グルナッシュはどんなブドウ?
グルナッシュはどんなブドウ?

特徴や主な生産地、品種を使ったおすすめワインも紹介

特徴や主な生産地、品種を使ったおすすめワインも紹介

THE CELLAR JOURNAL --- writer : Daichi Yoshikawa

グルナッシュは果実味豊かでまろやかな味わいが魅力の黒ブドウ品種です。果皮が薄く、タンニン(渋み)が控えめなため、ワイン初心者にも親しみやすく人気が高まっています。

本記事では、グルナッシュの基礎知識から産地ごとの特徴、料理との相性、さらにおすすめのワインについて詳しく解説していきます。
グルナッシュは果実味豊かでまろやかな味わいが魅力の黒ブドウ品種です。果皮が薄く、タンニン(渋み)が控えめなため、ワイン初心者にも親しみやすく人気が高まっています。

本記事では、グルナッシュの基礎知識から産地ごとの特徴、料理との相性、さらにおすすめのワインについて詳しく解説していきます。

グルナッシュはどんなブドウ?特徴や主な生産地、品種を使ったおすすめワインも紹介

特徴や主な生産地、品種を使ったおすすめワインも紹介
2024.12.23

1. グルナッシュとは?

グルナッシュはスペイン北東部アラゴン州が原産地とされる黒ブドウ品種で、赤ワインの原料として幅広く利用されています。多面的な特性を持ち、果皮が薄いためにタンニンが少なく、ジューシーでまろやかな味わいが特徴です。

長い生育期間を必要とする晩熟品種で暖かい気候の地域に適しているため、スペイン、フランス南部、イタリアのサルデーニャ島を中心に地中海沿岸地域で盛んに栽培されています。

また、グルナッシュは突然変異が多いため、変種も多く存在します。たとえば白ブドウのグルナッシュ・ブランやピンク色のグルナッシュ・グリなどがあり、それぞれ白ワインやロゼワインの原料として用いられています。

さらに「古樹(Old VineやVieilles Vignes)」と呼ばれる長期間育ったブドウの木から造られるグルナッシュのワインも注目されています。これらの木は収量が少ないものの、凝縮感があり、奥行きのある味わいが楽しめる高品質なワインを生み出します。

2. グルナッシュの主要な産地

グルナッシュの主要な産地

グルナッシュは地中海性気候を好むため、地中海沿岸の多くの地域で栽培されています。ここでは代表的な産地を紹介し、それぞれの地域での特徴的なグルナッシュワインについて解説します。

スペイン

グルナッシュの発祥地とされるスペインでは、北東部のアラゴン州やカタルーニャ州などが主な栽培地です。スペイン国内でテンプラニーリョに次いで2番目に広い栽培面積を誇り、主に日照時間が長く、乾燥した気候の地域で育てられています。

スペインのグルナッシュワインは、しっかりとしたアルコール感とボディが特徴で、テンプラニーリョとブレンドされることが一般的です。
特にカタルーニャ州のプリオラートでは、果実味の凝縮した力強いグルナッシュワインが生産されており、世界的にも評価が高まっています。

フランスのローヌ地方

フランス南部のローヌ地方は、グルナッシュの生育に最適な高温かつ乾燥した気候に恵まれています。

特にシャトーヌフ・デュ・パプやジゴンダスなどの銘醸地では、グルナッシュ主体の高品質ワインが造られており、果実味が豊かでしっかりとしたボディ感が特徴です。
ここでは、シラーやムールヴェードルとブレンドされ、グルナッシュに不足しがちな酸味やタンニンが補われることで、バランスの取れたワインが完成します。

フランス南部

フランス南部のランドック・ルーションやプロヴァンスでも、グルナッシュが栽培されています。

特にプロヴァンス地方はロゼワインの産地として有名で、グルナッシュが主体となった辛口のロゼワインが造られています。
また、南フランスでは甘口のデザートワインも造られており、ワインの多様なスタイルを楽しめる地域です。

イタリアのサルディーニャ島

イタリアではサルディーニャ島が主な産地であり、ここではグルナッシュを「カンノナウ」と呼びます。

地中海性気候により、果実味が豊かでスパイシーな風味の赤ワインが造られます。カンノナウ・ディ・サルデーニャと呼ばれるワインは、DOCの認定を受けたイタリアを代表するワインのひとつです。

オーストラリア

オーストラリア南部のバロッサ・ヴァレーやマクラーレン・ヴェイルも、グルナッシュの栽培が盛んな地域です。オーストラリアではシラーと組み合わせたGSMブレンドがよく見られ、果実味が濃厚で力強いワインが多いのが特徴です。
また、酒精強化ワインの原料としても使用されることがあり、アルコール度数の高いデザートワインも造られています。

南アフリカ

南アフリカのスワートランドは温暖で乾燥した気候により、グルナッシュの栽培に適した地域です。
近年、この地域のグルナッシュワインは評価が高まっており、古木から造られるワインには特に複雑で深みのある味わいが感じられます。

3. グルナッシュのシノニム(別名)

グルナッシュは地域ごとに異なる呼び名を持ちます。
スペインでは「ガルナッチャ」や「ガルナッチャ・ティンタ」、イタリアのサルディーニャ島では「カンノナウ」と呼ばれ、フランスやニューワールドでは「グルナッシュ」として知られています。

このようなシノニム(別名)は、その地域特有のワイン文化や歴史に由来しているため、呼称の違いもグルナッシュの魅力のひとつです。

4. グルナッシュを使ったワインの特徴

グルナッシュを使ったワインの特徴

グルナッシュを使った赤ワインは、色が比較的明るく薄めで、ジューシーで果実味豊かな味わいが特徴です。
イチジクやドライプルーンのような濃厚な果実味や、クローブなどのスパイスの香りが加わり、温かみのあるまろやかな味わいに仕上がります。

糖度が高いためアルコール度数も高くなりがちですが、タンニンや酸味が控えめで、口当たりが優しいため、非常に飲みやすいワインとなっています。

他品種とブレンドされることが多い

グルナッシュは単体でワインになることもありますが、シラーやムールヴェードル、テンプラニーリョなどとブレンドされることが一般的です。

これにより、酸味やタンニンが補強され、ワイン全体に骨格が加わります。特にシラーとの相性が良く、GSM(グルナッシュ、シラー、ムールヴェードル)と呼ばれるブレンドは、豊かな果実味とスパイス感が一体となったバランスの良いワインに仕上がります。

5. グルナッシュを使ったワインに合う料理

グルナッシュワインは幅広い料理と相性が良く、特に肉料理とのペアリングが人気です。以下におすすめの料理を紹介します。

煮込み料理:
ゼラチン質が豊富なほほ肉やスネ肉の煮込み料理とは相性抜群で、トロリとした食感がグルナッシュの果実味と調和します。

ラム肉のナヴァラン:
グルナッシュのスパイス感がラム肉の風味とマッチし、地中海料理の魅力を引き立てます。

チョコレートデザート:
甘口の酒精強化ワインなら、チョコレートを使った濃厚なデザートとの相性も抜群です。

ラタトゥイユ:
軽やかなタイプのグルナッシュは、トマトを使った野菜料理とも合います。

6. グルナッシュを使ったおすすめのワイン6選

グルナッシュを使ったおすすめのワインを6本ご紹介します。各ワインの特徴と、おすすめのペアリングも参考にして、ワイン選びの参考にしてください。

E.ギガル タヴェル ロゼ 2021

E.ギガル タヴェル ロゼ 2021

フランス・ローヌ地方のロゼワインで、力強くしっかりとした味わいで、赤ワインの代わりにもなる存在感があります。煮込みハンバーグや豚肉のソテー、焼き肉などの肉料理との相性が良いです。赤ワインが苦手だけど肉料理と合わせたいというシーンにぴったりのロゼワインです。

ジョン・デュヴァル・ワインズ コンシリオ グルナッシュ・シラーズ 2021

ジョン・デュヴァル・ワインズ コンシリオ グルナッシュ・シラーズ 2021

オーストラリア・サウス州のグルナッシュを主体に、シラーをブレンドした赤ワイン。ラズベリーやクランベリーの香りが広がり、スパイスの風味も感じられる一本です。
口当たりは柔らかく、赤系の果実の味わいと香ばしいタンニンも楽しめるので、豚肉や鴨のローストに合わせたい赤ワインです。

キャサリン・マーシャル スワートランド グルナッシュ 2022

キャサリン・マーシャル スワートランド グルナッシュ 2022

南アフリカのグルナッシュ100%の赤ワインで、透明感のある美しい外観と華やかで豊かな香りが特徴です。グルナッシュ本来の味わいが楽しめるワインを探している方におすすめです。

ジョン・デュヴァル・ワインズ アネクサス グルナッシュ 2021

ジョン・デュヴァル・ワインズ アネクサス グルナッシュ 2021

オーストラリア・サウス州のグルナッシュ100%の赤ワイン。
小規模な開放型樽で、グルナッシュの個性を最大限に引き出すために、一部全房を発酵させています。300リットルのフレンチオーク樽で14ヶ月間熟成させることで、複雑で奥深い味わいを生み出しています。

ラズベリーやチェリーの果実味あふれる香りに、花やスパイスのニュアンスがあり、タンニンは丸く、心地良い味わいに仕上がっています。

テネット グルナッシュ シラー ムールヴェードル 2015

テネット グルナッシュ シラー ムールヴェードル 2015

複雑で奥深い味わいが特徴のGSM。野生のイチゴのような爽やかな香りと、煮詰めたラズベリーのような甘い香りが混ざり合い、口当たりがなめらかに仕上がっています。スパイシーな風味も感じられ、奥深い味わいが楽しめるので、長い余韻と熟成感が楽しめるワインを探している方にもおすすめです。

イザベル・フェランド シャトーヌフ・デュ・パプ・ルージュ 2021

イザベル・フェランド シャトーヌフ・デュ・パプ・ルージュ 2021

毎年入荷後、即完売する人気の「シャトーヌフ・デュ・パプ」。カシス&ブルーベリーのジューシーさに、クリーミーな熟成感が加わり、厚みのある味わいに仕上がっています。
酸とスモーキーな香りのバランスが良いので、重すぎない味わいのワインを飲みたい方におすすめです。

7. まとめ

グルナッシュは地中海沿岸を中心に栽培され、世界各地で多彩なワインを生み出しています。果実味豊かで温かみのあるグルナッシュワインは、料理との相性も抜群で、バリエーション豊かな味わいを楽しむことができます。グルナッシュを使ったワインを飲み比べたい方はカーヴドリラックスのHPをご覧ください。

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吉川 大智

JSA認定 ソムリエ

バーテンダー、ワインバーのマネージャーを経てワインのPRライターに。過去には40カ国200都市の酒場とワイナリーを訪問した経験あり。

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