Domaine Leflaive

Domaine Leflaive

ドメーヌ・ルフレーヴ
ドメーヌ・ルフレーヴ

ドメーヌ・ルフレーヴ - トップ・ドメーヌの名声と功績を引継ぎ、 更なる変革と発展をもたらす

2024.09.26
ドメーヌ・ルフレーヴ ▲ 案内人:ブリス・ド・モランディエール 氏

トップ・ドメーヌの名声と功績をアンヌ・クロード女史から引継ぎ、更なる変革と発展をドメーヌにもたらすブリス・ド・モランディエール氏

2024.06.19 --- writer Kasahara

web サイト
https://www.leflaive.fr/en_US/

1. ピュリニー・モンラッシェ村の概要

ドメーヌ・ルフレーヴの本拠地である、ピュリニー・モンラッシェ村。まずはこの村の概要から紐解いていくと、全体で約245ヘクタールある畑のうち、99.5%が白ワインの畑で、間違いなく世界的に超有名な白ワインの銘醸地だ。またその約半分がプルミエ・クリュ、グラン・クリュの畑となっており、「超有名な白ワインの銘醸地」だけではなく、「<最>高級白ワイン」を生み出すエリアでもある。グラン・クリュだけで約30ヘクタールあるが、グラン・クリュが4つあり誰もが羨む畑ばかり。

隣接するシャサーニュ・モンラッシェにまたがる、ル・モンラッシェとバタール・モンラッシェ、そして残りの2つはこの村のみにあるシュヴァリエ・モンラッシェとビアンヴニュ・バタール・モンラッシェがある。この村から生み出される白ワインの味わいは、張り詰めたような果実味で、力強いが、繊細でミネラル感が強いなどの特徴がある。
そして今回ご紹介するドメーヌ・ルフレーヴはこの村に存在する全てのグラン・クリュを所有しているまさにピュリニー・モンラッシェ村を代表する最も偉大な生産者の1人である事は間違いない。

2. ワイナリーの歴史

あくまでブルゴーニュにある一軒家風の建物 ▲ あくまでブルゴーニュにある一軒家風の建物
Cuvageのある建物の外観 ▲ Cuvageのある建物の外観

ジョセフ・ルフレーヴ氏

海洋工兵隊の技師として、特にフランス初の潜水艦の設計と建造に携わったとされる先代ジョセフ・ルフレーヴ氏が20世紀初めに一族の畑を相続し、ドメーヌがスタート。

ジョーとヴァンサン・ルフレーヴ

その子供であったジョーとヴァンサン・ルフレーヴの第2世代の時代にピュリニー最高の造り手としての地位を確立した。

オリヴィエ・ルフレーヴ

ジョーの死後はその息子であるオリヴィエ・ルフレーヴ氏がドメーヌの運営に務めていたが、その後1990年にヴァンサン氏の娘アンヌ・クロード女史がドメーヌの共同運営に参画、93年に彼女の父ヴァンサン氏が亡くなり、その翌年の1994年からドメーヌの支配人に就任した。

アンヌ・クロード

以後、アンヌ・クロード氏の時代に現在のドメーヌ・ルフレーヴの名声を不動のものとなったが、2015年、ブルゴーニュに衝撃が走った、アンヌ・クロード女史が59歳の若さで他界。

ブリス・ド・モランディエール

彼女からバトンを引き継いだのが私たちの訪問時に対応してくれた紳士、第4世代となるブリス・ド・モランディエール氏となる。

3. 畑の特徴

畑はピュリニー・モンラッシェ村内に約20ヘクタールを所有。うちグラン・クリュは4つあり、全部で5.13ヘクタール、プルミエ・クリュが全部で4つ、全部で9.84ヘクタールとなっている。実にピュリニー村内にある自社畑のうち約75%がグラン・クリュかプルミエ・クリュなのだから、ドメーヌ・ルフレーヴがいかに高名なワインを造れるのかが所有する畑をいちべつするだけでも分かる。
その他にムルソー・プルミエ・クリュ・スール・ダーヌが1.6ヘクタール、ブルゴーニュ・レジョナルで約3ヘクタール、そしてモランディエール氏が大好きなマコン地区にも2004年から畑を取得した。

ドメーヌ・ルフレーヴは、第3世代となるアンヌ・クロード女史の時代からずっとビオディナミでブドウを栽培。そしてこの栽培は近年に取得している、マコン、オート・コート・ド・ボーヌの畑でも実践されている。
またグラン・クリュや一部のプルミエ・クリュの区画は馬を使って畑を耕している。除草剤の替わりで、カーボンニュートラルであることに加え、馬が通ることで土が圧縮されにくくなり、有機的な微生物が増えるのだとか。これはデュガ・ピィでも話していたが、樹齢の古いブドウの木は機械作業で木を傷つけてしまうリスクがある為、馬の使用によりそのリスクも軽減出来るそう。通常、畑の耕作に使用する馬と馬飼いは専門業者からレンタルする事が通例だが、ルフレーヴではなんと3頭の馬を実際に飼っているとの事!
畑を見る機会がなかったが、次回は是非馬が耕作している姿も実際に見てみたいものだ…

4. 醸造の特徴

果たしてここで住所は正しいのか…と思っていた矢先にモランディエール氏登場 ▲ 果たしてここで住所は正しいのか…と思っていた矢先にモランディエール氏登場

ドメーヌ・ルフレーヴはエグリースとラ・コンブの2か所に醸造所を持っています。今回訪問したのはエグリース。外にドメーヌを示すような看板はまったくなく、事前に連絡をもらっていた住所のみがその場所がルフレーヴの建物だという唯一の証拠…。

程なくしてモランディエール氏の姿が見え、全員そこで確信、安堵!
さて話を戻すと、2つの醸造所は空調の使用を極力減らす為に、最新の技術で断熱処理が施されているとの事。中に入ると、発酵用のステンレスタンクが所狭しと並ぶ。

ドメーヌ・ルフレーヴの醸造は、歴代のレジスール(醸造長)が指揮。初代がフランソワ・ヴィロ、その息子のジャン・ヴィロと続きブルゴーニュの名醸造家ピエール・モレが1988年から2008年まで担当し、2008年から2017年まではエリック・レミーが続いた。2017年1月、エノロジストのピエール・ヴァンサンが新しい総支配人に就任して現在に至る。

案内をしてくれたブリス・ド・モランディエール氏 ▲ 案内をしてくれたブリス・ド・モランディエール氏
23年のクラヴァイヨンが入ったエッグ型タンク ▲ 23年のクラヴァイヨンが入ったエッグ型タンク

今回は22年ヴィンテージを試飲。
モランディエール氏によると、22年は早熟な非常に暑いヴィンテージで、ドメーヌ・ルフレーヴでは8月27日に収穫を開始。暑い年といってもそんなに暑さを感じる事はなくて、過熟になる事はならなかったとの事。クラシックなヴィンテージを思わせ、同じように暑かった20年と比較すると(果実味等が)控え目でエレガントな年のよう。試飲しても共通して言える事はやはり非常に未だ若いながらも香りの要素も開いていて、試飲していて楽しい、美味しい、そんな印象だ。

5. モランディエール氏のお勧め ルフレーヴの“マコン”

「マコンは重要です」

という言葉から試飲が始まった。他のドメーヌ・ルフレーヴのワイン同様、畑ではビオディナミを実践し、醸造チームも同じ、そして基本的にはブドウの圧搾から醸造、熟成のプロセス全てをこの同じピュリニー・モンラッシェの施設で行っているとの事。

「ワインの造り時代は他のワインと一緒で、価格的にもワイン愛好家の方々に手に取って頂きやすいので、マコンは大好きです。」

と続けるモランディエール氏。何故ピュリニー・モンラッシェの名門がマコンに畑?と頭に過った所で、

「マコンとピュリニーの土壌は似ている」

という。成程、このピュリニー・モンラッシェで培ったドメーヌ・ルフレーヴのノウハウが遺憾なく発揮出来るテロワール(場所)という事なのだろう。2004年に9ヘクタールをマコンに取得した事を皮切りに現在は全部で40ヘクタール程、畑も様々だ。

マコン・ヴェルゼ

「マコン・ヴェルゼはフレッシュだが、構成力を持ったワイン、そして繊細さも持ち合わせていて美味しいですよ」

と。確かにその通りで、ミネラルを纏い、重心の低い味わいはまさにルフレーヴのスタイルだ。4年前にはマコンにある醸造所を取得したとの事で、今後の展開も益々気になるところ。何せブルゴーニュの価格高騰が著しく、いまやグラン・クリュやプルミエ・クリュと言ったら、数も少なく、そして価格も天文学的に上昇してしまったのだから尚更だ。

プイィ・フュッセ

マコン・ヴェルゼより少し甘い香りが強く、果実味を感じられるのが同じマコネ地区のプイィ・フュッセ。モランディエール氏の言葉では

「果実が横に広がるようなヴォリューム感がある」

ふむふむ確かに明らかにマコン・ヴェルゼとは異なる個性を感じる。

ピュリニー・モンラッシェ

ヴィラージュのピュリニー・モンラッシェは7つの異なる区画をブレンドして造ったもの。フィネスもありエレガントと説明があった通り、ピュリニー・モンラッシェらしさをしっかりとルフレーヴ流に表現したワインだ。

プルミエ・クリュ | クラヴァイヨンとフォラティエール

次はプルミエ・クリュを2種、クラヴァイヨンとフォラティエールを試飲。クラヴァイヨンは単純に楽しみやすく、フォラティエールはより張り詰めた緊張感のあるのが特徴。

フォラティエールは頭で考えなければいけないワインでしょう

と続ける。
23年がセラールームに並ぶ。 ▲ 23年がセラールームに並ぶ。
「テイスティングは意見交換の場、是非コメントを」という言葉でスタート▲ 「テイスティングは意見交換の場、是非コメントを」という言葉でスタート

グラン・クリュ | ビアンヴニュ・バタール・モンラッシェ

最後にテイスティングするのはグラン・クリュを2種。1つ目はビアンヴニュ・バタール・モンラッシェ。力強いのにエレガントで甘美。液体の粒子がとても細かく、とにかく滑らか。土壌はどちらかというと石灰質土壌らしいが、細かく分解されたような石灰質との事。畑の平均樹齢も70年を超えているらしく、張り詰めたようなミネラル感も。

グラン・クリュ | バタール・モンラッシェ

最後を飾るのはバタール・モンラッシェ。モランディエール氏からの最初の紹介は「 個性のはっきりしたワイン。」確かに特徴的で華やかな香りで、生のアーモンドやライムのよう。そして味わいはビロードのようで、非常に長い余韻。流石のグラン・クリュ、本当に余韻が長く、いつまでも香りと味わいが口の中に留まります。

「最後は飲んで下さい、そしたら今日はもういいアペリティフを飲んだし、あとも楽しめるよ」と笑顔で試飲を終えた。マコンからスタートし最後はグラン・クリュで締めたわけだが、確かに2022年の味わい全般として非常にフレンドリーで味わいやすい状態だった。例年だと日本での流通は今年の冬頃になるのだろうか、収量が増えた事によって流通量が増える事を期待しながらも、この円安の為替影響がどれ位価格に現れるのかに今から戦々恐々としている…

参考情報:
生産者 - ドメーヌ・ドメーヌ・ルフレーヴ: https://www.leflaive.fr/en_US/
輸入元 - ラック・コーポレーション:ラック・コーポレーション|ドメーヌ・ルフレーヴ

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