ジョージアワインの特徴を解説!
ジョージアワインの特徴を解説!

独自の製法やブドウ品種、おすすめの商品も紹介

独自の製法やブドウ品種、おすすめの商品も紹介

THE CELLAR JOURNAL --- writer : Wataru Iwata

近年多くのワイン愛好家の方から注目され、その人気がますます高まっているのが「ジョージアワイン」です。ジョージアワインは8000年の歴史を持ち、「ワイン発祥の地」として知られ、ワインに関する長い歴史を有する国です。
本記事では、ジョージアワインの基礎知識から特徴などを解説させていただきます。
近年多くのワイン愛好家の方から注目され、その人気がますます高まっているのが「ジョージアワイン」です。ジョージアワインは8000年の歴史を持ち、「ワイン発祥の地」として知られ、ワインに関する長い歴史を有する国です。
本記事では、ジョージアワインの基礎知識から特徴などを解説させていただきます。

ジョージアワインの特徴を解説!独自の製法やブドウ品種、おすすめの商品も紹介

独自の製法やブドウ品種、おすすめの商品も紹介
2024.07.22

1. そもそもジョージアとは?

そもそもジョージアとは?

「ジョージア」とは、旧ソビエト連邦の構成国の1つであり、旧国名を「グルジア」と言い、2015年から現在の「ジョージア」に変更となりました。
古くからシルクロードの要所として交易で栄えた国であり、北にはロシア、南にはトルコとアルメニア、東にはアゼルバイジャン、そして西を黒海に囲まれています。

ジョージアは「ワイン発祥の地」とも呼ばれており、紀元前6000年ごろからワイン造りが始まったということも分かっています。ワインの英語表記である「wine」の語源は、ジョージア語の「ghvivili(グヴィヴイリ)」だと言う有力な説もあります。

2. ジョージアワインの特徴

ジョージアワインには白ワイン、赤ワインと両方のタイプのワインが製造されています。しかしながら世界的にも人気があり、ジョージアワインを代表するものがクヴェヴリで造られるワインです。
ジョージアワインのこのクヴェヴリで造られるワインは「アンバーワイン」とも呼ばれており、白ブドウを使い、赤ワインのように果皮や種とともに発酵させる伝統的なワインです。アンバーワインは琥珀のような濃いオレンジ色をした色調が特徴で独特なアロマを有する点でもユニークなワインです。

3. ジョージアワインの歴史

ジョージアワインの歴史

ワインの発祥の地とされ、世界最古のワインが造られた地として知られるジョージア。
世界中で愛されるワインの始まりと歴史について紹介します。

ワインの起源

ワイン造りは今から約8000年前の紀元前6000年ごろに現在のジョージアが位置するコーカサス地方で始まったとされています。
ジョージアの遺跡から出土した素焼きの壺から、ワインの存在を示す「酒石」が発見され、この地がワイン発祥の地と言われるようになりました。

他国による支配のなかで守られたワイン

ジョージアの歴史は、他国による支配の歴史でもあります。ジョージアはシルクロードの要所として古代から交易都市として栄えており、アラブやモンゴル、ペルシア、トルコ、そしてロシア、ソビエトによる長い支配の歴史が続き、独立したのは1991年でした。

この他国による侵略と支配が繰り返されたジョージアですが、ブドウ栽培とワイン造りが途切れることはありませんでした。
ジョージアの人々は、戦争の中でもブドウの苗木や木を持って逃げたと言われるほど、自分達のワインに誇りを持っていることがわかります。

4. ジョージアワインの産地

ジョージアでは主なワインの産地が10あります。
中でも東部に位置する「カヘティ地方」と西部の「イメレティ地方」がその主要産地として重要視されています。ジョージアワインには「原産地呼称(PDO)」に指定された銘柄が25もあり、そのうちの19がカヘティ地方に位置しております。

カヘティ地方

カヘティ地方はジョージアの東部に位置しており、ジョージアの全てのブドウ栽培面積55000haのうち、実にその70%近くを占めるジョージア最大のワイン産地であります。
気候はジョージア国内でも最も乾燥したエリアの1つで、大陸性気候に分類されます。

生産されるワインも種類が非常に豊富で、すっきりとした爽やかな辛口のルカツィテリの白ワインから、より柔らかいムツヴァネの白ワイン、そしてサペラヴィからは渋みのしっかりとしたフルボディの辛口赤ワインや(セミ)スィートワインなどが良く知られています。
また、牛肉や豚肉のグリルなどのお肉料理やシチューなど、重厚な食文化を持つ国としても知られており、長期間果皮や種と共に発酵した力強いアンバーワインや赤ワインも多く造られています。

イメレティ地方

イメレティ地方は、ジョージア西部を代表するワインの一大産地です。この地方で造られるワインの生産量はジョージア国内で生産されるワインの15%を占めます。
気候的には黒海の影響を強く受け、東部と比較するとより湿潤で雨量が多いことが特徴となります。食文化も東部とは対照的で、ハーブや野菜、鶏肉やクルミなど、軽めの料理が多く食されています。

イメレティではクヴェヴリは「チュリ」とも呼ばれ、地上に設置され、地上の開けた空間で使われることが多く、軽やかでタンニンが柔らかく、親しみやすいワインが特徴となります。

5. ジョージアワイン独自の製法「クヴェヴリ」とは

ジョージアワイン独自の製法「クヴェヴリ」とは

ジョージアワインの特徴は、その製造方法にあり「クヴェヴリ」と呼ばれます。
「クヴェヴリ」とは卵型をした素焼きの壺のことで、ジョージアでは伝統的にこの壺を用いて、ワインを造っています。
ブドウを木桶の中で踏み潰した後に、果皮、果肉、果梗、種と共に果汁を土の中に埋めたクヴェヴリの中に投入します。
その後、発酵と熟成を5~6ヶ月に渡り行った後に、ワインを別のクヴェヴリに移し、さらなる熟成を行います。
ワインはその後に瓶詰めされます。

このような過程を経るために、手間がかなりかかり、19世紀にはその生産量も減少していました。
現在でもジョージアワインの生産量の90%ほどは「ヨーロピアンスタイル」とも呼ばれる、いわゆる一般的でモダンな醸造方法が取られています。しかし、クヴェヴリによるワイン造りは2013年にユネスコの「無形文化遺産」に登録され、独自の文化が再度見直されていき、徐々にクヴェヴリによる生産は増えてきている現状が見られます。

6. ジョージアワインに使用されるブドウ品種

ジョージアワインに使用されるブドウ品種

また、ジョージアには数多くのブドウ品種があり、ジョージア固有の土着品種が少なくとも525種あるとも言われています。
525品種あるジョージア固有の土着品種のうち、商業用に栽培されているブドウ品種は45種であり、その中でもジョージアを代表する品種は「ルカツィテリ」「ムツヴァネ」「サペラヴィ」の3種です。

ルカツィテリ

ルカツィテリはカヘティ地方の主要品種の1つで、年間収穫量の約60%を占めています。
病気に強く、熟しやすいのが特徴で、ロシアや中国でも幅広く栽培されています。
香りは一般的に控えめであり、タイトでストラクチャーのしっかりとしたドライで力強いワインが生み出されるのが特徴です。フレッシュな酸味によって、すっきりとした味わいの白ワインから、クヴェヴリ製法の独自のワインまで幅広いスタイルのワインが造られます。

ムツヴァネ

ムツヴァネは白いお花や桃などのストーンフルーツの果実のアロマが特徴的な香りが強いブドウ品種です。
穏やかな酸味を味わえるワインが造られ、ルカツィテリとブレンドされることがあります。

サペラヴィ

サペラヴィは「黒ブドウの王者」とも国内で称される品種です。ジョージアで生産されるワインの年間収穫量の約30%を占めます。
サペラヴィとは「染料」を意味する言葉で、飲むと歯に黒い色素がつくほど、豊富なアントシアニンとタンニンを含んでいます。
果肉まで赤い、いわゆる「タンチュリエ」とも呼ばれるタイプのブドウであり、出来上がるワインも非常に色濃いワインとなります。味わいとしてはブルーベリーやダークフルーツなどの豊かな果実味とスパイシーな風味が特徴となります。
辛口の赤ワインだけでなく、甘口や半甘口の赤ワインも造られており、伝統的な「キンズマラウリ」と呼ばれるワインが有名です。

7. おすすめのジョージアワイン4選

・ここでジョージアワインを楽しみたい方に、おすすめのワイン4本を紹介させていただきます!

シャルヴァ・グヴァラマゼ・ワイナリー サペラヴィ 2018

シャルヴァ・グヴァラマゼ・ワイナリー サペラヴィ 2018

美しく輝く、濃い紫色を帯びたガーネット色。カシスやダークチェリーを思わせる黒系果実の豊かなアロマに、バニラ、オールスパイス、ナツメグ、クミンなどオリエンタルな香りが続きます。
口当たりはとても柔らかく、凝縮感ある果実味にチャーミングな酸味が絶妙に調和し、余韻に続くスパイスと緻密でしなやかな渋味がボディを引き立てる、味わい深いクヴェヴリワインです。

フェザンツ・ティアーズ モロディーナ 2017

フェザンツ・ティアーズ モロディーナ 2017

ジョージアで8世代続くワインメーカーとアメリカ出身の画家が偶然出会ったことがきっかけで始まったワイナリーです。
伝統的なクヴェヴリを用いたワイン造りを行い、ワインのラベルには彼のイラストが描かれています。
赤系果実のジューシーさと非常に長い余韻が心地良い1本です。

シャルヴァ・グヴァラマゼ・ワイナリー ツァラピ 2020

シャルヴァ・グヴァラマゼ・ワイナリー ツァラピ 2020

完熟果実の華やかな風味を堪能できるオレンジワインです。
美しく輝く黄金色。熟したアプリコット、オレンジマーマレードを思わせる香りに、黄色い花やレモンティー、シナモンのスパイスなどが広がります。
口当たりは柔らかく、ミネラリーで凝縮感のある果実味にフレッシュな酸味が調和し、柑橘の皮を思わせる苦味とスパイシーな余韻が長く続きます。

シャラウリ・ワイン・セラーズ ムツヴァネ 2018

シャラウリ・ワイン・セラーズ ムツヴァネ 2018

世界の星付きレストランが認めるジョージア産アンバーワインです。
柑橘系の皮、ドライフルーツやドライハーブと共にお花の芳しいアロマが広がります。
ジンジャーのようなフレーバーに、ドライフルーツの凝縮感を持ち、複雑でフェノリックな心地よい苦味が溶け込んでいます。

8. まとめ

ジョージアワインは世界最古のワインの1つであり、古代から現代に至るまで、その独自の製法にてワイン造りが守られ続けています。
ジョージアワインの特徴はクヴェヴリと呼ばれる、土中に埋められた素焼きの壺で造る独自製法にあります。
数年以上の長きに渡り、世界で愛されているジョージアワインをこの機会に是非お楽しみください!!

※当サイトの内容、テキスト、画像等の無断転載・無断使用を固く禁じます。また、まとめサイト等への引用を厳禁いたします。
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岩田渉 氏

THE THOUSAND KYOTOシェフ・ソムリエ

1989年愛知県生まれ。同志社大学に在学中、留学先のニュージーランドでワインに魅了され、4年間ワインの勉強に没頭する。
2019年に現職、THE THOUSAND KYOTOシェフ・ソムリエに就任。

◆主な受賞歴
2017年 「第8回全日本最優秀ソムリエコンクール」優勝。
2023年「第17回A.S.I.世界最優秀ソムリエコンクール」へ日本代表として出場しセミファイナリストに選出(第5位)