2023.09.29

ドイツワインの基礎知識を解説!特徴や製法、おすすめの甘口ワインも紹介

 

ドイツといえばビールのイメージが強い方も多いかもしれませんが、ドイツのワイン文化は古くからあり、世界各地で親しまれています。ドイツは冷涼な地域でワインの生産に適しており、国際的な評価も高いです。ドイツワインといえば元々は甘口の白ワインで有名でしたが、現在は幅広い味わいのワインが生産されています。
この記事では、ドイツワインの基礎知識から製法、おすすめのワインまで詳しく解説していきます。

ドイツワインの基礎知識

ドイツには全部で13の生産地域があり、その多くは旧西ドイツだったフランス寄りの地域に集中しています。伝統的に川沿いの斜面を利用したブドウ栽培が盛んなのが特徴です。斜面を利用したブドウ栽培は、日照効率や水はけがいいのはもちろんですが、かつて河川が物資の輸送に重要な役割を果たしており、交易の拠点が川沿いにあったことに由来しています。また、ドイツワインは白ワインの生産比率が高いのも特徴の一つです。

ドイツワインの特徴

前述したように、ドイツは白ワインがメインで生産されており、なかでも元々は甘口ワインが主流でした。しかし1990年代以降は辛口ワインも増加し、現在はスパークリングワインも含め、バリエーション豊かな味わいが揃っています。美しい酸と果実味のバランスが良く、世界中のワイン愛好家から評価されています。近年では、ドイツならではの低アルコールで繊細なスタイルのワインが改めて評価されている傾向にあります。

ドイツの地理と気候

ドイツは中央ヨーロッパに位置していますが、生産地域の大半が分布する南西部は、大陸性気候と海洋性気候の影響を受けています。夏から秋にかけては雨が降りやすくなるため、病虫害対策は欠かせません。冷涼な気候の中で熟成されるブドウからは、独特の酸味と複雑な味わいが生まれます。川沿いの急斜面で作られることが多く、冷涼な気候で果実がゆっくりと熟すため、シャープな酸味と香り高いワインに仕上がります。

しかし近年は世界的に問題となっている温暖化によって、ブドウが熟しやすくなっただけでなく、遅霜、豪雨、雹といった自然気象も多くなっています。

ドイツワインに使われる主なブドウの品種

ドイツワインといえば、まず思い浮かべるのが白ブドウ品種の「リースリング」です。ドイツは世界中のリースリングの栽培面積の6割を占めています。ドイツは世界最高のリースリング産地と言われており、ドライな辛口から芳醇な甘口、スパークリングまで幅広いスタイルのワインが造られています。リースリングの他には、青リンゴのような爽やかな味わいとフレッシュで食事に合わせやすい「ミュラートゥルガウ」、林檎や洋梨、レモンの皮などのニュアンスがある「シルヴァーナー」などが盛んに栽培されています。
またピノ・ブランやピノ・グリ、ソーヴィニヨン・ブランといった国際的な辛口白品種の栽培も増えています。

リースリングについては詳しくはこちらをご覧ください↓
https://www.cavederelax.com/blogs/column/riesling

黒ブドウ品種はピノ・ノワールが注目です。ドイツでは「シュペートブルグンダー」と表記されています。ドイツ国内でも比較的温暖な地域で栽培され、ブルゴーニュのピノ・ノワールに引けを取らない高品質な赤ワインが造られています。

ドイツワインの製法

ドイツのワイン製法は、他のヨーロッパ諸国と同様に伝統的な方法が取り入れられています。手摘みのブドウを使用し、慎重に発酵させることで、独特の風味と味わいを引き出しています。
また、ドイツではスパークリングワインも盛んに生産しており、ドイツ国内で生産されたスパークリングは「シャウムバイン」と呼ばれ、なかでも炭酸の気圧が20°で3.5気圧以上のもの、アルコール度数が10%以上のものは「ゼクト」と呼ばれます。
近年では自然派の弱発泡ワイン「ペットナット」が世界的にブームとなっていますが、ドイツでも多く生産されています。ペットナットは「ペティアン・ナチュレル」の略で、一次発酵の途中で瓶詰めを行い、残った糖分を使って瓶内発酵をさせる製法です。

ドイツなどで造られている貴腐ワインとは、白ワイン用ブドウ品種の成熟した実の果皮にボトリティス・シネレア菌(貴腐菌)が繁殖することで、さらに果汁の成分が濃縮され、独特の風味がついたワインを指します。ドイツのトロッケンベーレンアウスレーゼは、フランスのソーテルヌ、ハンガリーのトカイと並ぶ「世界三大貴腐ワイン」の一つとしても知られています。

ドイツワインの代表的な生産地区

 

ドイツのブドウ栽培面積は世界で14位と言われています。今回は13ある生産地域の中でも、抑えておきたい4つの地域「モーゼル」「ラインガウ」「ラインヘッセン」「ファルツ」に焦点を当てて解説していきます。

モーゼル地区

モーゼル地区は、約4割が斜度30%を超える急斜面の畑になっており、2本の枝をハート型に丸めて杭に巻きつける「棒仕立て」という栽培方法が有名です。土壌は粘板岩が多く、酸味とミネラル感あふれるワインが生まれます。白ワインの生産が9割を超え、特にリースリングの産地として知られています。
ドイツ最古のワイン産地としても知られており、エレガントな酸味と余韻の長いアロマが特徴です。熟成を重ねるとはちみつのような香りや甘さとフレッシュさが共存する深い味わいになります。

ラインガウ地区

ライン川沿いのラインガウ地区は、ドイツワインの中心地として知られています。ここで生産されるワインは、フルーティでエレガントな味わいが特徴です。年間を通して温暖な気候で、周囲の土地と川の水温差によって濃霧が発生する地域です。この濃霧による湿度が貴腐菌にとって最適な環境条件のため、ラインガウは世界屈指の貴腐ワインの生産地として知られています。
土壌は斜面の上に行くほど水捌けがよく、川に近づくほど表土が深く、保水性が良くなる傾向があり、リースリングの他、シュペートブルグンダー(ピノ・ノワール)も盛んに栽培されています。

ラインヘッセン地区

ラインヘッセン地区はドイツ最大のワイン生産地区で、甘口ワイン「リープフラウミルヒ」で有名になった産地でもあります。多様なブドウ品種が栽培されているため、バラエティ豊かなワインを楽しむことができます。なだらかな丘に恵まれ、機械の導入による効率化も進んでおり、コスパが高いワインが多く造られています。リースリングの他、ドルンフェルダー、ミュラートゥルガウ、ジルヴァーナーなどが栽培されています。

ファルツ地区

ファルツ地区は、ドイツで2番目に大きい山地で、比較的温暖な気候が特徴です。白ワインが有名ですが、赤ワインも盛んに造られている産地でもあり、ドイツ国内においては最大の赤ワイン生産地となっています。果実味豊かな味わいと香り高い赤ワインは、国内だけでなく世界中で評価されています。

ドイツワインのおすすめ3選

ドイツワインを試したい方におすすめのドイツワインを3本に厳選してご紹介します。甘口ワインもセレクトしたのでぜひ参考にしてみてください。

ベルンハルト・フーバー マルターディンガー シュペートブルグンダー 2014

ドイツで最も温暖な地域「バーデン」で造られたシュペートブルグンダー(ピノ・ノワール)のみを使用したミディアムボディの赤ワイン。収量制限によって凝縮感のある力強い味わいに仕上がっています。先代の父はドイツで最も権威のあるワインガイド「ゴーミヨ」にて最優秀醸造家賞を受賞した経歴のある実力派ワイナリーです。

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ローゼン “Dr. L” リースリング トロッケン 2021

冷涼な気候で高品質のリースリング産地として知られるモーゼル地区で造られるエレガントなボディと長い余韻が特徴のリースリング。ドイツのリースリングを代表する生産者で「ゴーミヨ」にて最優秀醸造家賞を受賞した経歴があります。お値打ち価格でドイツワイン入門としてピッタリな1本です。

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ロバート・ヴァイル キートリッヒャー グレーフェンベルク リースリング アウスレーゼ 2021 (ハーフ)

ラインガウ地区の急斜面で育った完熟したブドウのみを選んで生産された自然由来の糖と鋭い酸のバランスが取れたワインで、ドイツ国内のみならず、世界的にも高い人気を誇っています。果実味が強く、長期熟成も期待できる一本に仕上がっています。

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まとめ

ドイツは伝統的な白ワインの産地で、従来は甘口で有名でしたが、現在は辛口から貴腐ワインまで幅広い味わいのワインが生産されています。ヨーロッパのワインとしては、フランスやイタリア、スペインなどが一般的に知られていますが、ドイツワインも独自の魅力を持ち、多くのワイン愛好家から愛されています。
また、ドイツワインの産地はそれぞれ異なる気候や土壌の条件を持つため、多様な風味のワインが生産されています。モーゼルからラインガウ、ファルツまで、それぞれの地域が持つ独特の特色を持ったワインを楽しむことができるのは、ドイツワインの大きな魅力の一つです。今回の記事を通じて、ドイツワインの魅力や基礎知識を知ることができたなら幸いです。ドイツワインを飲み比べてみたい方や他にもおすすめのドイツワインをみてみたい方は、ぜひカーヴドリラックスのオンラインサイトをご覧ください。

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この記事を書いた人

吉川 大智

吉川 大智

JSA認定 ソムリエ

バーテンダー、ワインバーのマネージャーを経てワインのPRライターに。過去には40カ国200都市の酒場とワイナリーを訪問した経験あり。