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ネッビオーロはイタリアを代表する黒ブドウ品種!特徴や合う料理、ワインの種類を紹介

ネッビオーロはイタリアを代表する黒ブドウ品種!
ネッビオーロはイタリアを代表する黒ブドウ品種!

特徴や合う料理、ワインの種類を紹介

特徴や合う料理、ワインの種類を紹介

THE CELLAR JOURNAL --- writer : Haruko Yamamoto

「バローロ」や「バルバレスコ」で知られるネッビオーロは、イタリアで最も高級なブドウ品種の一つで、古くから長い熟成期間を要する重厚なスタイルに仕上げられてきましたが、近年は、若いうちからお手頃価格で楽しめものも多く出回っています。
本記事では、ネッビオーロの基礎知識や相性の良い料理、おすすめのワインなどを解説しますので、「ネッビオーロを試してみたい」、「ネッビオーロに合うおつまみが知りたい」方はぜひ参考にしてみて下さい。
「バローロ」や「バルバレスコ」で知られるネッビオーロは、イタリアで最も高級なブドウ品種の一つで、古くから長い熟成期間を要する重厚なスタイルに仕上げられてきましたが、近年は、若いうちからお手頃価格で楽しめものも多く出回っています。
本記事では、ネッビオーロの基礎知識や相性の良い料理、おすすめのワインなどを解説しますので、「ネッビオーロを試してみたい」、「ネッビオーロに合うおつまみが知りたい」方はぜひ参考にしてみて下さい。

ネッビオーロはイタリアを代表する黒ブドウ品種!特徴や合う料理、ワインの種類を紹介

特徴や合う料理、ワインの種類を紹介
2024.12.05

1. ネッビオーロとは?

ネッビオーロは、イタリア北西部ピエモンテ州を代表する黒ブドウ品種です。歴史は長く、13世紀には栽培されていたことが書籍に残っています。ネッビオーロという名前の由来には諸説ありますが、イタリア語で「霧」を意味する「ネッビア」から来ていると言われています。その霧については、収穫前のネッビオーロの実に付く白い粉(ブルーム)が霧に覆われている様子を連想されるからとも、収穫期の晩秋に霧が発生するからとも言われています。

芳醇な香りや味わいと共に、長期熟成が可能ということで人を魅了する一方、栽培環境にうるさい気難しさもあります。一筋縄ではいかないところも魅力でしょうか。

ネッビオーロの色合いや味・香り

ネッビオーロは、表皮の色素量が少ないため色調は淡く、酸化しやすい色素要素を多く含むことから、熟成の早い段階からオレンジ色のニュアンスが出ます。

淡い外観から軽やかな仕上がりを連想しがちですが、味わいは対照的。アルコール度数はそこまで高くないものの、収れん性の強いタンニンと強い酸味があり、堅強な印象です。線が細そうに見えて、芯がかなり強い。この意外性が特徴です。

魅惑的なアロマも忘れてはいけません。若いうちは、いちごやラズベリー、チェリーなどの赤系果実やバラやスミレといったお花の華やかさが主ですが、熟成によってタバコやなめし皮、腐葉土、トリュフやキノコ類の香りも加わり、複雑なニュアンスになります。また、熟成と共に収れん性の強いタンニンがワインに溶け込み、硬い印象だったワインに円熟味が増します。偉大なバローロであれば、40年を超える熟成ポテンシャルがあります!

伝統的な造りの場合、長い熟成期間を経て飲み頃になるケースが多いのですが、80年代以降、樽の種類やマセレーションの時間を変えることで早飲みが可能なスタイルが誕生しました。現在は、中間的なスタイルも出回っているので、ご自身の嗜好に合わせて選ぶことができます。

ネッビオーロの色合いや味・香り

ネッビオーロの栽培特性

人々を魅了するネッビオーロですが、栽培条件のわずかな違いが品質に大きな影響を与える栽培者泣かせの側面もあります。
まず、芽吹きが早く晩熟なので栽培期間が長いです。充分な日照は必要ですが、涼しい気候でゆっくりと成長することを好みます。芽吹きの時期の霜や収穫期の雨が問題になる他、果皮が薄く果実も密集しているので、カビや病気の発生リスクが高いです。そのため、ピエモンテ州では、十分な日照もありつつ昼夜の寒暖差もある、標高250-450m程の南や南西向きで風通しのよい斜面に植えられることが多いです。

ネッビオーロは、土壌環境がワインの味わいに大きな変化をもたらす品種でもあります。ピエモンテ州アルバ周辺の石灰質泥灰土で育つブドウが高品質とされていますが、狭い範囲内で砂や粘土といった質感や、石灰や鉄などの成分に違いがあり、味わいが異なります。

栽培管理にも高度な技術が求められます。例えば、ネッビオーロは樹勢が強く、枝葉の成長に傾きがち。そこで、果実の成長とバランスをうまくとったり、果実が葉の影に入りすぎないように管理したりする必要があるのです。

ネッビオーロの栽培特性

2. ネッビオーロの代表的な産地

イタリアではピエモンテ州が栽培の大半を占め、残りも同州付近に留まっています。イタリア外では非常に限定的ですが、近年はアメリカやオーストラリアなどに注目が集まっています。

北イタリア・ピエモンテ州

ピエモンテ州では、イタリアのネッビオーロの約8割が栽培されていますが、州の栽培面積の1割を占める程度。場所をえり好みする品種なのが良く表れています。
主に州南部の、南や南西向き斜面に植えられています。バローロとバルバレスコを擁する場所ですが、ネッビオーロを使ったお手頃価格のワインも数多くあります。詳しくは後段「ネッビオーロから造られるワインの種類」をご参照下さい。

北イタリア・ピエモンテ州

アメリカ

西海岸で栽培されていますが、カリフォルニア州サンタ・バーバラに注目が集まりつつあります。サンタ・バーバラは州南部に位置しますが、東西に連なる山脈のおかげで太平洋からの冷たい風と霧が通り抜け、気候は冷涼。ピノ・ノワールやシャルドネの栽培で知られる場所です。この冷涼な環境を活かしてネッビオーロが栽培されています。

2021年に永眠したオー・ボン・クリマのジム・クレンデネンは、カリフォルニアでエレガントなブルゴーニュスタイルのワインを造り出した先駆者として有名ですが、大のイタリアワイン好きでもあり、1980年代からネッビオーロの栽培に挑戦し、その品質の高さに世界が驚いたことでも知られています。

オーストラリア

ヴィクトリア州のキング・ヴァレーは国内屈指の標高の高さを誇り、冷涼な気候です。また、多くのイタリア移民が定住した場所でもあり、プロセッコの原料であるグレラやピノ・グリージョ、サンジョヴェーゼなどのイタリア品種が多く栽培されています。ネッビオーロは1980年代に栽培が始まり、品質の高さに注目が集まっています。

キング・ヴァレー以外では、アデレード・ヒルズやヤラ・ヴァレー、ピレネー地区などの冷涼な地域で栽培されています。

3. ネッビオーロのシノニム(別名)

ネッビオーロはサンジョヴェーゼ同様、産地によってシノニムが存在します。各地域で愛着ある品種なのでしょう。栽培の大半を占めるピエモンテ州では州内でも呼び名が変わります。

 ネッビオーロ:ピエモンテ州南部クーネオ県
 スパンナ:ピエモンテ州北部
 キアヴェンナスカ:ロンバルディア州北部ヴァルテッリーナ
 ピコテンドロ、ピクトゥネール:ヴァッレ・ダオスタ州

4. ネッビオーロから造られるワインの種類

有名産地ごとにワインの特徴を簡単に説明しますので、ワインを選ぶ際にお役立て下さい。

ピエモンテ州(南部)

バローロDOCGは「ワインの王」と称される、長期熟成のポテンシャルのある高級ワインです。芳醇な香りに加え、酸味もタンニンも豊富な骨格のしっかりした力強い味わいで、法定熟成期間は38ヶ月と非常に長く設定されています。

バルバレスコDOCGは「ワインの女王」と呼ばれ、バローロと並ぶ高級ワインですが、バローロに比べると温暖な場所で栽培されていることもあり、丸みもあり早めに楽しめる味わいで、法定熟成期間も26ヶ月と短めです。

ロエロDOCGは2004年にDOCGに昇格したワイン。バローロ、バルバレスコと近隣ですが、土壌環境は両者とも異なる砂質で、より軽やかでアロマティックな仕上がりです。

もっと手軽に楽しみたいという方には、ランゲ・ネッビオーロDOCとネッビオーロ・ダルバDOCがおすすめ。前者はバローロ、バルバレスコ、ロエロを内包するランゲ地方の広域地区。
後者はタナロ川周辺に広がる広域地方です。若木や北向き斜面で育つブドウを使うことが多く、樽熟成も短めの軽やかなスタイルが多いですが、特に前者は、生産者がバローロやバルバレスコとして出せないと判断し、ランゲ・ネッビオーロに格下げして販売することもあるので要チェックです。

バローロとバルバレスコの違い

バローロもバルバレスコもネッビオーロを使ったワインで、栽培場所も隣接していますが、味わいは異なります。
バローロの畑は、標高200-400m程度の南/南西向きの斜面に広がりますが、バルバレスコはバローロよりも標高の低い場所にあり、昼夜の寒暖差も少なめで温暖な環境にあります。また、両者とも土壌は石灰質泥灰土ですが、バローロは泥灰土が多い一方、バルバレスコはバローロよりも砂質が多く、土壌も肥沃です。

これらから、バローロの方がタンニン量の多い力強い印象、バルバレスコの方が果実味のある柔らかな印象のワインになります。両者の違いを詳しく知りたい方は、以下記事をご参照下さい。

バローロの詳細はこちら
バルバレスコの詳細はこちら

ピエモンテ州(北部)

ピエモンテ州北部にあるのがゲンメDOCGとガッティナーラDOCG。南向き斜面でブドウが栽培されているので果実はしっかり熟しますが、南部よりも寒暖差の大きい冷涼な環境なので、酸味はより高く、アロマティックなライトボディに仕上がることが多いです。ガッティナーラの方が骨格のしっかりした硬質なワインで、長期熟成型と言われています。最近は、南部の生産者が北部のワイナリーを買収するなど、注目されています。

カレーマDOCはヴァッレ・ダオスタ州との境に位置する非常に冷涼な産地で、ネッビオーロが育つ限界地点とも言われています。ピエモンテ州で初めてDOCを獲得した歴史的なエリアで、軽やかで繊細、ミネラル感のある味わいです。

ヴァッレ・ダオスタ州、ロンバルディア州

カレーマDOCと反対側のヴァッレ・ダオスタ州にあるのが、ヴァッレ・ダオスタDOC。冷涼なアルプス山脈の麓に位置し、赤系果実を中心のエレガントで繊細な味わいです。

ロンバルディア州北部にあるのが、ヴァルテッリーナ。標高の高い冷涼な場所で、高い酸味と土っぽさやスパイスのニュアンスを感じる骨格のあるワインです。
ロッソ・ディ・ヴァルテッリーナDOC、ヴァルテッリーナ・スペリオーレDOCG、スフォルツァート・ディ・ヴァルテッリーナDOCGは全てネッビオーロ主体ですが、ロッソよりも収量や熟成期間、アルコール度数等に厳格な規定があるのがスペリオーレ、陰干しブドウを使ったのがスフォルサートです。

5. ネッビオーロと相性の良い料理

芳醇で複雑味のあるネッビオーロは、赤身のステーキとの相性が抜群!ステーキ以外にも牛肉の赤ワイン煮込みとも相性が良いです。和食であれば、タレがかかった鰻のかば焼きや焼き鳥と合わせたいところです。
ピエモンテ州の名産品トリュフとの相性は最高なので、トリュフ塩やトリュフオイルを使って、パスタや卵料理、お肉をさっと焼いてもいいですね。トリュフのみならず、キノコ類全般とも相性◎です。
一方、長期熟成を経たバローロやバルバレスコは格別。香り、味わいが素晴らしいので、ぜひそのまま味わってみて下さい。

ネッビオーロと相性の良い料理

6. ネッビオーロを使ったワイン4選

最後にネッビオーロを使ったワインを4本ご紹介します。

ドメニコ・クレリコ ランゲ・ネッビオーロ・カピズメ・エ 2021

ドメニコ・クレリコ ランゲ・ネッビオーロ・カピズメ・エ 2021

標高250mの南西斜面に位置するバローロの畑、サン・ピエトロで栽培されたネッビオーロから造られたもので、若いうちから楽しめる、モダン・バローロです。「私を分かって下さい!」というキュヴェ名もその親しみやすさを現したもの。赤く熟したイチゴやチェリー、プラムのコンポートのような甘い香りと共に、なめらかなタンニンが果実の風味を優しく包み込み、エレガントな余韻へと導かれます。

ニコレッロ バルバレスコ 2008

ニコレッロ バルバレスコ 2008

伝統的な手法で熟成されたネッビオーロの魅力を引き出す、ピエモンテを代表するワイン醸造家によるバルバレスコです。色調はガーネット色が混ざった濃いルビー色。ブラックベリーやなめし皮のアロマが際立ち、熟成による複雑味が感じられます。
果実味とタンニンのバランスが良く、骨格がしっかりとした赤ワインを飲みたい方におすすめです。

ルチアーノ・サンドローネ ネッビオーロ・ダルバ ヴァルマッジョーレ 2021

ルチアーノ・サンドローネ ネッビオーロ・ダルバ ヴァルマッジョーレ 2021

ロエロ地区の樹齢の高いネッビオーロで造られました。ラズベリーやブラックベリーなどのベリー系やお花のようなアロマと、古樽由来のかすかな樽のニュアンスが調和したエレガントな仕上がり。複雑で奥深いワインを飲みたい方におすすめです。

チェレット バローロ ブリッコ・ロッケ 2019

チェレット バローロ ブリッコ・ロッケ 2019

バローロの中でも傑出した畑と呼ばれる「ブリッコ・ロッケ」の、ビオディナミ農法で栽培されたブドウで造られた贅沢なワインで、ブドウの出来が良かった年しか造られないこだわりの逸品です。
若いうちは花のようなアロマがあり、熟成していくにつれてチョコレートやトリュフ、スパイスの香りへと変化していきます。力強い凝縮感とエレガントさを兼ね揃えた、飲み応えのある一本です。

7. まとめ

いかがでしたか?ネッビオーロは、バローロやバルバレスコなど、イタリアを代表する高級ワインの貴重なブドウ品種です。しっかりした骨格から、長期熟成により真価が発揮されると言われてきましたが、近年は早くから楽しめるスタイルもあり、人気があります。
まずはお手頃価格の若いワインから試してもいいですし、産地や醸造スタイルの違いを飲み比べてみるのも面白いです。様々なネッビオーロを飲み比べたり、プロのおすすめを知りたい場合はぜひTHE CELLAR online storeや近隣の店舗にいらして下さい。経験豊富なスタッフが、皆さまのワイン選びをサポートいたします。

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山本 暖子

WSET認定 Level4 Diploma / JSA認定 ワインエキスパート

学生時代の留学や総合商社勤務時の海外駐在などを通じ、世界各国のワインやその文化に魅了される。
現在は瀬戸内海に浮かぶ大三島で農的暮らしを営みながら、カーヴ・ド・リラックスのECサイト運営やコラム執筆など、ワインに関する情報発信に力を注いでいる。

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