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Château La Fleur-Pétrus

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シャトー・ラ・フルール・ペトリュス
シャトー・ラ・フルール・ペトリュス

シャトー・ラ・フルール・ペトリュス - ムエックス流を体現するポムロールの隠れた名シャトー

2024.12.03
シャトー・ラ・フルール・ペトリュス

ムエックス流を体現するポムロールの隠れた名シャトー

2024.06.26 --- writer Kasahara

web サイト
https://www.moueix.com/en/pomerol/lafleur-petrus

1. シャトー・ラ・フルール・ペトリュスの概要

ポムロール地区にあるシャトー・ペトリュスとシャトー・ラフルールの間に位置することから名づけられたシャトー・ラ・フルール・ペトリュスは、18世紀からの歴史を持っている。1950年にジャン・ピエール・ムエックス氏が最初に取得したポムロールのシャトー。
当初は僅か9ヘクタール程だったが、その後周辺のブドウ畑を段階的に取得。現在は3ブロックに分かれて畑があり、全部で18.7ヘクタールある。

1990年代に入って、ジャン・ピエール・ムエックス氏の息子である2代目のクリスチャン・ムエックス氏が品質向上に努めた。現在はムエックス家の3代目にあたるエドゥアール氏も加わり、2012年時にシャトー・ル・パンの隣にあったシャトー・ギヨが所有していた畑を同氏が中心となって取得した。

2. ワイナリーの歴史

ペトリュスから道路を隔てた向かい側、ラフルールに隣接するこのシャトーは、ポムロールでも歴史あるシャトーのひとつである。

1950年 ー

1950年にジャン・ピエール・ムエックス氏が買収した最初のポムロールのシャトーで、その後ムエックス家は同シャトーの近隣にある、シャトー・トロタノワを1953年に、シャトー・セルタン・ジロー(現在のシャトー・オザンナ)を1999年にそれぞれ取得している。

1994年

1994年に隣接するシャトー・ル・ゲイの古木からなる区画を新たに取得。

2005年 ー「プロヴィダンス」

また2005年にはシャトー・ラフルールとシャトー・オザンナの間に位置する粘土質土壌からなるシャトー・ラ・プロヴィダンスを取得。この区画から造られるワインは2005年から2012年までの間、「プロヴィダンス」としてリリースされた。

2013年 ー

2013年以降は単独のリリースは無くなり、シャトー・ラ・フルール・ペトリュスにブレンドされるようになる。
2012年にはエドゥアール・ムエックス氏がシャトー・ル・パンの隣の畑を取得。現在は主に3つの異なるプロットからなるブドウのブレンドでワインが造られている。

3. 畑の特徴

LFP 1

最初の区画であるLFP 1はラフルールとシャトー・ペトリュスに挟まれた畑で、鉄分を多く含む大きな砂利質の土壌で、北向きの斜面のため水はけが良い。

LFP2

LFP2は2005年に取得した畑でポムロールの中央に位置し、砂利混じりの粘土質で構成されている。この区画はより温暖であるため、ワインは非常にしなやかで濃い果実味を持つ。

LFP 3

南側の区画であるLFP 3は、シャトー・トロタノワとシャトー・ル・パンの間に挟まれた畑で、2012年に取得した。驚くほどきめ細かく深い砂利質の土壌で、南に向かって自然に排水され、ビロードのように滑らかで、緻密で骨格のあるワインができる。

最近になり、将来の暑さ対策を目的として、プティ・ヴェルドの植樹が規制で認められた後、LFPが初めてプティ・ヴェルドを植樹した。現在、このドメーヌの91%はメルロ、6%はカベルネ・フラン、3%はプティ・ヴェルドが植えられている。
平均樹齢は約35年程度で、ムエックス家が管理しているシャトーでは定期的に改植を行っており、だいたい平均樹齢が30年前後となるように管理しているようだ。

4. 醸造の特徴

この前に訪問していたシャトー・ベレール・モナンジュや他のムエックス・ファミリーが所有する傘下のシャトーと同様に、栽培から醸造に至るまで同じムエックス・チームが一貫して行っている。栽培、醸造、セラーマスターから構成されており、ワイン造りで最も大切な事となる決断は全て、クリスチャンとエドゥアール・ムエックスによって今でも決められているようだ。醸造についても基本的には同じとの事。収穫時期には他の傘下にある近隣のシャトーと温度管理が出来る、コンクリートタンクとステンレスタンクが整然とワイナリー内に並んでいる。熟成は新樽比率50%で、16-18カ月間の熟成。

5. 2019年のシャトー・ラ・フルール・ペトリュスのテイスティング

2019年ヴィンテージは乾燥して暖かく、太陽に恵まれた夏だったようだ。また日中と夜間の気温差があり、夜間はワインに適度なフレッシュさを与えるために必要な酸味が加わった年との事。2016年以来のグレイト・ヴィンテージになるのではと期待されている。
テイスティングをしてみると、香りはモカやスパイス、紅茶のようなニュアンスもあり、口に含むとしっかりと熟したタンニンが広がる。2018年のシャトー・ベレール・モナンジュと同時にテイスティングしたが、タンニンの質・量ともに2019年のラ・フルール・ペトリュスの方が一回り以上上回る印象だ。この豊富なタンニンも収斂性はなく、非常に丸く、エレガントに仕上げているのが、流石ムエックス流なのかもしれない。

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