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アルゼンチンの代表ブドウ品種「マルベック」とは?特徴やおすすめワインを紹介

アルゼンチンの代表ブドウ品種「マルベック」とは?
アルゼンチンの代表ブドウ品種「マルベック」とは?

特徴やおすすめワインを紹介

特徴やおすすめワインを紹介

THE CELLAR JOURNAL --- writer : Toshiyuki Tsuno

『マルベック』は、アルゼンチンが世界一位の栽培量を誇る黒ブドウ品種のひとつです。
有名な黒ブドウ品種であるカベルネソーヴィニヨンやメルローなどと比べると、少しマイナーな印象のある品種かも知れません。

本記事では、マルベックの特徴や味わい、相性の良い料理やマルベックから造られたおすすめのワインを紹介いたします。
『マルベック』は、アルゼンチンが世界一位の栽培量を誇る黒ブドウ品種のひとつです。
有名な黒ブドウ品種であるカベルネソーヴィニヨンやメルローなどと比べると、少しマイナーな印象のある品種かも知れません。

本記事では、マルベックの特徴や味わい、相性の良い料理やマルベックから造られたおすすめのワインを紹介いたします。

アルゼンチンの代表ブドウ品種「マルベック」とは?特徴やおすすめワインを紹介

特徴やおすすめワインを紹介
2024.12.27

1. マルベックとは

マルベックとは

マルベックはフランスの南西部に位置するカオール地方、そしてアルゼンチンを主産地とする黒ブドウ品種です。
多くの別名を持ち、「コー」や「コット」(Côt)、ボルドー右岸で「プルサック」(Pressac)、またカオール地方ではしばしば「オーセロワ」(Auxerrois)という呼び方をされています。

現在ではアルゼンチンが最大生産国となっています。特にアンデス山脈の東に位置するメンドーサ州では長期熟成に耐えうる高品質なものが多く産出されています。

以下ではマルベックの特徴や味わい・香りについて解説します。

特徴

やや小さめの円筒形をした房で、小粒で濃い紫~黒色の果実、厚い果皮をもつ黒ブドウです。

赤ワインでありながら、豊富な色素と厚い果皮に由来する「黒ワイン」と呼ばれるほどの濃い色調が大きな特徴の一つと言えます。
果実はその果皮が厚い分、十分に成熟するには潤沢な時間と日照量、熱が必要です。

もともとマルベックは花ぶるいが起こりやすく、ベト病や霜などの被害にも遭いやすかったのですが、昨今では栽培やクローン技術の進歩で問題は徐々に改善してきています。

香りと味わい

全体的にマルベックを使ったワインは豊かな果実の濃縮感を楽しむことができます。

ブラックチェリーやブルーベリー、カシス、プルーンなどの香り、鉄分やスパイスなどが代表的なもので、若いうちはスミレのニュアンスや、凝縮したタンニンを連想させるなめし革の香り、仄かに赤身肉のグリエを思わせる香りも感じられたりします。
また、樽で寝かせることで、バニラや杉、シガーっぽさをその香りにまとい、味わいにも力強さが出たりします。

味わいは酸味がはっきりと感じられることが多く、後味にほろ苦みを残すことが多いようです。
タンニンの収斂性については、最近の造りのものは色調などから受ける印象よりマイルドに仕上がっているものが多い印象です。

2. マルベックの代表的な産地

現在のマルベックの代表的な産地はフランスとアルゼンチンです。
それぞれの産地とマルベックとの関係について以下で解説します。

また少量ですが、スペインのリベラ・デル・デュエロやチリ、オーストラリア、カリフォルニア、イタリア北東部、南アフリカでも生産されています。

フランス

以前はボルドーで人気のあった品種でしたが、近年はフランスの南西地方のカオールで栽培が盛んにおこなわれています。

カオール地方ではボルドーに比べ日照量も確保しやすく、より乾燥しているために病気のリスクも抑えやすいという利点があります。
やはり色調は大変濃く、粘性については中程度~しっかりめであることが多いです。

アルゼンチンのものと比べると、より酸味がシャープなものが多く、それに増長される形でタンニンも若いうちはタイトに感じられるように思います。

アルゼンチン

アルゼンチンは現在、世界一のマルベック生産国となっています。

日照量の豊富さと降雨量の少なさなどマルベックに適した気候を活かして、フランスのものと比べてより濃度のある果実感と豊かなアルコールのふくらみを感じる力強い仕上がりのものが多いようです。

なかでもメンドーサ州の西側に位置する標高の高いルハン・デ・クージョ(ルハン・デ・クヨとも)では、果実味の充実感とともにしなやかで上質なマルベックワインを多く産出しています。

3. マルベックから造られたワインに合う料理

マルベックから造られたワインに合う料理

マルベックの持つ豊かなタンニンと果実味、スパイスのニュアンスは、肉汁の旨みを楽しむ赤身肉のステーキやラム肉、網焼きにした肉料理との相性がとても良いです。

また、ステーキにした和牛などに感じられる繊細な肉の脂身は豊富なタンニンとうまく溶けあい、少しの黒胡椒や山椒をアクセントにしてあげることで、香りと味のふくらみをより豊かに感じていただけると思います。
肉の塊を炭火でじっくりと焼いて仕上げるアルゼンチンの有名な肉料理「アサード(”焼く”の意。アルゼンチン風BBQ)」も、樽熟成をしたマルベックと抜群の相性を体験できます。

濃厚でコクのあるチーズとの相性も大変よく、熟成したコンテやパルミジャーノ・レッジャーノ、またフルムダンベールなど牛乳から造られる青かびチーズもアルゼンチン産の濃厚でまろやかな果実味を持つマルベックと好相性です。

また、トマトの酸味とも相性が良いですね。
特に時間をかけて煮込むなどして火のエネルギーを素材に移していく料理、例えばミートボールのトマト煮やトマトソースのラザニア、ビーフシチューなども仕上げにちょっとスパイスを使ってあげると最高のマリアージュを楽しむことができるでしょう。

4. マルベックから造られたおすすめワイン3選

マルベックから造られたおすすめのワインを3つ紹介します。

カテナ アラモス マルベック 2022

カテナ アラモス マルベック 2022

アルゼンチンで生産された赤ワインです。
ブラックチェリーやカシスなど黒系果実やチョコレート、スパイスのようなアロマがあり、リッチな口当たり。
ミディアムボディでしっかりとした構成力のあるタンニンが特徴のワインです。

カテナ マルベック 2021

カテナ マルベック 2021

アルゼンチンで生産された赤ワイン。
すぐに飲んでもおいしく味わえるが、10年~15年の熟成も期待できるワインです。
牛肉料理との相性が抜群なので、友人などとのバーベキューに持参して皆でマルベックワインと肉のペアリングを堪能してみてはいかがでしょうか。

マス・デル・ペリエ カオール レ・ゼスキュール 2021

マス・デル・ペリエ カオール レ・ゼスキュール 2021

フランスの南西地方で生産されたオーガニック赤ワイン。
チェリー、カシスなどのフレッシュな赤黒系果実や複雑なスパイスのアロマが感じられます。
桑の実のような少し酸を連想させるような果実味とタンニンが絶妙に調和している、やさしい口当たりのワイン。

5. まとめ

マルベックとは、フランス南西部のカオール地方やアルゼンチンのメンドーサ州で多く栽培される黒ブドウ品種です。
濃い色味と濃縮した黒系の果実、やや強めのタンニンが味わえ、肉料理との相性が抜群です。
マルベックに興味を持っていただけた方は、THE CELLAR online storeもぜひチェックしてみてください。

※当サイトの内容、テキスト、画像等の無断転載・無断使用を固く禁じます。また、まとめサイト等への引用を厳禁いたします。
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角 敏行

福岡県出身。
都内のフランス料理店、恵比寿「タイユバン・ロブション」、南青山「ピエール・ガニェール・ア・東京」、銀座「ベージュ・アラン・デュカス東京」でソムリエとして研鑽を積み、六本木「リューズ」、駒形「ナベノ-イズム」では支配人兼シェフ・ソムリエとして従事。
現在は自身の会社を持ち、後進の育成、レストランサービスのアドバイザー、また「Champagne Laurent Perrier」、日本酒「F1625」のブランド・アンバサダーとして活動している。

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