バルバレスコとは?
バルバレスコとは?

バローロとの違いや産地の特徴、主なブドウ品種などを解説

バローロとの違いや産地の特徴、主なブドウ品種などを解説

THE CELLAR JOURNAL --- writer : Daichi Yoshikawa

バルバレスコはイタリアワインにおいてトップクラスの知名度を誇る赤ワインです。同じピエモンテ州で造られる「バローロ」とは共通点があり比較されやすいですが、さまざまな違いがあります。本記事ではバルバレスコについての歴史や産地、ブドウ品種などの知識から、おすすめワインまで解説していきます。
バルバレスコはイタリアワインにおいてトップクラスの知名度を誇る赤ワインです。同じピエモンテ州で造られる「バローロ」とは共通点があり比較されやすいですが、さまざまな違いがあります。本記事ではバルバレスコについての歴史や産地、ブドウ品種などの知識から、おすすめワインまで解説していきます。

バルバレスコとは?バローロとの違いや産地の特徴、主なブドウ品種などを解説

バローロとの違いや産地の特徴、主なブドウ品種などを解説
2024.06.07

1. バルバレスコとは?

バルバレスコとは、イタリアのピエモンテ州にあるバルバレスコ村周辺で造られる赤ワインのことを指します。エレガントな味わいや香りを持つ高級ワインとして知られ「イタリアワインの女王」とも呼ばれています。イタリアワインの格付けでは、最高位のD.O.C.G.に認定されており、同じ格付けには「イタリアワインの王様」と呼ばれているバローロがあります。バルバレスコはこのバローロと比較されやすいワインでもあります。
バルバレスコとバローロは一体何がどう違うのかについて、以下で解説していきます。

2. バルバレスコとバローロの違い

バルバレスコとバローロの違い

バルバレスコとバローロはともに高級イタリア赤ワインで最高位のD.O.C.G.に認定されています。産地はどちらもイタリアのピエモンテ州にあるアルプス山脈の麓にあり、ネッビオーロから造られるという点も同じです。具体的に違う点は気候や土壌、法定熟成期間、味わいなどがあります。

産地の標高と気候

バルバレスコとバローロの産地はアルプス山脈の麓にあり、夏は日差しが強く乾燥していて、冬は厳しい寒さに晒されます。ただし、バルバレスコの産地はバローロの産地に比べて標高が低いため比較的温暖で、川沿いにあることから昼夜間の気温差が小さいのが特徴です。

産地の土壌

バルバレスコの土壌はバローロよりも砂質が多く、粘土質が少ないのが特徴です。粘土質が少ないと土の温度は下がりにくくなります。この土壌の性質により、果実味たっぷりな味わいのブドウが育ちます。

法定熟成期間

赤ワインは果汁に果皮、種子を入れてアルコール発酵した後、果皮や種子に含まれているタンニンをワインに移していくマセラシオンを行います。バルバレスコの法定熟成期間は26ヶ月で、内9ヶ月を樽熟成しますが、バローロは38ヶ月で、内18ヶ月を樽熟成します。つまり、バローロに比べてバルバレスコのほうが熟成期間は短くなります。

味わいと香り

バルバレスコはバローロと同じネッビオーロを使用していますが、前述したように、標高や気候、土壌が違うため、バローロに比べるとフルーティーな味わいのブドウが育ちます。また、マセラシオンの期間によって味わいや香りが異なり、法廷熟成期間がバローロよりも短いため、タンニンが少なく、渋みや酸味が柔らかくなる傾向があります。
つまり、バルバレスコはバローロに比べて繊細でエレガントな味わいや香りに仕上がりやすく、エレガンスを押し出したスタイルを確立したといえます。

3. バルバレスコの歴史

バルバレスコはイタリアワインの格付けの最高位を獲得する高級ワインとして知られています。バルバレスコの評価を押し上げたのは、「イタリアワインの帝王」とも呼ばれるアンジェロ・ガヤ氏の功績があります。1960年代にワイナリーを受け継いだガヤ氏は、発酵温度管理や小樽の導入、単一畑名ワインの創設、シャルドネやカベルネ・ソーヴィニヨンといった仏系品種の栽培を開始するなど、革新的なワイン造りに取り掛かったことで、イタリア各地の生産者に大きな影響を与える存在となりました。世界中で栽培されているブドウ品種を植えてピエモンテ州の土壌が持つ力を示したことで、ネッビオーロで造られるバルバレスコやバローロの知名度を高めたといえます。

4. バルバレスコの産地

バルバレスコはピエモンテ州の中南部に位置するクーネオ県に属しています。タナロ川を境に、北部にはロエーロ地区、南部にはバローロ・バルバレスコ村を含むランゲ地区があります。美しいブドウ畑の景観と歴史が評価され、2014年にはユネスコ世界遺産に登録されています。ワインの歴史は古く、1000年以上前からワイン産地として知られている名産地です。土壌はロエーロ地区が砂質で、ランゲ地区は青色粘土質がメインとなっていますが、区画によって石灰や泥炭土が複雑に混ざり合っています。主な産地は3つあるので順番に解説していきます。

バルバレスコ村

標高200m~300mにあり、ここには24のクリュがあります。村の西側は日当たりがよい傾斜が広がっていて、地域内のネッビオーロの栽培比率は6割を占めています。他の村で造られたワインよりも力強いタンニンが感じられ、濃厚な味わいに仕上がる傾向があります。

ネイヴェ村

ネイヴェ村はバルバレスコ村の東側に位置し、標高は200m~350mの場所にあります。力強さと華やかさの両方を併せ持った味わいを持ち、ミネラル分が豊富で柑橘やスパイスのアロマも感じられます。ネッビオーロ種の栽培比率は2割程度で、他にはドルチェットやバルベーラ、モスカートなどが栽培されています。

トレイゾ村

標高420mに達する場所にあるトレイゾ村はバルバレスコの中で最も標高が高い地域です。13のクリュがあり、ネッビオーロは2割ほど、そのほかはモスカートやドルチェットが盛んに栽培されています。フローラルな香りとソフトなタンニンが特徴的で、エレガントなスタイルのバルバレスコに仕上がります。

5. バルバレスコのブドウ品種

バルバレスコのブドウ品種

バルバレスコのブドウ品種はネッビオーロのみです。ネッビオーロは栽培条件が極めて難しく、ピエモンテ州内の限られた場所でしか栽培されていないため、高貴なブドウ品種とも呼ばれています。発芽が早いわりには収穫時期が遅く、晩秋の収穫時期にブドウ畑に霜(Nebbia)がかかることから名前が付けられたという由来があります。成熟が遅い上に寒さにも弱く、実が密集しているせいで湿度が高いとカビが発生しやすいなど、成熟させることが難しいブドウです。

6. バルバレスコと相性の良い料理

バルバレスコと相性の良い料理

バルバレスコは濃厚な赤ワインのため、ビーフシチューやハンバーグなどのしっかりとした味付けのメインディッシュと合います。牛肉のステーキや赤ワイン煮こみ、すき焼き、ローストビーフなどと好相性です。現地のピエモンテでは、郷土料理である「ブラザート(牛の塊肉の赤ワイン煮込み)」と合わせることで有名です。
また、世界三大ブルーチーズの1つであるゴルゴンゾーラもピエモンテ州の近くで造られており、バルバレスコとの相性が良いと言われています。

7. おすすめのバルバレスコ3選

それでは、おすすめのバルバレスコを3本紹介していきます。

テッレ・デル・バローロ バルバレスコ 2016

テッレ・デル・バローロ バルバレスコ 2016

4つの村のブドウを使って造られたバルバレスコ。バルバレスコらしいフレッシュさやフルーティーな味わいが楽しめる一本です。また、バルバレスコとしては比較的リーズナブルな価格のため、まずは気軽に試してみたいと思う方におすすめです。

チェレット バルバレスコ ガッリーナ 2019

チェレット バルバレスコ ガッリーナ 2019

ネイヴェ村の畑で採れたブドウから造られたバルバレスコ。フローラルなアロマと引き締まった緻密なタンニンが感じられる一本です。本格的なバルバレスコを味わってみたい方におすすめです。

ラ・スピネッタ スタルデリ バルバレスコ 2010

ラ・スピネッタ スタルデリ バルバレスコ 2010

ネイヴェ村の畑で採れたブドウから造られたバルバレスコ。力強さを感じるパワフルな味わいが特徴で、バローロ顔負けの豊満な味わいが感じられます。味わいや香りも気品が感じられ、パーティーや贈り物などにもぴったりな一本です。

8. まとめ

イタリアワインの格付けで最高位を獲得しているバルバレスコ。イタリアワインの女王と呼ばれるほど、エレガントでフルーティーな味わいが特徴です。畑や村ごとによって味わいや香りが異なるため、飲み比べてみるのも面白いです。さまざまなバルバレスコを飲み比べたい方や、プロのおすすめを聞きたい場合はぜひTHE CELLAR online storeにいらしてください。経験豊富なスタッフが、最適なワイン選びのサポートをいたします。

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吉川 大智

JSA認定 ソムリエ

バーテンダー、ワインバーのマネージャーを経てワインのPRライターに。過去には40カ国200都市の酒場とワイナリーを訪問した経験あり。

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