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「ACブルゴーニュ」とは?

「ACブルゴーニュ」とは?
「ACブルゴーニュ」とは?

格付けやブドウ品種の特徴、おすすめワインも紹介

格付けやブドウ品種の特徴、おすすめワインも紹介

THE CELLAR JOURNAL --- writer : Ryo Takamatsu

ブルゴーニュ地域の格付けはワインを知らない人にとっては難しく感じられるのではないでしょうか。
本記事では畑が「特級」、「一級」、「村名」、「地方名」と4段階の格付けがある中の入門「ACブルゴーニュ」という言葉を初めて聞く方にも分かりやすいように意味や特徴を解説していきます。
また、記事の後半ではACブルゴーニュのおすすめワインも紹介するので是非、ワイン選びの参考にしてみてください。
ブルゴーニュ地域の格付けはワインを知らない人にとっては難しく感じられるのではないでしょうか。
本記事では畑が「特級」、「一級」、「村名」、「地方名」と4段階の格付けがある中の入門「ACブルゴーニュ」という言葉を初めて聞く方にも分かりやすいように意味や特徴を解説していきます。
また、記事の後半ではACブルゴーニュのおすすめワインも紹介するので是非、ワイン選びの参考にしてみてください。

「ACブルゴーニュ」とは?格付けやブドウ品種の特徴、おすすめワインも紹介

格付けやブドウ品種の特徴、おすすめワインも紹介
2024.11.26

1. 「ACブルゴーニュ」とは?

ACブルゴーニュ (AOC Bourgogne)は、原産地がブランスのブルゴーニュ地方であることを指すワインで、ブルゴーニュ産のワインのなかでも、特別な基準を満たした確かな品質と特徴を持つワインのみが「ACブルゴーニュ (AOC Bourgogne)」を名乗れます。
ACブルゴーニュについては以下の項目ごとに詳細を解説していきます。

2. 「AOC」について

フランスのワインには、産地の個性を守るために、「AOC」という「原産地統制呼称制度」が設けられているおり、AOCとは「Appellation d’Origine Contrôlée(アペラシオン・ドリジーヌ・コントロレ)」の略称です。
AOCとはワイン醸造地の品質を保証し価値を守るための法規制で、地域外からむやみに権利を侵害できないよう配慮するためのものです。

AOCは1935年にフランスで定められた制度で、INAO(国立原産地名称研究所)の名のもとに管理されていることでAOC制度の保護のもと生産されている品質を保証されたワインこそが「(ACブルゴーニュ(AOC Bourgogne)」ということになります。

「AOC」の位置づけ

産地の個性を守る「AOC」は、フランスワインの品質を分類する3つのカテゴリの中で最上位に位置します。
下記のようにフランスワインは、以下3つに分類されており、違いが明確化されています。

最上位カテゴリ「A.O.C.」:原産地呼称が保護されたワイン
中央カテゴリ「I.G.P」:地理的表示が保護されたワイン
最下位カテゴリ「Vin de France」:日常的に親しまれるテーブルワイン

中でもトップクラスの「AOC」は、フランスの各産地での高品質のワインを意味しており、その表記はワインのラベルに記載されます。
なので、ワインを選ぶ際には是非、このAOCを参考にしてみてください。

「AOC」と「AOP」の違い

「AOC」とよく似た表記に「AOP」があります。
これは1935年にAOPが定められた後、2009年にEUの規定変更にともない「AOP(Appellation d’Origine Protegee)」と呼ばれる新たな制度が設けられたため、AOCはAOPに包括される形になりました。
どちらとも、トップカテゴリとして扱われておりますが、AOPの中でも特に厳しい基準を満たしたワインのみがAOCを名乗れるようになっています。

3. ブルゴーニュワインにおける「ACブルゴーニュ」の位置づけ

ブルゴーニュワインにおける「ACブルゴーニュ」の位置づけ

上記でも説明した通り、ブルゴーニュでは大きく分けて以下4つのAOCで、ワインを格付けしています。
階級としては上から
∟特級畑(グラン・クリュ)
∟1級畑(プルミエ・クリュ)
∟村名(コミュナル)
∟地方名(レジョナル)
で上位のものほどワインに使用されるブドウのエリアが限定されるため、生産されるワインの希少価値も高いとみなされます。

上記の「レジョナル」にはマコン・ヴィラージュなど様々なAOCがあり、その中でもっと多いAOCこそが「ブルゴーニュ(Bourgogne)」であり、その「Apellation Bourgogne Contlrolee」の表記をもとに「ACブルゴーニュ」と呼ばれています。
「ACブルゴーニュ」とはブルゴーニュのAOCの中で、品質を保証された最も親しみやすいワインとも言えるでしょう。

4. ブルゴーニュの地区別による特徴

ブルゴーニュには以下6つの地区があり、それぞれ個性があります。
・コート・ド・ニュイ地区
・コート・ド・ボーヌ地区
・シャブリ地区
・コート・シャロネーズ地区
・マコネ地区
・ボジョレー地区

それぞれの地区の特徴は下記をご参照ください。

コート・ド・ニュイ地区

フランスの中部から南部に広がる主に赤ワインを生産する地域で、ロマネ・コンティをはじめとする有名ワインの数々が、この地区から生産されます。
コート・ド・ニュイは別名「ピノ・ノワールの聖地」とも呼ばれ、グラン・クリュという最上位グレードの畑が最も多く存在し、プルミエ・クリュも数多く存在します。
土壌はピノ・ノワールというブドウの成熟に適した、石灰質の中に粘土を多く含んでいることが特徴的です。

コート・ド・ボーヌ地区

フランスの中ほどから南に位置する白ワインの銘醸地として知られています。
世界でもトップクラスの白ワインと称されるモンラッシェを生産している産地であり、ブルゴーニュワインの中でも最高グレードにあたる「グラン・クリュ」のワインは、コート・ドール(黄金の丘)で数多く生産されているため、ワイン愛好家からは常に注目されています。

シャブリ地区

ブルゴーニュ地方の最北に位置し、シャンパーニュとコート・ドールの中間地点に位置します。近いエリアではあるものの、気候はコート・ドールよりさらに冷涼なため、フレッシュな柑橘と強いミネラルが特徴的です。
また、ブルゴーニュの特級畑はコート・ドールとシャブリのみに限られることから、知名度が高く人気がある地域でもあります。

日本では、シャブリから多くの白ワインを輸入しているため、辛口の白ワインといえば代名詞として思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。

コート・シャロネーズ地区

コート・シャロネーズはコート・ド・ボーヌの南に広がる地域です。
さらに南のマコネほどではないですが、コート・ドールに比べると比較的暖かい産地なので、より豊かな果実味を持ったワインが生産されています。
土壌の特徴として、南側は泥灰質で、北側は石灰質という違いがあるため、北の方がミネラル感は強い印象を持ちます。

南部には、地中海性気候を活かして栽培される「アリゴテ」という品種を使った、高品質な白ワインを造る「ブーズロン」村が有名です。

マコネ地区

コート・シャロネーズからさらに南下した、温暖な地域です。
暖かい気候の恵みを受けて、豊満なコクのあるスタイルのシャルドネを生産するのに適した産地で、その品質の高さゆえにピュリニー・モンラッシェの巨匠ドメーヌ・ルフレーヴもマコネ地区のブドウを買い付けてワインを生産しています。

ほとんどの栽培面積がシャルドネで占められており、シャルドネ王国と称されるほど有名ですが、スタイルとして、控えめな酸とフルーティな仕上がりなので、辛口ワインの印象が強いシャブリとは正反対な味わいになります。

ボジョレー地区

ブルゴーニュ地方の最南端に位置する産地で、日本では「ボジョレー・ヌーヴォー」の生産地として知られています。

北側の丘陵地帯では、花崗岩を基盤とした土壌を活かして、「ガメイ」というブドウ品種が盛んに造られており、ヌーヴォーのように早飲みできるスタイルもあれば、「クリュ・ボジョレー」のように長塾向きのスタイルも存在します。

5. ブルゴーニュのブドウ品種

下記ではブルゴーニュ地方を代表するブドウ品種を3つ紹介していきます。

ピノ・ノワール

ブルゴーニュのブドウ品種

ピノ・ノワールの名前の由来は、フランス語で「松ぼっくり」を意味する「Pinot」からきていて、まるで松かさのように、密度の高い房が特徴的な品種です。
気候や病気に対してセンシティブな品種なので、かつてはブルゴーニュ以外での栽培は難しいとされてきたが、近年では、アメリカやカルフォルニアなどで成功事例が生まれたことをきっかけに世界的な広がりとトレンドが起きています。

主に冷涼産地で栽培されていることや果皮が薄いため、程よい酸味に穏やかなタンニンが特徴で、バランスが良く飲みやすい高貴な赤ワインに仕上がります。
ピノ・ノワールについてより深く、詳しく知りたい方は是非下記の記事をご参照ください。
ピノ・ノワールとは?エレガントな雰囲気の赤ワイン!特徴やおすすめのワインも紹介

ガメイ

ブルゴーニュのブドウ品種

ガメイと言えば「ボジョレー・ヌーヴォー」でおなじみの品種です。
ボジョレー地区では、ガメイの原産地として、世界中の栽培面積の半分以上を占めるほどの勢いで栽培されています。

「ヌーヴォー」として有名なフルーティさを重視した早飲みタイプはもちろん、「クリュ・ボジョレー」などから生産される、しっかりと木樽で熟成された複雑な味わいを活かした飲みごたえのあるものまで様々なワインが造られます。
「ヌーヴォー」などの早飲みスタイルはアルコール度数がやや低いことから、さっぱりとした飲みやすい仕上がりになっていることが多いです。

シャルドネ

ブルゴーニュのブドウ品種

「白ワインの女王」とも称される、白ワインの代表格とも言える品種です。
原産地としても有名なシャブリ地区では、冷涼な気候と特殊な土壌条件が合わさって、ミネラルを感じる鋭い風味のシャルドネに仕上がり、マコネ地区のように少し温和な場所では果実味とボリューム感のあるスタイルに仕上がります。

また、温和な気候に恵まれたコート・ドール南部のモンラッシェは、シャルドネの銘醸地として国際的にも高く評価され、世界最高級の白として広く知られています。
シャルドネについて詳しく知りたい方は下記をご参照ください。
シャルドネはどんなワイン?特徴や魅力、一緒に楽しみたいおすすめの料理も紹介

6. おすすめのACブルゴーニュのワイン3選

下記では大変おすすめなACブルゴーニュのワインを厳選して3本紹介していきます。

ブシャール・ペール・エ・フィス ブルゴーニュ・ピノ・ノワール ラ・ヴィニェ 2021

ブシャール・ペール・エ・フィス ブルゴーニュ・ピノ・ノワール ラ・ヴィニェ 2021

ACブルゴーニュの中でもコストパフォーマンスの良さに定評があるピノ・ノワール100%の赤ワインです。
柔らかいタンニン、ラズベリーやチェリーのような赤系果実のバランスがよく、ブルゴーニュの赤を飲んでみたい方にはおすすめの1本です。

クリスチャン・ベラン・エ・フィス ブルゴーニュ スー・ラ・ヴェル シャルドネ 2022

クリスチャン・ベラン・エ・フィス ブルゴーニュ スー・ラ・ヴェル シャルドネ 2022

AOCムルソーの畑に隣接する畑で採れるブドウを使用しています。
白ブルゴーニュの特有のエレガントな酸味と引き締まった果実感を堪能できる白ワインです。
熟成を旧樽で行っているため樽香は控え目でフレッシュな果実感を味わっていただけます。芳醇なアロマと引き締まりながらも柔らかいボディを持つこのワインは今開けて十分に楽しめるスタイルに仕上がっています。

アンリ・ボワイヨ ブルゴーニュ ピノ・ノワール 2022

アンリ・ボワイヨ ブルゴーニュ ピノ・ノワール 2022

コート・ド・ボーヌのヴォルネイ村に拠点を置くドメーヌ。現当主で5代目と長い歴史を誇ります。
フレッシュなサクランボやイチゴといった赤い果実のアロマ、タンニンは繊細かつエレガントでフルーティーなピノ・ノワールを飲まれたい方にはおすすめのワインです。
村名クラスのブドウを一部格下げして使用しているためACブルゴーニュの表記ですが格付け以上のクオリティとも言えるかもしれません。

7. まとめ

本記事では、ブルゴーニュの難しい制度や特徴をまじえながら、おすすめのACブルゴーニュのワインを紹介しました。
ACブルゴーニュの多くはお手頃な価格で手に入るため、ブルゴーニュを今から始める方は是非下記のリンクから自分に合う一本を探してみてください。

※当サイトの内容、テキスト、画像等の無断転載・無断使用を固く禁じます。また、まとめサイト等への引用を厳禁いたします。
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高松 亨 氏

CMS認定 マスターソムリエ

オーストラリア・シドニー出身。当時24歳にして世界最難関とも呼ばれるマスターソムリエに最年少、日本人として初めて合格。現在は地域おこし協力隊として北海道・余市のドメーヌ・タカヒコにて研修中。

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