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ワインのラベル(エチケット)とは?記載内容や保存法、個性的なラベルのワインも紹介

ワインのラベル(エチケット)とは?
ワインのラベル(エチケット)とは?

記載内容や保存法、個性的なラベルのワインも紹介

記載内容や保存法、個性的なラベルのワインも紹介

THE CELLAR JOURNAL --- writer : Tomohiro TAKAMARU

ワインを手にした際に必ずと言っていいほど目に入るラベル。いわば「ワインの顔」と言っても過言ではありません。
しかしながら外国語で書かれたラベルでは書いてある情報を読み解くのはなかなか難しいものです。

本記事ではそんなワインのラベルの読み方やラベルの記載内容等をご紹介します。ラベルの読み方を知っておくとワイン選びに役立つこと間違いないのでぜひご参考にしてみてください。
ワインを手にした際に必ずと言っていいほど目に入るラベル。いわば「ワインの顔」と言っても過言ではありません。
しかしながら外国語で書かれたラベルでは書いてある情報を読み解くのはなかなか難しいものです。

本記事ではそんなワインのラベルの読み方やラベルの記載内容等をご紹介します。ラベルの読み方を知っておくとワイン選びに役立つこと間違いないのでぜひご参考にしてみてください。

ワインのラベル(エチケット)とは?記載内容や保存法、個性的なラベルのワインも紹介

記載内容や保存法、個性的なラベルのワインも紹介
2024.12.27

1. ラベルの役割

ラベルは買い手や飲み手の消費者に対して、ワインの基本情報が記載されており、「いつ」「どこで」「誰が」ワインを造ったのかが分かるようになっています。

「いつ」はヴィンテージでブドウの収穫年です。次に「どこで」は生産国であったり、原産地、「誰が」はワイン生産者を指します。
他には内容量やアルコール度数が記載されているのが一般的ですが、法的にラベルに表記しなければならないことは生産国によって異なります。

ワインのラベルに最も大きく記載されているがワイン名ですが、ワイン名はフランスワインのように原産地がワイン名である場合もあれば、生産者が独自に付けた固有名詞がワイン名になる事もあります。

最近は思考を凝らしたラベルも多くなり、表ラベルはデザイン画のみで文字はなく、裏ラベルにワイン名を記載している生産者もいます。
世界的にワイン生産国は大きく2つのグループに分けられており、一つはフランスやイタリア、ドイツ、スペインなどワイン造りの歴史が続く伝統国。
もう一つはアメリカ、チリ、ニュージーランド、オーストラリアなど主に第二次世界大戦後にワイン造りが盛んになった新興国で一般的に「ニューワールド」と呼ばれます。

フランスではラベルをエチケットと呼びますがフランスをはじめとする旧世界のラベルを理解するにはある程度の知識が必要ですが、新世界のラベルは原産地やブドウ品種が分かりやすく記載されているのが特徴です。

2. 「ラベル」と「エチケット」の違い

国によって「ラベル」(英語)、「エチケット」(フランス語)、と呼び方は違いますが日本ではラベルの方が主流かも知れません。

フランス語のエチケットの語源は「荷札」、「正札」、「ラベル」の意味と「礼儀作法」を意味するエチケットと同じとされており、もともとエチケットとは宮廷に立ち入る時に守るべきことを書いて貼り付けた「札」、その作法の事を指しました。

ワインに関する話しだと、その昔、ワインの輸送の際に、係員が箱に貼らているこの「荷札=エチケット」の通り正しく中身をいれているかどうか、この荷札でチェックされていたそうです。
フランスの伝統的な生産者は友人や訪問客にワインを贈る時、丁寧に角を折りたたんだ訪問カード(エチケット)を添えるしきたりがあり、その伝統を重んじた革新的なラベルを使っている生産者もいます。

3. ラベルに記載されている内容

ラベルに記載されている内容

生産国の法律によって若干の違いはあるものの、ラベルには基本的に次の項目で示す5つ情報が記載されています。
1つずつ見ていきましょう。

ブドウの収穫年(ヴィンテージ)

収穫年(ヴィンテージ)はそのワインの原料となったブドウが「収穫された年」ですが、ヴィンテージを表記する最も大切な意味合いは、ブドウを収穫した年の個性がワインに現れるためにヴィンテージを記載します。

ヴィンテージによるブドウの出来の違いがワインの品質に影響を与え、当然価格にも大きな開きが生じてしまいます。必ずしも「ヴィンテージの良し悪し = ワインの良し悪し」ではなく、現にブドウの出来が悪い年でも生産者の類まれる力によって美味しいワインに仕上がる事もあるのです。

EU加盟国の場合、ラベルにヴィンテージを表記するには85%以上をその収穫年のブドウと定められています。ただし、フランスのシャンパーニュ地方のように単一収穫年のブドウを採用しているが、最低36カ月間の熟成を行わないとヴィンテージ表記が出来ない場合もあります。
また、ヨーロッパ以外の新興国では同一収穫年の制限が低い場合もあり、例えばチリの場合はその年のブドウを75%以上使っていればヴィンテージ表記が可能です。

生産国や原産地

ワインは製造した土地によって風味や味わいが異なるため、生産国や原産地はワインを選ぶ際に重要な情報になります。
生産国ごとに、以下のような特徴があげられます。

・ワイン王国として名高い「フランス」:ワイン王国として名実ともに世界のワインの指標とされるフランス。
代表的な産地であるボルドー地方ではシャトー名、ブルゴーニュ地方だと畑の所在が記してあります。
更にはそのシャトー・畑の格付けがあるため、フランスではラベルの「原産地」を見るだけである程度、ワインのランクが分かるようになっています。

・個性的なワインが目立つ「イタリア」:イタリアは全20州でワインが造られており、ワイン生産量は常にフランスとトップの座を競い合っています。ヨーロッパ系の代表品種に加え、イタリアのみで栽培されている伝統的な土着品種が多いのも特徴です。
北部ピエモンテ州で造られており、「ワインの王」と呼ばれるバローロ、バルバレスコを筆頭に、ブームを巻き起こしたトスカーナ州のスーパータスカンなど、テロワールに合わせた個性豊かなワインが産出されています。

・世界トップクラスのブドウ栽培面積を誇る「スペイン」:スペインはブドウ栽培面積がEU圏内にある全ブドウ畑の30%にあたり、栽培面積は世界1位のワイン大国です。
注目度が高い産地はリオハやプリオラトなどで、特選原産地呼称に認定されて高級ワインも多く、ワイン法によって定められた熟成期間も細かくラベルに表記してあるのもスペインワインの特徴です。

・白ワインで有名な「ドイツ」:ドイツワインと聞くと白ワインが多く、更には甘口ワインのイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。
確かにドイツワインはかつて、「糖度が高いほど上級」とされていましたが、1990年以降の世界的な赤インブームとワインの消費スタイルの変化による影響から、赤ワインと辛口ワインの需要が急増し、現在ではドイツワインにおける全生産量の約7割が辛口・中辛口のワインになっています。

生産者

生産者についてもその地方特有の表記が見られます。
フランスのボルドーでは「シャトー」、ブルゴーニュでは「ドメーヌ」という記載になりますが、結局のところシャトーもドメーヌもブドウ畑を所有して、栽培から瓶詰めに至るまでのワイン製造を行う「生産者」の事を指しています。

ボルドーに「シャトー」が多いのはもともとお城のような大きな醸造所でワイン造りをしていたため、そう呼ばれるようになりました。ひとつの畑をひとつのシャトーが所有しているという点がボルドー地方のシャトーの特徴です。

一方、フランスのブルゴーニュ地方では、自社畑所有のワイン生産者の事を「ドメーヌ」と呼んでいます。
ブルゴーニュ地方は、フランス革命後に国が畑を細分化して農家に分け与えた歴史があるため、小規模な単位でワイン造りをしているドメーヌが多く、一つの畑に対して複数の生産者(所有者)が存在しているのが一般的です。
従って、ブルゴーニュ地方のワインは「どこのワイン」も大事ですが、何よりも「誰が造ったワイン」かが最も大切で、同じ畑のワインであっても生産者によって価格が全く異なる事があるため、ブルゴーニュ地方のワインを飲むときはラベルの「生産者 = ドメーヌ」を覚えておくと良いです。

内容量

一般的なサイズのワインボトルの場合、「750ml」や「75cl」と表記されています。
世界には多岐にわたるボトル形状のワインが流通されているのに、通常のボトルは1本750mlが世界基準とされており、そのルーツはフランスとイギリスにあると言われています。

ワインの消費大国として有名なイギリスへボルドーなどのワインを輸出する際、「750ml」いう数字が便利だったとされ、例えばボルドー地方で使用される樽は225リットル(225,000ml)が主流で、これを本数に換算すると1樽あたり300本という容量になる為、計算がし易く、ワインを生産するフランスと消費するイギリス、両者の関係からワインボトルは1本750ml になったと言われております。

ハーフボトルの場合は、その半分の「375ml」になりますが、750mlだと量が多い場合、ハーフボトルは最適な容量と言えますし、750mlに比べ価格も半分程度になるのが一般的です。ただ、ハーフボトルはフルボトル750mlに比べ、熟成が早く進むこともポイントで飲み頃のピークを早く迎えます。

アルコール度数

アルコール度数は表示が義務付けられていますが、ワインによっては裏ラベルに記載されている事もあります。

大体のワインは12%~14.5%位の範囲内ですが、アルコール度数の表示が高いワインは傾向的に南の暖かいエリアが多いです。日照に恵まれたブドウはアルコールの元となる糖分が多いため、アルコール度数が必然的に高くなりますが、逆に北部の冷涼な産地は酸度が高く、アルコール度数は低い傾向にあります。

4. さまざまなラベルのデザイン

ワイン造りの伝統国である、フランスのワインラベルを見ると、そのシャトーの建物や畑のデザインが記されており、風格を感じるものが多いです。
ラベルや文字を見るだけでワイン名が分かるのもフランスワインの特徴ですが、現在はアーティストとコラボレーションしたユニークなラベルも多く、見た目が華やかで消費者の心をくすぐるデザインがたくさん流通しています。

旧世界だとイタリア、スペイン、新世界だとアメリカ、ニュージーランドなどは絵画のようなラベルも多く見受けられ、飲みきった後にボトルを飾ることが出来る、そんなユニークなデザインが溢れています。

5. 気に入ったラベルを保存するコレクターアイテム

気に入ったワインがあった際にラベルコレクターを自宅に持っておくと便利です。
ボトルは要らないけど、思い出としてラベルは保存しておきたい・・・。そんな方にはラベルコレクターがお勧めです。

シートを剥がし、ラベルに張り付けてコルクなどでラベルを満遍なく擦るとラベルがボトルから剥がれます。ラベルシートの裏にはワイン名や飲んだ日などを書き込めることも出来るので、思い出になりますね。
レストランでもラベルが欲しい場合は、その旨ご申告を頂くと快くソムリエが応じてくれます。

6. オリジナルな個性でコレクターにおすすめのワイン3選

最後に個性的なラベルやちょっと珍しいワインを厳選してご紹介します。

ロッシュ・ヌーヴ ソミュール・ブリュット ビュル・ド・ロッシュ NV

ロッシュ・ヌーヴ ソミュール・ブリュット ビュル・ド・ロッシュ NV

ロワール地方で造る繊細で引き締まった辛口のスパークリングワイン。シュナンブランの華やかなアロマが広がり、軽快さを感じます。キリッとした酸味が特徴的でしっかり冷やして楽しみたい1本です。

E.ギガル タヴェル ロゼ 2021

E.ギガル タヴェル ロゼ 2021

南仏の最高峰と称される、ギガル社のタヴェルロゼはフランスのトップクラスのロゼワインと言っても過言ではありません。赤ワインに匹敵するようなパワフルな味わいがありますが、赤い果実を連想させる心地よい果実味を感じます。

機山洋酒工業 キザン・スパークリング・トラディショナル・ブリュット 2022

機山洋酒工業 キザン・スパークリング・トラディショナル・ブリュット 2022

ピュアなフリーラン果汁を採用し、本格的な瓶内二次発酵で仕上げるスパークリングワイン。小規模生産者で量が少なく、リリース後すぐに完売してしまうため、購入したらセラーで保存して大切な日に開けても良いですね。

7. まとめ

ラベルにはワインの情報がたくさん記載してありますが、書いてあることが理解できるようになると今以上にワインの愉しさが広がります。レストランではソムリエにラベルに書かれている事を聞くのも、ワインの背景や奥深さを知る一つのツールになると思います。
個性的なデザインのラベルや世界各国様々なワインをお探しでしたらぜひTHE CELLAR online storeをご覧ください。

※当サイトの内容、テキスト、画像等の無断転載・無断使用を固く禁じます。また、まとめサイト等への引用を厳禁いたします。
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高丸智天

ガストロノミー “ジョエル・ロブション” シェフソムリエ

【経歴】
1977年 広島県生まれ。
ホテル・レストラン専門学校卒業後、千葉県のホテル内フレンチレストランで10間年勤務したのち
2008年 ガストロノミー “ジョエル・ロブション” 入社
2012年 同店 プルミエソムリエ就任
2016年 同店 シェフソムリエ就任
2023年 テタンジェ社よりシャンパーニュ騎士団 シュヴァリエ 叙任
現在に至る

ミシュランガイド17年連続三ツ星「ガストロノミー “ジョエル・ロブション”」シェフソムリエ。シャトーレストランにストックする3,000種類 25,000本のワインを熟知し、お客様に最適な1本を提案している。また、料理とワインのマリアージュには定評があり、多くの人から高い支持を得ている。

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