きが早く、熟すのが遅いという特徴があるため、常に霜の危険にさらされる品種でもあります。また完熟しても酸が落ちにくく、常にフレッシュで高いレベルの酸度を保ちます。
そのため、辛口の白ワインから遅摘みの甘口ワイン、そして貴腐菌の影響を受けた極甘口から、スパークリングワインなど、様々な種類のワインが造られます。

2. シュナンブランの代表的な産地

代表的な産地を下記で紹介します。

フランスのロワール地方

シュナンブランはフランス北西部のロワール地方の中流域の「トゥーレーヌ」やその西側に位置する「アンジュー」で栽培される代表的なブドウ品種です。

トゥーレーヌ地方では有名なAOC Vouvrayがあり、フレッシュで滑らかなテクスチャーをもつ、フレッシュで豊潤なスタイルのシュナンブランが造られます。
また、アンジュー地方では世界最高峰のシュナンブランが造られるAOC Savennieres(サヴニエール)があり、複雑でミネラル感豊かな白ワインとともに、貴腐菌によって生み出される甘口ワインの有名なAOCも数多く存在します。

ロワール川は東西で全長1,000kmにも及ぶ長い河川で、海に近いエリアと内陸部では気候も大きく異なります。
シュナンブランの原産地であるトゥーレーヌ地方は白亜の石灰質や粘土石灰質、そして火打ち石が転がるようなシレックスと呼ばれる土壌が見られるなど、非常に多様性に富みます。

南アフリカ

シュナンブランの原産地は上述したフランスのロワール地方になりますが、世界最大の栽培面積を誇る産地は実は南アフリカなのです。

1655年にヤン・ファン・リーベックが持ち込んだとされており、現地ではスティーンという愛称で親しまれています。
1963年にスティーンとシュナンブランが同一であると判明すると、「スティーン・シュナンブラン」または「シュナンブラン」と呼ばれるようになります。

生産性が非常に高く、南アフリカのような地中海性気候の暑い産地であっても、酸度を高く保つ特性があるため、南アフリカの気候環境ととてもマッチしています。

ステレンボッシュと呼ばれる南アフリカの代表的な産地から、乾燥した温暖なエリアであるスワートランドでも、凝縮感豊かな複雑な味わいを持つシュナンブランが造られています。

3. シュナンブランを使ったワインの香り

シュナンブランを使ったワインの香り

シュナンブランは柑橘類の香りよりも果物の中に大きな種や芯があるようなフルーツの香りがまずは特徴となります。

リンゴや花梨。白桃などの甘味のある香りが第一アロマとして感じられ、熟成を経ることでハチミツや蜜蝋のような香り、そして白胡椒のような香りが感じられることもあります。そのため白いお花の香りのある品種の代表格とも呼ばれます。

樽との相性もよく、ステンレスタンクのみで熟成されるフルーツのピュアな香りが印象的なシュナンブランもあれば、樽を使用し、軽やかなスィートスパイスの香りをもつ奥行きあるシュナンブランなども有名です。

4. シュナンブランを使ったワインの味わい

シュナンブランを使ったワインの味わいは、その地域の気候や土壌などのテロワール、そして醸造方法の影響も顕著に受けやすい品種です。

酸が豊富なブドウなので、辛口ワインから甘口ワイン、スパークリングワインなど様々なタイプのワインを造ることができて、どれも品質が高いことでも有名です。

共有しているのは高い酸味を持つ白ワインを造りやすいことです。テロワールが反映されやすい品種なので、産地の違いを楽しんで飲むのも選択肢の1つです。

5. シュナンブランを使ったワインと相性の良い料理

シュナンブランを使ったワインと相性の良い料理

シュナンブランを使ったワインは何度もお伝えするようにその高い酸味がポイントになります。すっきりとした酸味のあるようなサラダや前菜料理にはとても合わせやすいのが特徴です。

酸味が穏やかでボリュームのあるタイプのシュナンブランであれば、バターなどを使用したクリーム系のソースを使った魚介料理なども大変おすすめです。
例えば、カニのサラダ、サーモンのマリネ、舌びらめのムニエル、豚肉のソテー、クリームコロッケなどがあげられます。

シュナンブランの原産地であるロワール地方のお料理とペアリングをさせたい場合は、ロワール地方でも有名な豚肉を使ったリエット、またはデザートのタルトタタンなどと合わせても良いかと思います。

6. シュナンブランを使ったおすすめワイン5選

それではこちらにシュナンブランを使ったおすすめのワインをいくつか紹介させていただきます。

ロッシュ・ヌーヴ ソミュール・ブリュット ビュル・ド・ロッシュ NV

ロッシュ・ヌーヴ ソミュール・ブリュット ビュル・ド・ロッシュ NV

こちらのワインはシュナンブラン90%、そしてカベルネフランを10%の割合でブレンドしたロワール地方らしいスパークリングワインです。
ノンドサージュ(お砂糖を一切加えていない)の辛口でフレッシュな果実味とシュナンブランらしいコクが楽しめます。特に食前酒にはぴったりなスパークリングワインです。

ファミーユ・ジョリー(クレ・ド・セラン) クロ・ド・ラ・クレ・ド・セラン 2021

ファミーユ・ジョリー(クレ・ド・セラン) クロ・ド・ラ・クレ・ド・セラン 2021

シュナンブランの最高峰のワインの1つで、世界からも注目される造り手が手がけるトップワイン。シュナンブランのみでつくられ、完熟した果林やアプリコット、芳醇な蜜蝋のようなニュアンスまで味わえる複雑な白ワインです。

800年以上もの間、ブドウ栽培が続けられている畑で収穫されたシュナンブランを使用しています。複雑であり、繊細なこの白ワインは出汁の風味を基調とした和食と合わせるときにもおすすめです。

アルヘイト・ヴィンヤーズ マグネティック・ノース 2018

アルヘイト・ヴィンヤーズ マグネティック・ノース 2018

南アフリカらしい力強さ、そしてシュナンブランらしい繊細さと豊潤さを兼ね備えたワインです。接木されていないオールドヴァイン(古木)で栽培されているシュナンブランから造られています。
造り手自体も南アフリカを代表する著名なリーディングプロデューサーであり、レガシーのような古木の品質の高いブドウと造り手のレベルの高さが混じり合う、この国を代表する特別なシュナンブランです。

アントニャック クレマン・ド・リムー グランド・キュヴェ クロズリー・デ・リ NV

アントニャック クレマン・ド・リムー グランド・キュヴェ クロズリー・デ・リ NV

フランスでも有名なシャルドネをベースにシュナンブランやピノ・ノワールをブレンドして造られるスパークリングワインです。

みずみずしいリンゴやシトラス系のフルーツの爽やかな香りに、フレッシュアーモンド、そしてブリオッシュのような香ばしいトーストしたようなニュアンスも感じられます。複雑な味わいながらも飲みやすく、様々なシーンで活躍する、汎用性の高いワインです。

シルヴァン・ゴードロン ヴーヴレ レ・ヴォー・ルイ・セック 2021

シルヴァン・ゴードロン ヴーヴレ レ・ヴォー・ルイ・セック 2021

シュナンブランのみで造られる白ワインです。
味わいのバランスを取るために若干の糖分を残していることがポイントです。シュナンブランの甘口ワインの入門編のようなワインであり、それらのタイプを試してみたい消費者には大変おすすめの一本です。

7. まとめ

シュナンブランは辛口から極甘口の貴腐ワイン、そしてスパークリングワインなど様々なタイプのワインを生み出す汎用性の高いブドウ品種です。
主にフランスのロワール地方と南アフリカの幅広いエリアで栽培されており、近年は南アフリカのシュナンブランのクオリティやスタイルに注目度が高まるとともに、世界中でも流通が増えてきています。
シュナンブランを使用したワインをもっと試してみたいという方は是非下記のリンクもご覧くださいませ!

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岩田渉 氏

THE THOUSAND KYOTOシェフ・ソムリエ

1989年愛知県生まれ。同志社大学に在学中、留学先のニュージーランドでワインに魅了され、4年間ワインの勉強に没頭する。
2019年に現職、THE THOUSAND KYOTOシェフ・ソムリエに就任。

◆主な受賞歴
2017年 「第8回全日本最優秀ソムリエコンクール」優勝。
2023年「第17回A.S.I.世界最優秀ソムリエコンクール」へ日本代表として出場しセミファイナリストに選出(第5位)

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