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シャンパーニュとスパークリングワインの違いは?

シャンパーニュとスパークリングワインの違いは?
シャンパーニュとスパークリングワインの違いは?

違いや見分け方、おすすめ商品を紹介

違いや見分け方、おすすめ商品を紹介

THE CELLAR JOURNAL May.2024 --- writer : Wataru Iwata

スパークリングワインで最も有名かつ、代表的なワインがシャンパーニュ(シャンパン)ですが、スパークリングワイン=(イコール)シャンパーニュと誤解している方もいるかもしれません。

シャンパーニュというのはスパークリングワインの1つですが、他にも様々な製法や品種によって造られるスパークリングワインは多数存在します。今回はシャンパーニュとそれ以外のスパークリングワインの違いや見分け方について解説させていただくと共に、この機会に試していただきたいオススメのシャンパーニュについても紹介させていただきます。
スパークリングワインで最も有名かつ、代表的なワインがシャンパーニュ(シャンパン)ですが、スパークリングワイン=(イコール)シャンパーニュと誤解している方もいるかもしれません。

シャンパーニュというのはスパークリングワインの1つですが、他にも様々な製法や品種によって造られるスパークリングワインは多数存在します。今回はシャンパーニュとそれ以外のスパークリングワインの違いや見分け方について解説させていただくと共に、この機会に試していただきたいオススメのシャンパーニュについても紹介させていただきます。

シャンパーニュとスパークリングワインの違いは?違いや見分け方、おすすめ商品を紹介

違いや見分け方、おすすめ商品を紹介
2024.05.28

1. シャンパーニュはスパークリングワインの1つ

シャンパーニュはスパークリングワインの1つ

まずシャンパーニュはスパークリングワインというカテゴリーのワインに入ります。様々な製法にて造られるスパークリングワインの1種です。 そしてスパークリングワインとは一般的には3気圧以上の炭酸ガスを含んだワインのことを指します。
その中でもフランスのシャンパーニュ地方で造られ、フランスのワインの法律であるA.O.C.の規定に則り、その定められた条件を全て満たしたスパークリングワインのみをシャンパーニュと正式に呼ぶことができます。

スパークリングワインの呼び方は国によって異なる

またスパークリングワインの呼び方は国よって異なります。それではスパークリングワインを生産する代表的な国では何と呼ばれているか、見てましょう。

スパークリングワインの呼び方は国によって異なる

└フランス:ヴァンムスー(Vin Mousseux)
└イタリア:スプマンテ(Spumante)
└スペイン:エスプモーソ(Espumoso)
└ドイツ:シャウムヴァイン(Schaumwein)

このように様々な名称にて呼ばれていますが、一般的には日本でもそうですが、「スパークリングワイン」といえば、通じることが多いです。

スパークリングワインの一覧は🍇こちら 〉〉

2.シャンパーニュ以外のスパークリングワインとの違い

シャンパーニュ以外のスパークリングワインとの違い

そんな多くの国で造られるスパークリングワインですが、先ほど紹介したシャンパーニュとの厳密な違いはその法律です。 フランスにはワインだけでなくチーズやその他の食材などに「原産地呼称制度」=A.O.C.というものが存在し、その産地名や特定のプロダクションを名乗る場合、どのように造らないといけないのか、その基準を定めた法律があります。

その法律の中には、製造方法だけでなく、規定のアルコール度数や、ブドウの品種、そしてそれらがどのように育てられているのかという栽培の基準までかなり事細かに定められています。

シャンパーニュにおける製造方法はで瓶内二次発酵という製法が取られていますが、実際にスパークリングワインの製造としては以下のような製法が存在します。

└トラディショナル方式(シャンパーニュ方式):瓶内で二次発酵
└シャルマ方式:タンク内で二次発酵
└トランスファー方式:途中まで瓶内で二次発酵してから加圧したタンクに移すなど

このA.O.C.の規定により、シャンパーニュはトラディッショナル方式(シャンパーニュ方式)のみと定められていますが、他のスパークリングワインは製造方法がそのA.O.C.ごとに、またはワインごとに異なっています。
製造方法が違えば、もちろんそのスパークリングワインのスタイルも大きく異なり、香りや味に変化をもたらし、そしてその価格にも大きな違いが生まれます。特にトラディッショナル方式で造る場合に限っては、手間暇がかかるだけでなく、時間もある程度要するため、高価になる傾向があります。 またこのトラディッショナル方式で造られるシャンパーニュ以外のスパークリングワインの代表としては、同じフランスのクレマンやスペインを代表するスパークリングワインであるカヴァが挙げられます。

3.シャンパーニュと認められる条件

先述した通り、スパークリングワインにはガス圧として3気圧以上の炭酸ガスを含むことが必要となります。 それではシャンパーニュの場合、上記に加えて、どのような条件が他に求められているのでしょうか?

原産地

まずは第一条件としてシャンパーニュはフランスのシャンパーニュ地方で造られる必要があります。
シャンパーニュ地方はパリから140kmほど東に位置しており、フランス国内でもワイン用ブドウ栽培においては北限の地にあたります。 北に位置することからも非常に冷涼な産地で、季節による温度変化もその他の土地に比べると少なく、日照時間も少ないのが特徴です。その冷涼な気候が、シャルドネ、ピノ・ノワール、ムニエという品種には適しており、高品質なブドウを栽培することを可能にしています。

ブドウ品種

ブドウ品種

ブドウ品種としては先述した3品種がシャンパーニュ地方を代表する品種として知られていますが、実際にはその他のブドウ品種も稀に使用されることもあります。現在シャンパーニュ地方で使用可能なブドウ品種は以下の8品種となります。

└ピノ・ノワール
└シャルドネ
└ムニエ
└アルバンヌ
└プティメリエ
└ピノ・ブラン
└ピノ・グリ

そして近年追加されたブドウ品種としてヴォルティスと呼ばれる品種があります。この品種は2022年に気候変動に対する適応品種として採用され、カビによる病害のベト病やウドン粉病への耐性が強いということから承認され、ブレンドにおいて10%まで使用することができるようになった新しいブドウ品種です。

この8品種の中でも主要な品種がピノ・ノワール、シャルドネ、ムニエであり、それぞれの品種の特徴としては、
└ピノ・ノワール:赤ワイン用ブドウの女王のような存在で、洗練された酸と滑らかなテクスチャーがエレガントなワインを産みます。
└シャルドネ:世界で最も有名な白ブドウ品種と呼ばれており、非常に繊細で凛とした酸と気品高い香りが特徴となります。
└ムニエ:フルーティーなワインを生む品種として知られており、シャンパーニュではワインにボディを与えます。

ピノ・ノワールとシャルドネについて解説している記事もありますので詳しく知りたい方はぜひこちらの記事もご覧になってください。

アルコール度数と熟成期間

A.O.C.の規定ではシャンパーニュのアルコール度数は11%以上と決められているので、11%未満のワインはシャンパーニュと名乗ることが許されません。 仮にそのボトルのワインがシャンパーニュかどうか不明な場合であっても、ボトルのラベルのアルコール度数を確認すると見分けることもできます。

製造方法・熟成期間

シャンパーニュを名乗る際に、またシャンパーニュの複雑でフレッシュな味わいを表現するのに最も必要な要素が「製造方法熟成期間」です。 シャンパーニュというのは先述した通り、トラディッショナル方式と呼ばれる、製法で造られます。 これは一次発酵させたベースワイン(つまりは通常のワイン)、を瓶内に入れて、そこへ糖分と酵母を加えることでさらに追加で二次発酵を発生させるという製法です。
酵母が糖分を餌として、アルコールを発生させる際に、炭酸ガスが生じ、それが瓶内というガスが逃げ場のない状況にあることで、そのガスがワイン中に溶け込んでいき、シャンパーニュらしいキメの細かい泡が生まれます。

またその熟成期間にも規定が定められており、NV(ノンヴィンテージ)のシャンパーニュでは最低15ヶ月、ヴィンテージシャンパーニュの場合は36ヶ月以上、酵母の死骸でもある「滓」と一緒に熟成させる必要があり、この期間が長ければ長いほど、シャンパーニュ独自のトーストしたような香りやブリオッシュのような複雑な香りが強くなっていきます。

4.シャンパーニュを見分けるポイント

シャンパーニュを見分けるポイント

以上のような条件を全て満たしたスパークリングワインのみ、ラベルに「Champagne」と表記することが許されます。
そのラベルにChampagneと表記されていないのであれば、そのワインは他のタイプ、または他の産地のスパークリングワインとなります。 シャンパーニュのラベルにはChampagne以外にも色々な情報が記載されています。

シャンパーニュの格付け

例えば、シャンパーニュのラベルを見ると下記のような言葉が書かれていることをよく見ます。 └グランクリュ、プルミエクリュ、ノンミレジメ、ミレジメ、ブランドブラン、ブランドノワール、ロゼ

シャンパーニュ地方独自の格付けがあり、グラン・クリュの村、プルミエ・クリュの村で収穫されたブドウで造られたシャンパーニュはそれらの表記が可能であるとともに、ミレジメと記載されているものは、ヴィンテージのシャンパーニュということを示します。また白ブドウのみで造られたものにはブラン・ド・ブラン、そして黒ブドウのみで造られたものにはブラン・ド・ノワールといったように、ラベルだけ見てもそのシャンパーニュがどのようなクオリティなのか、またはスタイルなのか、というのを簡単に見分けることができます。

シャンパーニュの甘辛度合い

そしてシャンパーニュの味わいとして、辛口から甘口のものまで様々あり、それらの甘辛度合いもラベルを見ることで判断することができます。 シャンパーニュの最終的な味わいはデゴルジュマン後(瓶内から滓を抜く作業)に添加される糖分の量によって、分類、規定されています。 これは1Lあたりのグラム数によって分けられているため、飲まなくてもある程度はラベルを見ただけで、甘辛度合いを予想することができます。

分類としては以下のような規定となります。

Doux(ドゥー) 極甘口 50g/L以上
Demi Sec(ドゥミセック) 甘口 32~50g/L
Sec(セック) 中甘口 17~32g/L
Extra Dry(エクストラドライ) 中辛口 12~17g/L
Brut(ブリュット) 辛口 12g/L未満
Extra Brut(エクストラブリュット) 極辛口
Brut Nature(ブリュットナチュール)、Pas Dose(パドゼ)、Dosage Zero(ドサージュゼロ) 3g/L以下または一切糖分を添加していないタイプ

上記のように、味わいによって様々な表示が認められています。

シャンパーニュの一覧は🍇こちら 〉〉

5.おすすめのシャンパーニュ3選

本日はシャンパーニュの中でも厳選したおすすめの3種類をご紹介させていただきます

アンリオ ブリュット・スーヴェラン NV

アンリオ ブリュット・スーヴェラン NV

シャンパーニュ地方にて安定したクオリティのシャンパーニュを造り上げる大手メゾンのアンリオ。シャンパーニュならではの複雑な味わいとフレッシュさを存分に楽しむことができます。
ピノ・ノワールを主体とした、柔らかいボディとボリューム感、そしてクリーミーなテクスチャーが味わえます。 お手頃な価格で楽しむことができるおすすめな1本です!

原産国 フランス / シャンパーニュ
品種 シャルドネ40%、ピノ ノワール45%、ムニエ15%
度数 12%

ラルマンディエ・ベルニエ レ・シュマン・ダヴィーズ グラン・クリュ ブラン・ド・ブラン 2015

ラルマンディエ・ベルニエ レ・シュマン・ダヴィーズ グラン・クリュ ブラン・ド・ブラン 2015

コート・デ・ブランを代表する、ブラン・ド・ブランの名手、ラルマンディエ・ベルニエ。
アヴィーズというグラン・クリュのシャルドネを100%使用した、瓶内での長期熟成を施したキュヴェ。 辛口の味わいで、繊細で凛とした酸の質感が強靭なミネラル感が味わえます。 本格的なシャンパーニュを味わってみたい方におすすめです!

原産国 フランス / シャンパーニュ
品種 シャルドネ
度数 12.5%

ローラン・ペリエ アレクサンドラ ロゼ 2004

ローラン・ペリエ アレクサンドラ ロゼ 2004

歴史の古いシャンパーニュ地方の大手メゾンが手掛ける、最高級ロゼシャンパーニュです。
厳選された畑から収穫されたブドウのみを使い、長期間瓶内で熟成させた、奥深い複雑な味わいが魅力的です。 深みのあるサーモンピンクの外観と、バラのような気品あふれるフローラルなトーンと香ばしく焼き上げたブリオッシュの香りに包まれる、滑らかで繋ぎ目の無いような滑らかでクリーミーな口当たりのワインです。
贈り物やパーティーの席に取り出したい1本としておすすめです!

原産国 フランス / シャンパーニュ
品種 ピノ・ノワール80%、シャルドネ20%
度数 12%

6.まとめ

シャンパーニュはスパークリングワインのカテゴリーの1つですが、 その厳しい規定の中で造られるワインはスタイルやそのクオリティにおいて、他のタイプのスパークリングワインと比べて一線を画す存在であり、最高級の高品質スパークリングワインの1つです。
この機会にシャンパーニュに改めて興味を持っていただいた方は是非下記のサイトもご覧ください!

※当サイトの内容、テキスト、画像等の無断転載・無断使用を固く禁じます。また、まとめサイト等への引用を厳禁いたします。
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岩田渉 氏

THE THOUSAND KYOTOシェフ・ソムリエ

1989年愛知県生まれ。同志社大学に在学中、留学先のニュージーランドでワインに魅了され、4年間ワインの勉強に没頭する。
2019年に現職、THE THOUSAND KYOTOシェフ・ソムリエに就任。

◆主な受賞歴
2017年 「第8回全日本最優秀ソムリエコンクール」優勝。
2023年「第17回A.S.I.世界最優秀ソムリエコンクール」へ日本代表として出場しセミファイナリストに選出(第5位)

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