造り手のホンネに迫る。
THE CELLAR ワイン特集ブルゴーニュ - ドメーヌ ソメーズ ミシュラン
「ブルゴーニュは高価なものになってしまった。」そんなことは、昔からワインを嗜んでいる方には周知の事実だ。ただ、一つ間違いないことがあるのは、昔とは明らかに品質が異なる。「昔は安かったから良かった。」という声は散見されるが、果たして今のブルゴーニュを知っているのであろうか。若いうちに理解しようと努力しているのであろうか。値段や生産者、土地の価値で判断しているのではないか? ワイン業界において毎ヴィンテージ新しい発見を追っていると常日頃直面する問題だ。 マコンという産地はその消費者の“偏見”がまだまだ強く根付く産地であるのではないだろうか。 「ブルゴーニュの外れでしょ?」「ブルゴーニュなの?」と、まだまだ未開拓の産地であることは間違いない。 ただ、ご存じの方も多いが2020年からプイィ・フュイッセにはプルミエ・クリュが誕生した。これはこの産地にとって大きな一歩だろう。なぜならコート・ド・ニュイのマルサネより早い導入なのだから。 Domaine Saumaize Michelin / Bourgogne ドメーヌ ソメーズ ミシュラン マコネでワイン造りをする「ソメーズ・ミシュラン」があるのは、マコネのヴェルジッソンという村の“ロッシュ・ド・ヴェルジッソン”丘の中腹に位置する。産地を調べていただくとわかるのだが、断崖絶壁が点在するエリア。 ワインを嗜む方にとって、この断崖絶壁というネガティヴ風ワードは、むしろプラスにとらえられるのだから面白い。 そんなあまり知られていない産地で、夫婦と従業員1名と小さなドメーヌで、ぶどうのポテンシャルを上げるため、畑作業を重視し、フラージュやバトナージュをといった昔から変わらぬ造りをする生産者。 プイィ・フュイッセ、サン・ヴェラン、マコン・ヴィラージュ、マコンの4つのアペラシオンに26区画、約9haの畑を所有している。幼いころからぶどうに携わり、ぶどう畑で生きてきたヴュニュロンが手掛ける味わいは、どこか懐かしい安心のある味わい。優しい果実と、優しい酸、優しいミネラル。そう、全てが優しい。時間や温度変化によって変わる抱擁感は、思わず人柄や想いが伝わってくると錯覚してしまう。 ソメーズ・ミシュランの個性は、当主ロジェ・ソメーズのいう「若いワインは、飲みやすい。」その言葉に全てが詰まっていると感じる。現在のブルゴーニュは、若い世代への代替わりもあり、様々なコミュニケーション手段で最先端の情報交換が行われている。醸造技術はもちろんのこと、醸造設備や、様々な害への対策も素早く、的確だ。 「若いワインは、飲みやすい」というのは、<若い造り手の>や、<今の若い>という前置きが来るのではないかと思うほど、一人の売り手としても伝えたい。 それほど今のワインは若いうちに飲んでも柔らかく、十二分に楽しめる。 「若くても、熟成させても」美味しいワインを造るという心がけは、とっても難しいが、良いワインにとって一番重要なことではないか。 飲み頃は、飲む人が決めていいんだよ?と問いかけられているような、 インタビューとPouilly-Fuisse 1er Cru La Marechaude 2020を飲んで気づかされた。 Writer:本名...
ブルゴーニュ - ドメーヌ ソメーズ ミシュラン
「ブルゴーニュは高価なものになってしまった。」そんなことは、昔からワインを嗜んでいる方には周知の事実だ。ただ、一つ間違いないことがあるのは、昔とは明らかに品質が異なる。「昔は安かったから良かった。」という声は散見されるが、果たして今のブルゴーニュを知っているのであろうか。若いうちに理解しようと努力しているのであろうか。値段や生産者、土地の価値で判断しているのではないか? ワイン業界において毎ヴィンテージ新しい発見を追っていると常日頃直面する問題だ。 マコンという産地はその消費者の“偏見”がまだまだ強く根付く産地であるのではないだろうか。 「ブルゴーニュの外れでしょ?」「ブルゴーニュなの?」と、まだまだ未開拓の産地であることは間違いない。 ただ、ご存じの方も多いが2020年からプイィ・フュイッセにはプルミエ・クリュが誕生した。これはこの産地にとって大きな一歩だろう。なぜならコート・ド・ニュイのマルサネより早い導入なのだから。 Domaine Saumaize Michelin / Bourgogne ドメーヌ ソメーズ ミシュラン マコネでワイン造りをする「ソメーズ・ミシュラン」があるのは、マコネのヴェルジッソンという村の“ロッシュ・ド・ヴェルジッソン”丘の中腹に位置する。産地を調べていただくとわかるのだが、断崖絶壁が点在するエリア。 ワインを嗜む方にとって、この断崖絶壁というネガティヴ風ワードは、むしろプラスにとらえられるのだから面白い。 そんなあまり知られていない産地で、夫婦と従業員1名と小さなドメーヌで、ぶどうのポテンシャルを上げるため、畑作業を重視し、フラージュやバトナージュをといった昔から変わらぬ造りをする生産者。 プイィ・フュイッセ、サン・ヴェラン、マコン・ヴィラージュ、マコンの4つのアペラシオンに26区画、約9haの畑を所有している。幼いころからぶどうに携わり、ぶどう畑で生きてきたヴュニュロンが手掛ける味わいは、どこか懐かしい安心のある味わい。優しい果実と、優しい酸、優しいミネラル。そう、全てが優しい。時間や温度変化によって変わる抱擁感は、思わず人柄や想いが伝わってくると錯覚してしまう。 ソメーズ・ミシュランの個性は、当主ロジェ・ソメーズのいう「若いワインは、飲みやすい。」その言葉に全てが詰まっていると感じる。現在のブルゴーニュは、若い世代への代替わりもあり、様々なコミュニケーション手段で最先端の情報交換が行われている。醸造技術はもちろんのこと、醸造設備や、様々な害への対策も素早く、的確だ。 「若いワインは、飲みやすい」というのは、<若い造り手の>や、<今の若い>という前置きが来るのではないかと思うほど、一人の売り手としても伝えたい。 それほど今のワインは若いうちに飲んでも柔らかく、十二分に楽しめる。 「若くても、熟成させても」美味しいワインを造るという心がけは、とっても難しいが、良いワインにとって一番重要なことではないか。 飲み頃は、飲む人が決めていいんだよ?と問いかけられているような、 インタビューとPouilly-Fuisse 1er Cru La Marechaude 2020を飲んで気づかされた。 Writer:本名...
カオール - マス デル ペリエ
「家族がやってきたことを当たり前に仕事にしただけ。」そんなワインメーカーは多いように思う。ただ、そんな中でもまじめにひたむきにワインに取り組んでいる生産者はどれほどいるだろうか。
カオール - マス デル ペリエ
「家族がやってきたことを当たり前に仕事にしただけ。」そんなワインメーカーは多いように思う。ただ、そんな中でもまじめにひたむきにワインに取り組んでいる生産者はどれほどいるだろうか。
ラングドック・ルーション - ジェラール ベルトラン
Gérard Bertrand / Languedoc-Roussillonジェラール ベルトラン 元ラグビー仏代表という異例のバックグラウンドを持つカリスマであり、ラングドックのパイオニア。 自然に対し敬意と謙虚な姿勢を持ち、サステイナブルな取り組みを実践している。 亡き父の想いを。ラグビーの道からワイン造りの道へ ラグビーのフランス代表選手だったジェラール・ベルトランだが、一念発起してヴィニュロンになったのには父の死が大きな影響を与えている。 元々ぶどう畑に囲まれて育ったジェラールは、10歳の頃からワイン造りの手伝いを始め、父からワインへの情熱、仕事の仕方、ラングドックでのワイン造りの取り組み方を学んでいた。 ジェラールが22歳の時に、父ジョルジュが交通事故で突然この世を去ってから、人生をかけたジェラールのワイン造りが始まった。 自然に対する思慮ある態度の証 ジェラールが特に大切にしていることは、「自然に対し敬意と謙虚な気持ちをもって接すること。」 サステイナブルで、自然と調和すること、テロワールの様々なニュアンスを反映した偉大なワインを造るため実践しているという。 ラングドック・ルーションに所有する16のドメーヌ(800ha以上)はビオディナミ取得済み、あるいは転換中、残りの8ドメーヌも今後、ビオディナミに変換を予定している。 買いブドウでも異例の長期契約で変換推奨&サポートをしており、今後もオーガニック、ビオディナミ認証取得を行う予定。 フラグシップのクロ・デュ・タンプルには「大地・時・超越」という意味を込め、大地、植物、鉱物と、そして更にはいきものが一つになることで生まれていると考えている。 関心の高まる「責任ある消費」との調和 自社畑でのビオディナミの実践。有機農法、ヴィーガン、SO2フリー、蜂に配慮した農法等、自然との調和のもとに造られたワインを広めていきたいとの考えが強い。 自分自身が生み出すワインのみならず、地域のパートナー達、さらにはこれらの環境への問題意識を持ったワインを、ワインを飲む方々にもっと知っていただきたいという考えがある。 彼のそんな持続可能な社会への取組みは大きく評価を受けており、2021年ロバート・パーカー・ワイン・アドヴォケイトが新たに導入したロバート・パーカー・グリーンエンブレムで、持続可能な取り組みに尽力するワイナリーとして認定を受けた。 ワイン造りを通したラングドックの地域貢献、自然との付き合い方は世界に広まりつつある。父の遺志は間違いなく、受け継いでいる。 造り手のホンネに迫る?質問状 Interview : Gérard Bertrand 造り手編 栽培・醸造編 ワインを好きになったきっかけを教えてください。...
ラングドック・ルーション - ジェラール ベルトラン
Gérard Bertrand / Languedoc-Roussillonジェラール ベルトラン 元ラグビー仏代表という異例のバックグラウンドを持つカリスマであり、ラングドックのパイオニア。 自然に対し敬意と謙虚な姿勢を持ち、サステイナブルな取り組みを実践している。 亡き父の想いを。ラグビーの道からワイン造りの道へ ラグビーのフランス代表選手だったジェラール・ベルトランだが、一念発起してヴィニュロンになったのには父の死が大きな影響を与えている。 元々ぶどう畑に囲まれて育ったジェラールは、10歳の頃からワイン造りの手伝いを始め、父からワインへの情熱、仕事の仕方、ラングドックでのワイン造りの取り組み方を学んでいた。 ジェラールが22歳の時に、父ジョルジュが交通事故で突然この世を去ってから、人生をかけたジェラールのワイン造りが始まった。 自然に対する思慮ある態度の証 ジェラールが特に大切にしていることは、「自然に対し敬意と謙虚な気持ちをもって接すること。」 サステイナブルで、自然と調和すること、テロワールの様々なニュアンスを反映した偉大なワインを造るため実践しているという。 ラングドック・ルーションに所有する16のドメーヌ(800ha以上)はビオディナミ取得済み、あるいは転換中、残りの8ドメーヌも今後、ビオディナミに変換を予定している。 買いブドウでも異例の長期契約で変換推奨&サポートをしており、今後もオーガニック、ビオディナミ認証取得を行う予定。 フラグシップのクロ・デュ・タンプルには「大地・時・超越」という意味を込め、大地、植物、鉱物と、そして更にはいきものが一つになることで生まれていると考えている。 関心の高まる「責任ある消費」との調和 自社畑でのビオディナミの実践。有機農法、ヴィーガン、SO2フリー、蜂に配慮した農法等、自然との調和のもとに造られたワインを広めていきたいとの考えが強い。 自分自身が生み出すワインのみならず、地域のパートナー達、さらにはこれらの環境への問題意識を持ったワインを、ワインを飲む方々にもっと知っていただきたいという考えがある。 彼のそんな持続可能な社会への取組みは大きく評価を受けており、2021年ロバート・パーカー・ワイン・アドヴォケイトが新たに導入したロバート・パーカー・グリーンエンブレムで、持続可能な取り組みに尽力するワイナリーとして認定を受けた。 ワイン造りを通したラングドックの地域貢献、自然との付き合い方は世界に広まりつつある。父の遺志は間違いなく、受け継いでいる。 造り手のホンネに迫る?質問状 Interview : Gérard Bertrand 造り手編 栽培・醸造編 ワインを好きになったきっかけを教えてください。...
ロワール - ドメーヌ デ ロッシュ ヌーヴ
Domaine des Roches Neuves / Loire ドメーヌ デ ロッシュ ヌーヴ ボルドーからロワール、そしてビオディナミへ 元々、ボルドーのヴィニュロン家系に生まれ育ったティエリー・ジェルマン氏がビオロジックを志して移り住んだのが、ロワールという歴史ある地。 風景、土壌、光、そしてロワール川に惹かれ、「ドメーヌ・デ・ロッシュ・ヌーヴ」を引き継ぐ提案があったのも幸いしソミュールの地でヴィニュロンになることを決意した。 クロ・ルジャールのシャルリー・フコーや、著名なビオディナミコンサルタントのフランソワ・ブーシェ、そしてルーションのドメーヌ・ゴビーのジェラール・ゴビーに出会ったのがきっかけで、ビオディナミを実践していくこととなった。 「ぶどう樹を対等な存在として敬意を払い理解する」という哲学 ぶどうの樹に愛を注げば注ぐほど、ぶどう樹はその愛に応えてくれると語るティエリー氏。 発芽前には、樹液の流れを妨げないように、樹の生え方などに応じて樹の語りかけを聞きながら選定。発芽の時期はぶどう樹が垂直に育つよう、新梢が重ならないよう、自由に呼吸できるよう、自然な流れで育てる。そして、夏季はぶどうの蔓を伸ばし、ぶどう自身の生育サイクルを妨げず、実が育つよう導く。なにより、ポジティヴな気持ちで仕事をすること。 彼のぶどうに対する考え方はまるで大切な我が子を育てているかのよう。畑仕事は流麗であり、それがワインの味わいにも反映されている。自然の力を秘めた、美しいワインができあがる。 醸造の過程もぶどうに対して愛があふれる 一番驚き、なるほどと思ったのが、「育ったテロワールに合わせて、醸造・熟成する容器を選択していること。」 粘土質豊かな土壌はスペースが必要であり、力強さがある土壌だから広さが必要で、円形の幅の広い樽で熟成させる。一方で、石灰質豊かな土壌は垂直的だから、楕円形の縦型の樽を使用する。 土壌=容器と考えている生産者は世界中を見回してもそういないだろう。 この話を聞くだけで、彼の土壌違いのワインを試したくなるのは私だけではないはず。 丁寧な仕事ぶりとロワールのエモーションを感じるワイン 洗練されたブルゴーニュのようなピノ・ノワールと、ピュアでエレガントなドイツのリースリングと表現されるように、ロッシュ・ヌーヴのワインにはフィネスと洗練された奥行きのある味わいが感じられる。 カベルネ・フランは、口にいれてから余韻までの様々なストーリー性のある立体的な味わいであり、旨味と酸の高さがハイレベルで、飲み手を飽きさせることがない。胡椒のスパイシーなニュアンスもアクセントとなり、幅広い料理と合わせることができる。 シュナン・ブランは、ピュアで丸く、懐の広い温かみのあるテクスチャ。旨味も重すぎず詰まっており、気づけばワインが空になってしまう軽快さも併せ持つ。 現地の評価の高さから、日本でもいずれ人気になることは間違いない 現地メディアでは、下記のような輝かしい高評価を得ている。...
ロワール - ドメーヌ デ ロッシュ ヌーヴ
Domaine des Roches Neuves / Loire ドメーヌ デ ロッシュ ヌーヴ ボルドーからロワール、そしてビオディナミへ 元々、ボルドーのヴィニュロン家系に生まれ育ったティエリー・ジェルマン氏がビオロジックを志して移り住んだのが、ロワールという歴史ある地。 風景、土壌、光、そしてロワール川に惹かれ、「ドメーヌ・デ・ロッシュ・ヌーヴ」を引き継ぐ提案があったのも幸いしソミュールの地でヴィニュロンになることを決意した。 クロ・ルジャールのシャルリー・フコーや、著名なビオディナミコンサルタントのフランソワ・ブーシェ、そしてルーションのドメーヌ・ゴビーのジェラール・ゴビーに出会ったのがきっかけで、ビオディナミを実践していくこととなった。 「ぶどう樹を対等な存在として敬意を払い理解する」という哲学 ぶどうの樹に愛を注げば注ぐほど、ぶどう樹はその愛に応えてくれると語るティエリー氏。 発芽前には、樹液の流れを妨げないように、樹の生え方などに応じて樹の語りかけを聞きながら選定。発芽の時期はぶどう樹が垂直に育つよう、新梢が重ならないよう、自由に呼吸できるよう、自然な流れで育てる。そして、夏季はぶどうの蔓を伸ばし、ぶどう自身の生育サイクルを妨げず、実が育つよう導く。なにより、ポジティヴな気持ちで仕事をすること。 彼のぶどうに対する考え方はまるで大切な我が子を育てているかのよう。畑仕事は流麗であり、それがワインの味わいにも反映されている。自然の力を秘めた、美しいワインができあがる。 醸造の過程もぶどうに対して愛があふれる 一番驚き、なるほどと思ったのが、「育ったテロワールに合わせて、醸造・熟成する容器を選択していること。」 粘土質豊かな土壌はスペースが必要であり、力強さがある土壌だから広さが必要で、円形の幅の広い樽で熟成させる。一方で、石灰質豊かな土壌は垂直的だから、楕円形の縦型の樽を使用する。 土壌=容器と考えている生産者は世界中を見回してもそういないだろう。 この話を聞くだけで、彼の土壌違いのワインを試したくなるのは私だけではないはず。 丁寧な仕事ぶりとロワールのエモーションを感じるワイン 洗練されたブルゴーニュのようなピノ・ノワールと、ピュアでエレガントなドイツのリースリングと表現されるように、ロッシュ・ヌーヴのワインにはフィネスと洗練された奥行きのある味わいが感じられる。 カベルネ・フランは、口にいれてから余韻までの様々なストーリー性のある立体的な味わいであり、旨味と酸の高さがハイレベルで、飲み手を飽きさせることがない。胡椒のスパイシーなニュアンスもアクセントとなり、幅広い料理と合わせることができる。 シュナン・ブランは、ピュアで丸く、懐の広い温かみのあるテクスチャ。旨味も重すぎず詰まっており、気づけばワインが空になってしまう軽快さも併せ持つ。 現地の評価の高さから、日本でもいずれ人気になることは間違いない 現地メディアでは、下記のような輝かしい高評価を得ている。...