＜今月のスペシャルワイン＞

①ローラン・ペリエ シャンパーニュ ラ・キュベ ブリュット NV 

フランス・シャンパーニュ地方・ACシャンパーニュ / シャルドネ55％、ピノ・ノワール30％、ムニエ15％

シャンパーニュ業界の中で売上5位のグランメゾンであるローラン・ペリエ。シャンパーニュTOP10の中では唯一の家族経営のメゾンで、だからこそ可能なつくりをしています。
味わいの特徴はスタンダードキュベとしては異例とも言える50％を超える高いシャルドネ比率から来る、「フレッシュ、フィネス、エレガンス」を体現する軽やかさ。しかもワイン名通りラ・キュベ（一番搾り果汁）のみ使用、さらに最低48ヶ月の瓶内熟成（今の平均は30ヶ月くらい）の贅沢な仕込みで、「熟成期間が他社より長いのに、他社よりフレッシュ」という通常では考えられない世界観を実現しています。
その唯一無二のスタイルは英国のチャールズ3世にも皇太子時代から熱愛され、今年の6月にはチャールズ3世御用達の唯一のシャンパーニュメゾンに選ばれました。今、味わうべきシャンパーニュの一つだと思います。

＜週末のお楽しみワイン＞

②リョパール コルピナット ブリュット・レセルバ 2020

スペイン・カタルーニャ地方・コルピナット / チャレッロ40％、マカベオ30％、パレリャーダ30％

 泡の2本目はカバ。とは言いながら、このワインのラベルにはカバという表記がありません。実はこのワインの生産者であるリョパールは、DOカバの生産規定の緩さと、それを厳しくしようとしないカバ委員会にしびれを切らせてDOカバを脱退してしまった、高品質のカバ生産グループ「コルピナット」の規定に基づいて生産されています。
なのでラベルに書かれているのは「コルピナット」になります。とは言え、有機栽培ぶどう使用、伝統品種のみ、カバよりも長期の熟成期間などのより厳しい規定の元で生産されるこのワインの味わいは、むしろ純粋なカバそのもの。2000年代の前半に拡大する市場の中で自らを見失ったカバの味わいは、今はここに見る事が出来ます。カジュアルだけど印象的な味わいだと思います。

③ヴィッラ・サンディ プロセッコ・トレヴィーゾ “イル・フレスコ” NV

イタリア、ヴェネト州、DOCプロセッコ / グレーラ100％

3大スパークリングワインの最後はプロセッコ。軽やかさとフレッシュさが売りの味わいは、時としてシャンパーニュ愛好家などから「安物」とされてしまう事もありますが、プロセッコが求める世界観と、シャンパーニュが求める世界観は全く異なるもので、そもそもそこに優劣は無いように思います。
このワインは名前に「フレスコ（＝フレッシュ）」と入る通り、白桃や白い花の香りが魅力です。プロセッコの中でもグレーラ種の栽培に向いた原産地周辺のトレヴィーゾ地区からの1本。果実と相性が良いので、フルーツジュースなどの割材としても活躍します。

④チェレット バローロ コンテ・デル・ウニタ 2018

イタリア・ピエモンテ州・DOCGバローロ / ネッビオーロ100％

　最後の1本は「ワインの王、王のワイン」と謡われたイタリアを代表する赤ワイン。今更、説明は不要とも思われる著名ワインの一つです。そんなバローロが美味しくなるのは、ピエモンテで秋が深まり、ジビエの狩猟期が始まる晩秋から冬の間。
強いワイン（色こそ淡いが、アルコール高く、酸もタンニンも強く、風味も複雑）だからこそ、相手の料理にも強さや複雑さが求められます。現地のピエモンテ州でもバローロは特別な時のハレのワイン。年末にふさわしい赤ワインと言えるのではないでしょうか。