ポートワインはどんなお酒?
ポートワインはどんなお酒?

味わいや種類、合うおつまみ、おすすめの商品を解説

味わいや種類、合うおつまみ、おすすめの商品を解説

THE CELLAR JOURNAL --- writer : Daichi Yoshikawa

ポートワインは、ポルトガルを代表する酒精強化ワインで、濃厚でコクのある甘口の味わいが世界中で愛されています。とくに、ルビー色や琥珀色などの美しい色調から「ポルトガルの宝石」と称されることもあります。

ポートワインを楽しむ前に、基本的な知識を押さえておくと、より一層その魅力を堪能できます。本記事では、ポートワインの概要や種類、そしておすすめのワインをご紹介します。
ポートワインは、ポルトガルを代表する酒精強化ワインで、濃厚でコクのある甘口の味わいが世界中で愛されています。とくに、ルビー色や琥珀色などの美しい色調から「ポルトガルの宝石」と称されることもあります。

ポートワインを楽しむ前に、基本的な知識を押さえておくと、より一層その魅力を堪能できます。本記事では、ポートワインの概要や種類、そしておすすめのワインをご紹介します。

ポートワインはどんなお酒?味わいや種類、合うおつまみ、おすすめの商品を解説

味わいや種類、合うおつまみ、おすすめの商品を解説
2024.10.10

1. ポートワインとは?

ポートワインはポルトガルを代表するワインであり、その美しい外見と独特の味わいから「ポルトガルの宝石」や「液体の宝石」とも称されています。ポルトガル北部のドウロ渓谷で生産されており、17世紀から続く長い歴史を持っています。
ポートワインの歴史は、1756年に制定された世界初の原産地呼称管理法によって、その品質が厳格に管理されるようになりました。この法律により、ポートワインは特定の地域で生産されたものに限り、その名称を使用することが認められています。

日本においても1907年にサントリーが「赤玉ポートワイン」を発売した際には大ヒットを記録しました。この「赤玉ポートワイン」は、現在では「赤玉スイートワイン」として知られ、多くの人々に親しまれています。ただ、赤玉ポートワインはサントリーが販売していたポートワインの名称で、ポルトガルで造られるポートワインとは異なります。

2. ポートワインの特徴

以下でポートワインの特徴について詳しく解説していきます。

世界三大酒精強化ワインの一つ

ポートワインは、シェリー酒やマデイラワインと並び、世界三大酒精強化ワインの一つとされており、ここにマルサラワインを加えて世界四大酒精強化ワインと呼ばれることもあります。

酒精強化ワインとは、ワインの醸造途中にブランデーを加えることでアルコール度数を高める製法によって造られるワインです。ポートワインの場合、アルコール度数77度のブランデーが使用され、その結果、最終的なアルコール度数は19~22度に達します。
この製法により、ポートワインは通常のワインよりもアルコール度数が高く、また独特の甘みと深いコクを持つワインが出来上がります。
このタイプのワインは、フォーティファイドワインとも呼ばれ、ポートワインはその代表的な存在です。

独特の甘みと深いコクがある味わい

ポートワインの味わいは、多様でありながらも共通して甘みと深いコクがあります。これは酒精強化ワイン特有の特徴で、濃厚なブドウの果実味が感じられるリッチな味わいを生み出します。単なる甘さだけでなく、程良い酸味や渋みも感じられるため、バランスの取れた複雑な風味が楽しめます。

また、ポートワインはデザートワインとしても非常に人気があり、とくに食後にゆっくりと味わうのに適しています。濃厚な甘さとフルボディの味わいが、どっしりとした満足感を与えてくれるのが特徴です。

味や香りが劣化しにくい

ポートワインのもう一つの大きな特徴は、アルコール度数が高いため、味や香りが劣化しにくいことです。通常のワインは開栓後数日以内に飲み切ることが推奨されますが、ポートワインは冷蔵庫に保存すれば、開栓後も1ヶ月程度は品質が保たれます。
このため、ポートワインは少しずつ飲む楽しみ方ができ、食前、食後、あるいは就寝前に一杯だけ楽しむこともできます。風味が長く持続するため、ゆっくりと時間をかけて味わえるのが魅力です。

3. ポートワインの歴史

ポートワインの歴史

ポートワインの歴史は、イギリスとの深い関係に根ざしています。17世紀末、イギリスとフランスの間で戦争が勃発した際、イギリスはフランスからのワイン輸入を禁止しました。この措置により、イギリスのワイン商たちはフランスワインに代わる新たなワインを求め、ポルトガルに目を向けました。

当時のポルトガルでは、ドウロ川沿いのシトー派修道院が、ワインの発酵途中にアルコールを加える方法で甘口のワインを造っていました。
この方法を採用したイギリスのワイン商たちは、ポートワインの元となる色濃く渋味の強い辛口ワインを発見し、アルコールを加えることで輸送中の品質を保持しながらイギリスに持ち帰りました。

ポートワインはイギリスで瞬く間に人気を博し、上品で深みのある甘みとコクが広く愛されるようになりました。このイギリスとの関係が、今日のポートワインのスタイルを確立する基礎となっています。

4. ポートワインの産地

ポートワインの産地

ポートワインの産地は、ポルトガル北部のドウロ渓谷です。この地域は、乾燥した大陸性気候と急斜面のシスト土壌という厳しい環境で知られています。ブドウの若木は水不足に悩まされることもありますが、根を深く張ることで、凝縮した風味を持つ高品質な果実を生み出します。

ドウロ渓谷は、下流から上流に向かって、バイショ・コルゴ、シマ・コルゴ、ドウロ・スペリオーレの3つのサブリージョンに分かれています。これらの地域は、それぞれ異なる気候と土壌条件を持ち、ポートワインに多様な風味をもたらします。
さらに、ドウロ渓谷では「ダストロ」という独自の格付けシステムが存在し、畑の向きやブドウの平均樹齢など12の基準で評価されます。これに基づき、AからFまでのランクに分類され、そのランクに応じてブドウの品質が評価されます。

5. ポートワインのブドウ品種

ポートワインに使われる主なブドウ品種は以下の5種類です。

トゥーリガ・ナショナル
ポートワインにおいて最も重要な品種であり、濃厚な色合いと豊かなタンニンを持つブドウです。フルボディで長期熟成に向いており、ポートワインの骨格を形成します。

トゥーリガ・フランカ
フローラルなアロマと繊細な風味が特徴の品種で、トゥーリガ・ナショナルとのブレンドで使用されることが多いです。柔らかな酸味とバランスの取れた味わいをもたらします。

ティンタ・ロリス
スペインのテンプラニーリョと同じ品種(別名)で、果実味が豊かで熟成が進むとまろやかな味わいになります。ポートワインのブレンドにおいて、重要な役割を果たします。

ティンタ・バロッカ
果皮が薄く、早熟で高糖度のブドウです。スムーズな口当たりを持ち、ポートワインに豊かな果実味と柔らかなタンニンをもたらします。

ティント・カン
非常に少量しか栽培されていない希少な品種で、深い色合いと力強い風味が特徴です。濃厚な味わいを持ち、他の品種とブレンドして使用されます。

ホワイト・ポートに使用されるブドウ品種は、ゴウベイオ、ヴィオシンホ、マルヴァジアなどが代表的です。ポートワインはさまざまなブドウ品種をブレンドして造られるのが特徴で、これにより複雑で多層的な味わいが生まれます。

6. ポートワインの種類

ポートワインの種類

ポートワインは赤の甘口ワインが有名ですが、白やロゼ、辛口など豊富な種類があります。以下で、代表的な種類について説明します。

ルビー・ポート

黒ブドウを原料とし、約3年間樽で熟成させた後に出荷されます。深いルビー色を持ち、比較的若いタイプのポートワインです。フレッシュな果実味が特徴で、若々しい力強さとフルーティーな味わいが楽しめます。

トゥニー・ポート

ホワイト・ポートとルビー・ポートをブレンドしたものや、ルビー・ポートを10年から20年かけてじっくり熟成させたものが含まれます。
長期熟成により、ワインは褐色から濃い琥珀色に変わり、ナッツやキャラメルのような風味が特徴です。

ホワイト・ポート

白ブドウを原料とし、3~5年の熟成を経て出荷されます。フルーティーで軽快な味わいが特徴で、食前酒として楽しむのに最適です。冷やして飲むと、その爽やかな酸味が際立ちます。

ロゼ・ポート

フルーティーな早飲みタイプのポートワインです。冷やして飲んだり、チーズやデザートと合わせたりして楽しむことができます。軽やかで飲みやすく、ポートワイン初心者にもおすすめです。

ヴィンテージ・ポート

特別な年に収穫されたブドウのみを使用し、20年以上の樽熟成を経て造られる高級な甘口ポートワインです。瓶内熟成によってさらに深みを増し、長期熟成も可能です。ポートワインの中でも最も希少で、特別な日のために用意されることが多いです。

レイト・ボトルド・ヴィンテージ・ポート

レイト・ボトルド・ヴィンテージ・ポートは「LBV」と表記され、ヴィンテージ・ポートに次ぐ品質のブドウを使い、4~6年の樽熟成を経て造られます。
収穫年が明記され、濾過済みのため気軽に楽しめるのが特徴です。ヴィンテージ・ポートが収穫後2年で瓶詰めされるのに対し、LBVは4~6年の熟成を経てから瓶詰めされ、その後も瓶内で約10年間の熟成が期待できます。

7. ポートワインに合うおつまみは?

ポートワインに合うおつまみは?

ポートワインは種類ごとに味わいが違うので、合わせるおつまみも変わってきます。

LBVポートやヴィンテージ・ポートには、濃厚な味わいのブルーチーズ、または塩味の強いチーズとの相性が良いです。

赤い果実の酸味と甘さが感じられるルビー・ポートには、果実を使ったスイーツやチョコレートがぴったりです。特にダークチョコレートとの組み合わせがおすすめです。

ホワイト・ポートには、生ハムとメロン、シーフードの前菜などがよく合います。軽やかな酸味とフルーティーな味わいが、これらの料理の風味を引き立てます。

濃厚な香りが特徴のトゥニー・ポートには、葉巻を合わせる方法もあります。ゆっくりと時間をかけて楽しむことで、ワインと葉巻の相乗効果が楽しめます。

8. おすすめのポートワイン2選

おすすめのポートワインを紹介します。

ニーポート ルビー・ポート NV

ニーポート ルビー・ポート NV

ニーポートルビーポートは、伝統的な足踏み法で搾汁されたブドウを使用し、発酵させた後に大樽で平均3年間熟成させたポートワインです。新鮮なチェリーや赤いフルーツを思わせるフルーティーな香りと、豊かな酸味と甘さの絶妙なバランスが特徴です。フルーツやチーズはもちろん、ビターチョコレートとも相性が良いです。

キンタ・ド・インファンタード ホワイト・ポート NV

キンタ・ド・インファンタード ホワイト・ポート NV

キンタ・ド・インファンタード ホワイト・ポートは、白ブドウを100%使用し、ステンレスタンクで丁寧に醸造された上品な味わいのポートワインです。
熟したリンゴや洋梨を思わせる芳醇な香りと、爽やかな酸味が絶妙なバランスを持っています。食前酒としてはもちろん、軽い前菜とともに楽しむのもおすすめです。

9. まとめ

ポートワインは、ポルトガルを代表する酒精強化ワインで、濃厚な甘みと深いコクが特徴です。ワインの発酵中にアルコール度数77度のブランデーを加えて発酵を止めることで、独自の味わいが生まれます。ルビー・ポートやトゥニー・ポート、ホワイト・ポート、ヴィンテージ・ポートなど、さまざまな種類があり、それぞれに異なる楽しみ方があります。
ポートワインを飲み比べてみたい方は、ぜひ今回ご紹介したニーポート ルビー・ポートやキンタ・ド・インファンタード ホワイト・ポートを試してみてください。その深い味わいと豊かな風味を楽しんでいただけることでしょう。

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吉川 大智

JSA認定 ソムリエ

バーテンダー、ワインバーのマネージャーを経てワインのPRライターに。過去には40カ国200都市の酒場とワイナリーを訪問した経験あり。

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