シャンパーニュをもっと楽しむ!~ サントリーホール×ローラン・ペリエ~

こんにちは、ザ・セラー 虎ノ門本店の千田です。秋冬のシーズンはワインショップにとって繁忙期。
特に年末にかけては、クリスマスのイベントや年末年始のお祝いで、普段よりもシャンパーニュを飲む機会が増える方も多いのではないでしょうか?


今回の記事では、知っているようで実は知られていない「シャンパーニュ」の小話と共に、「シャンパーニュがもっと好きになる⁉意外な楽しみ方」をご提案いたします。
特にワイン好き、そして音楽好きの方にとって面白い記事になっておりますので、ぜひ最後までお付き合いいただけますと幸いです。
「シャンパーニュ×音楽」… さて、いったいどんなマリアージュが生まれるのでしょうか?
音大院卒からの音楽教師、そしてワインの面白さにはまって現在はワインバイヤーの経歴を持つ私が解説いたします。

1.知っているようで実は知られていない「シャンパーニュ」の小話

シャンパーニュ地方
ワインショップで接客をしていると、お客様から「シャンパンを選んでください」とよくリクエストされます。しかしお話を伺うと、スパークリングワインを探していて、イタリアでもスペインでもOKです。ということもしばしば。シャンパーニュについて知っているようで、知らない方も多いのかもしれません。

「シャンパーニュ」とは、フランスのシャンパーニュ地方で生産された、スパークリングワインを指します。使用可能なブドウの種類や造り方にも規定があり、それをすべて満たした特別なワインが「シャンパーニュ」を名乗れるのです。
シャンパーニュは高級なイメージがありますね。実際、価格帯は最低5千円~とかなり高級なお酒です。
それもそのはず、シャンパーニュはとても手間暇をかけて造られており、それこそ芸術品ともいえる特別なお酒なのです。

例えば、大量生産のカジュアルなスパークリングワインというのは、一般的にその年に採れたブドウを使って(あるいは貯蔵していたワインも追加して)フレッシュさ、味わいのバランスをとって生産されます。

一方のシャンパーニュは、各メゾンの味わいを表現するために、様々な年、区画毎に膨大なワインをストックし、それを絶妙なバランスでアッサンブラージュ(ブレンド)。その後、味わいにコク、旨みをつけるために1年~10年以上も熟成させます。この熟成の過程でスパークリングの泡がワインに溶け込み、クリーミーな舌触りと、持続性のある泡立ちの高級シャンパーニュが生まれるのです。

その造りの緻密さや、膨大なワインをアッサンブラージュして味わいを創るセンスを想像すると、ワインの中でも特に芸術的なお酒、それがシャンパーニュといえるのかもしれません。

2.リポート「ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団」公演を聴きにサントリーホールへ

ウィーン・フィル
(画像:18©N.Ikegami | SUNTORY HALL.)

11月19日、赤坂のサントリーホールでウィーン・フィルの公演を聴く機会に恵まれました。
サントリーホールといえば、日本で最高峰のコンサートホール。伝説的な指揮者、故カラヤン氏を始め多くの専門家のアドバイスを取り入れた造りで、その雰囲気や、唯一無二の「響き」から、音楽愛好家のみならず国内外の世界的な演奏家から長く愛されています。

この日はウィーン・フィル 東京公演の最終日。前半は”宇宙のテーマ”として圧倒的知名度を誇るR.シュトラウスの「ツラトゥストラはかく語りき」。特に有名なのは序章のテーマですが、途中、旅のヴァイオリン弾きのような生命力あふれるソロを含む約30分に及ぶ作品で、聞き手の集中力と理解力も求められます。冒頭の金管アンサンブルの荘厳な響き、随所に表れる弦楽器の細かなフレーズは一糸乱れぬ美しさで、息をのむ超絶技巧の連続でした。

そして休憩あけの後半はドヴォルジャークの交響曲8番。ドヴォルジャークといえば「新世界より」で知られる9番が圧倒的に有名ですが、8番も凄く良かったです。1楽章はきっちりと完璧に。フルートの小粋なソロが耳を楽しませます。そして2楽章から先は生演奏の醍醐味を存分に体感できる、怒涛の音楽表現。途中、クラリネットアンサンブルの温かい音色がこのホールにとても調和していて、2名の奏者のたった2音のシンプルな響きに、会場の観客も、オケのメンバーも、そして演奏している彼らでさえも浸っていました。これが生の演奏会でしか体感できない特別な楽しみ、一体感。そして、コンサートホールも楽器なのだなと、しみじみ実感しました。
超一流の演奏者が、今ここで追及する最高の響き。ホールとその日のコンディションの中で1番ベストな音楽に導く指揮者の凄さ。そしてオケとの深い信頼関係が伝わる演奏会でした。
いつか本場のウィーン楽友協会でも聴いてみたい…。日本でウィーン・フィルが聴けるなんて贅沢すぎます。

今回は世界トップのオーケストラ、ウィーン・フィルのリポートでしたが、これから年末年始にかけては演奏会のベストシーズン。コロナが落ち着いた今、コンサートホールに足を延ばしてみれば、きっと素敵な音楽との出会いがあるに違いありません。

3.知る人ぞ知る!「サントリーホール×ワイン」の深~い関係

シャンデリア

実はサントリーホールも、お酒やワインとは深い関係があるのです。
例えば大ホールのシャンデリアのデザインは、シャンパンの泡が立ち上っていくイメージ。そして、シャンデリアを形作るガラスの1つ1つはよく見るとブドウの葉っぱのモチーフになっています。他にも客席椅子のデザインや、ホール内に使用されている木材の材質に至るまで、探してみるとお酒やワインとの繋がりが沢山見つかります。


休憩時に営業しているバーコーナーではビールやシャンパーニュはもちろん、ウイスキーの「響」も楽しめます。
サントリーホールのロゴマークにも「響」がかくれていることを知っていましたか?
ワインやお酒が好きな方同士、こんな小ネタを知っていたら、演奏会がより一層楽しめますね。

4.現地でも楽しめるウィーン・フィルのシャンパーニュ「ローラン・ペリエ」

ウィーン・フィル
(画像:23©N.Ikegami | SUNTORY HALL)
サントリーホールで提供しているシャンパーニュは「ローラン・ペリエ」。そしてなんと偶然の一致で、ウィーン・フィルの本拠地、ウィーン楽友協会のシャンパーニュも同じく「ローラン・ペリエ」なのだそうです。(※2023年現在)

ローラン・ペリエといえば世界屈指のシャンパーニュメゾンで、家族経営としては世界1位。特徴的なのが「人」に対する敬意を尊重し、メゾンで働く人はもちろん、ローラン・ペリエに関わる全ての人を大事にするという事をポリシーとしている点です。そして、ウィーン・フィルもまた、芸術的・組織的な意思決定の過程のすべてをオーケストラメンバー自身の手に委ねる民主的な組織であることを理念としています。

今回、演奏会の休憩時間にローラン・ペリエをいただきました。心地よい口当たりで決して主張しすぎず、しかし芯のある高貴な味わいが、ウィーン・フィルの音色のイメージに重なりました。輝きのあるキラキラとした液面、緩やかに立ち上る泡立ちは「真珠の首飾り」とも喩えられ、ワインシーンにより特別な彩りをもたらします。
さて、ウィーン・フィルといえば、ウィーン楽友教会で行われる元旦のニューイヤーコンサートでも有名です。毎年のテレビ中継を楽しみにしている方も多いのではないでしょうか。ニューイヤーコンサートのお供にローラン・ペリエ、これは最高の組み合わせですね。

5.シャンパーニュがもっと好きになる!意外な愉しみ方

コンサートの休憩時間、どんな過ごし方をされますか?海外では、休憩時間に軽くお酒を楽しむのがスタンダード。特別感のあるシャンパーニュは特に人気です。休憩時間にシャンパーニュなんて贅沢と少し躊躇してしまうかもしれませんが、良い音楽には良いお酒が本当におすすめ。その日の特別感を何倍にも高めてくれます。そして、コンサートは1部から2部、アンコールまで含めると2時間以上と長丁場。休憩時間でリラックスして1杯のシャンパーニュをいただくことで、気持ちもリフレッシュ。後半に向けての高揚感が高まり、より深く音楽に没頭できるのも魅力です。


もちろんコンサートの時だけでなく、自宅でも再現可能。好きな音楽に合わせてお気に入りのシャンパーニュを用意すれば、最高の夜が約束されます。作曲家の母国や、楽曲の背景。演奏者のプロフィールに着目して銘柄を選んでみるのも面白いですね。

6.年末年始のおすすめシャンパーニュ「ローラン・ペリエ」3選

最後に、素敵な年末年始を過ごすためのおすすめシャンパーニュを3本ご紹介します。クリスマスはもちろん、年末の第9や元旦のニューイヤーコンサートのお供にぜひご用意いただき、楽しいひと時をお過ごしください。

ローラン・ペリエ ラ・キュベ  NV 

シャルドネ 50% / ピノ ノワール 30% / ムニエ 20%

ローラン・ペリエ社のスタイル「フレッシュさ」「エレガントさ」「バランスの良さ」を表現したスタンダードキュヴェ。
シャルドネをスタンダードクラスでは極めて高い比率でブレンド、100以上のクリュから厳選したブドウからの一番搾り「ラ・キュヴェ(La Cuvee)」のみ使用し、48ヶ月の瓶熟をしています。
澄んだゴールドの色合い、柑橘系、白い花のような香り。泡の質感はクリーミーで心地よい余韻が印象的な、エレガントでバランスの取れた味わいの辛口シャンパーニュです。

 

ローラン・ペリエ ロゼ  NV (化粧箱入り)

ピノ ノワール 100%

ローラン・ペリエ社はロゼの最高のメゾンのひとつとしても広く知られています。こちらは「真のロゼ」の姿を追求し赤白ワインを混ぜるのではなく、マセラシオン法で醸すスタイルを固守する同社の代名詞。
グランクリュを中心とした畑の中から厳選されたピノ・ノワールのみが使用され、望むべき、もぎたてのベリーを思わせる果実のアロマ、サーモンピンクの美しい色合いが抽出できるまで、最大72時間マセラシオンを施します。
サクランボ、イチゴ、カシスなどの赤い果実の心地よいベリー系果実のアロマ。凝縮したフルーツ、徐々にフレッシュなストロベリー、ラズベリーのフレーバー。余韻の永さと味わい深さが印象的です。

 

ローラン・ペリエ  グラン・シエクル NO.25 NV (化粧箱入り)

シャルドネ 55% / ピノ ノワール 45%

「マルチヴィンテージ」で造られる、ローラン・ペリエ社のトップキュヴェ。
シャンパーニュ造りの原点に立ち戻り、最高の畑、ブドウ、ヴィンテージをアッサンブラージュすることによって得られるバランス、ハーモニーを追求した「ブレンドの芸術作品」ともいえる逸品です。
きらめく黄金の輝き、華やかな香り立ち、白い花とほのかな蜂蜜の印象、ローストしたアーモンド、ヘーゼルナッツのニュアンス。パワーとエレガンスが共存し、豊かなミネラル感と驚くべきフレッシュさが感じられます。長い長い余韻が印象的で、芳醇さと上品さの絶妙なバランスがそこに感じられます。
特別な日にお勧めしたい極上のシャンパーニュ、ローラン・ペリエの粋の結晶をご堪能ください。

 

 まとめ

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以上、シャンパーニュをもっと楽しむ!サントリーホール レポートでした。
ワイン好き、そして音楽好きのみなさん、楽しんでいただけましたか?
今日は荘厳な音楽を聴きながら、シャンパーニュはいかがでしょう?