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Chateau Mouton Rothchild

Chateau Mouton Rothchild

シャトー・ムートン・ロートシルト
シャトー・ムートン・ロートシルト

シャトー・ムートン・ロートシルト - メドック格付けで唯一第1級へ昇格が許されたシャトー

2025.01.06
シャトー・ムートン・ロートシルトの概要

メドック格付けで唯一第1級へ昇格が許されたシャトー

2024.06.24 --- writer Kasahara

web サイト
https://www.chateau-mouton-rothschild.com/

1. シャトー・ムートン・ロートシルトの概要

メドック地区ポイヤック村

メドック地区ポイヤック村にあり、パリ万博の際に作成された1855年メドック格付けの第2級、その後1973年にメドック格付けで唯一第1級へ昇格が許されたシャトー。この時の事を「我1級になりぬ、かつて2級なりき、されどムートンは昔も今も変わらず」(PREMIER JE SUIS, SECOND JE FUS, MOUTON NE CHANGE)と表現した、フィリップ・ド・ロートシルト男爵の名言を残す。

シャトー・ムートン・ロートシルト
シャトー・ムートン・ロートシルト

シャトー・ダルマイヤック

1933年に隣の畑にあるシャトー・ムートン・ダルマイヤックを買収。(後の1989年にシャトー・ダルマイヤックに改名。)この買収対象に小さなネゴシアン会社もあり、これが後の「バロン・フィリップ・ロートシルト」社となる。1970年には同じく近隣にあったシャトー・クレール・ミロンも買収した。
1991年に白ワインの「エール・ダルジャン」、1993年にはセカンド・ワインの「ル・プティ・ムートン」を発売。2012年には現在使用している新醸造所が完成した。
現在シャトー・ムートン・ロートシルトで生産するワインは以下の3つがある。
・シャトー・ムートン・ロートシルト
・プティ・ムートン・ロートシルト
・エール・ダルジャン

2. ワイナリーの歴史

アートラベル

ナタニエル・ド・ロートシルト男爵がブラーヌ・ロートシルトを買収し、シャトー・ムートン・ロートシルトとした事がこのシャトーのスタート。
その直後の1855年、パリ万博でメドック格付けが行われた際には、第2級とされた。以後ロートシルト家は格付け1級を目指して、様々な努力を行う事となる。
1924年当時、ネゴシアンワインが全盛だった時代に、一早くシャトー元詰めを始めたのがフィリップ・ド・ロートシルト男爵で、この年にアートラベルと共にワインを送り出した。
この当時はラベルが斬新過ぎて、あまり好意的に受け入れられなかった為、アートラベルは継続する事はなかった。
1945年、第二次世界大戦における連合軍の勝利と、自らのムートンへの生還を祝し、芸術家フィリップ・ジュリアンにアートラベルの作成を依頼。以後毎年、現代芸術家がムートンの為に制作したオリジナルの作品がラベルを飾る現在に続くアートラベルが誕生。

メドック格付け第1級シャトー

1973年フィリップ男爵の長年の尽力が功を奏し、ついにメドック格付け第1級シャトーとして正式に昇格を果たす。その後1988年にフィリップ男爵が無くなると、夫人であるフィリピーヌ女史がシャトー継承した。
1992年にはプルミエ・ファミリエ・ヴィニ(PFV)という家族経営で続くワイナリーの団体を創設、トスカーナのアンティノリ、リオハのヴェガ・シシリア等と共に団体の運営にもあたる。
2014年にフィリピーヌ女史が亡くなった後は、現在に至るまでその子供達がシャトーを継承し、長男フィリップ氏を長女カミーユ氏と次男のジュリアン氏がサポートしている。

3. 畑の特徴

このシャトーの畑は「ル・プラトー・ドゥ・ムートン」(ムートンの台地)と呼ばれる標高約27メートルの丘の頂を中心に広がっており、全部で約90ヘクタール。この緩やかな斜面のお陰で良好な日照条件と、水はけを得られる。
「ムートン」という名称も、もともとは羊という意味ではなく、古い仏語で「小高い土地」を意味する「Motte」又は「Mothon」が由来ではないかと言われている。深さのある泥灰土の上に礫が積もっており、カベルネ・ソーヴィニヨンが約80%、メルロが16%、カベルネ・フラン3%、プティ・ヴェルド1%が植えられている。1ヘクタールあたり1万本程度のブドウの木が植えられており、かなりの高密植だ。

栽培方法は基本的に、農薬等を必要時のみ散布するリュット・レゾネ(減農薬農法)で行っている。畑から瓶詰の工程に至るまで、各工程のスペシャリストが担当をしている。収穫時は全て手作業で収穫し、12キロ入る小型のバスケットに入れて運ばれる。

4. 醸造の特徴

1924年にフィリップ男爵がシャトー元詰めを始める際に、ワインの保管場所の確保が必要となった。その際に建築家シャルル・シクリスに依頼して建造したのが「グラン・シェ」。
全長100メートル、幅25メートルあり、オーク樽を積むことなく1000個フロアに並べる事が出来る圧巻のスペース。

2012年には新醸造所が完成し、28基のタンクが追加された。結果醸造用タンクは全部で64基と以前の2倍以上となった。これにより小型区画(マイクロ・パーセル)での醸造が可能に。(内訳は44基の木製タンクに、20基のステンレスタンク)

5. 2015年シャトー・ムートン・ロートシルトのテイスティング

2015年は例年に比べると雨量が少なく、高温だったヴィンテージ。ブドウの粒が小さく、収穫量はあまり取れなかったが、最終的に良い状態で果実を収穫する事が出来た。
やはり、暑い年ならではのコンフィチュールのような煮詰めた果実香があり、タバコやスパイスも感じられる。口に含むとタンニンは思ったよりも未だ非常に若く、力強い骨格と果実味がある。今試飲しても十分に味わいのバランスが取れた状態だったが、未だあと5~7年程度熟成をさせても良いのかもしれない。

Special thanks to TEAM Riedel France

参考情報:
生産者 - シャトー・ムートン・ロートシルト:Château Mouton Rothschild - Premier Cru Classé, Bordeaux

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